「SEとプログラマー」って実際どう違う?未経験新卒のメインルートを解説

「SEとプログラマー」って実際どう違う?未経験新卒のメインルートを解説
シリーズのここまでの記事で、IT業界の全体像(#1)、SIerとSESの違い(#2)、ビジネスモデルの違い(#3)を見てきました。その中で、ある現実が見えてきたのではないでしょうか。それは、未経験の新卒のIT就活では、最初の進路が限られているということです。

具体的には、未経験エンジニアの大半がSIerかSESの「SE(システムエンジニア)になる」か「プログラマーになる」のどちらかから、キャリアをスタートします。メルカリのような自社サービスを作る会社(Web系・自社開発企業)に、新卒・未経験で入る道は、決して多くありません。
ただ、「SEとプログラマーって、実際は何が違うの?」とイメージがついていない方も多いはずです。同じ「エンジニア」と呼ばれていても、毎日の仕事の中身や、コードを書く時間、キャリアの伸び方は大きく違います。

この記事では、未経験・新卒でITエンジニアになる2大ルートであるSEとプログラマーの仕事を、具体的に解説します。読み終わるころには、「自分はどちらのタイプか」のあたりがついているはずです。
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1. なぜ未経験・新卒のメインルートは「SE」と「プログラマー」なのか

未経験エンジニアの就活で「SE」と「プログラマー」が2大ルートになるのには、理由があります。それは、新卒エンジニアの求人数の偏りです。
 

新卒・未経験でエンジニアになるルート

Web系・自社開発の会社は、新卒を一から育てるより経験者を採用する傾向が強く、新卒・未経験には狭き門です。


また、事業会社の社内SEも、新卒での「社内SE採用枠」が限られており、総合職で入社してから配属されることもあります。


一方、SIerは研修制度が整っていて、毎年多くの新卒を採用しています。SESも同じく、未経験者を多く受け入れ、自社で教育して一人前のエンジニアに育てあげます。


つまり、未経験・新卒のエンジニアの大半は、SIerまたはSESからキャリアをスタートすることになるのです。その2つで主に担当する職種が、「SE」と「プログラマー」です。

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2. 「SE」と「プログラマー」、そもそも何が違うのか

SEとプログラマーの違いを一言でいうと、「設計と調整がメインのSE」と「コードを書くことがメインのプログラマー」です。


システム作りは、おおまかに「①何を作るか決める→②どう作るかを考える→③コードを書く→④動作を確かめる→⑤使い始めてから直す」という流れで進みます。SEはこの流れ全体に関わり、特に①要件定義と②設計が中心です。プログラマーは、③実装と④テストを中心に担当します。


なお、この流れの前半(①と②のあたり)を「上流」、後半(③〜⑤のあたり)を「下流」と呼びます。詳しくは、記事の後半で説明します。
 

システム開発の工程と役割
  • SE:流れの全体に広く関わるが、特に「②どう作るか(設計)」と「クライアントとの調整」が中心

  • プログラマー:「③コードを書く」と「④動作の確認」が中心。決められた設計のとおりに作る


ただし、これはあくまで典型的な役割分担です。実際の現場では、SEがコードを書くこともあれば、プログラマーが設計に関わることもあります。会社やプロジェクト、本人のスキルによって、役割の境目は変わります。

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3. SE(システムエンジニア)の仕事

まずは、SEの仕事を見ていきます。たとえば、SIerで働くSEの1日は次のような流れです。

時間 おもな業務
9:00 出社・メール確認
10:00〜11:30 クライアントとの打合せ
12:00~13:00 昼休み
13:00〜15:00 設計書の作成・修正
15:00〜16:00 チーム内ミーティング
16:00〜18:00 資料づくり・プログラマーへの指示
18:00 退社

SEは「設計と調整」が中心

SEの主な仕事は、次の4つです。
 

  • 要件定義:クライアントから「どんなシステムが欲しいか」を聞き取り、必要なことを整理する

  • 設計:その要望を実現するための設計書(作り方の指示書)を書く

  • 進捗管理:コードを書くプログラマーの進み具合を見て、スケジュールを管理する

  • クライアントとの調整:仕様の変更や問題が起きたときの窓口になる


つまり、SEは「翻訳者」のような役割が強い職種です。クライアントのビジネス上の困りごとをシステムで解決できるよう、開発チームが作れる形に翻訳します。両者の間に立って、プロジェクトを進める司令塔のような立場です。


そのため、SEには、設計の力に加えて、相手の要望を引き出して言葉にする調整の力や、資料をまとめる力が求められます。

1日の業務時間の使い方

平均的なSEの時間の使い方は、おおよそ次のようなイメージです。会社やプロジェクトによって変わるので、あくまで目安として見てください。
 

  • 設計書などの資料づくり、修正:35%

  • 会議や打合せ(クライアント、社内):30%

  • コードを書く作業:20%

  • メールやチャットの対応:15%


実は、コードを書く時間はあまり多くありません。多くの時間は、設計書を書く、会議で話す、メールで調整する、といった「読む・書く・話す」に使われます。

新卒1〜3年目の現実

  • 1年目:数ヶ月の研修の後、プロジェクトに配属。最初は先輩SEの補助として、設計書づくりやテストを担当

  • 2〜3年目:小さな機能の設計を任される。クライアントとの打合せにも参加し始める

  • 3年目以降:プロジェクトの一部を主担当として任される


なお、SEは新人のうちが、もっとも実装(コードを書く作業)やテストに触れる時期です。年次が上がるにつれてコードから離れ、設計や管理の比重が増えていきます。1年目から純粋なコーディングが大半というわけではなく、設計書づくりやテストの補助が中心になる点には注意が必要です。

社内でのキャリアの伸び方

SIerでSEになった場合、社内にいくつかのキャリアが用意されています。
 

  • マネジメント系:SE → サブリーダー → リーダー → プロジェクトマネージャー(PM。開発全体の進行・予算・人をまとめる責任者) → 課長 → 部長

  • 技術スペシャリスト系:SE → シニアSE → アーキテクト(システム全体の設計方針を決める上位の技術職) → 技術専門職

  • コンサルティング系:SE → ITコンサルタント → シニアコンサルタント

SEに向いている人

  • ・相手の要望を引き出し、言葉にして調整するのが好きな人

  • ・人に説明するのが得意な人

  • ・大きな仕組みを設計するのが好きな人

  • ・チームで協力してものごとを成し遂げるのが好きな人

  • ・安定的にステップアップしたい人

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4.プログラマー(PG)の仕事

次に、プログラマーの仕事を見ていきます。たとえば、SESで働くプログラマーの1日は次のような流れです。

時間 おもな業務
9:00 クライアント先のオフィスに出社
9:30〜9:45 朝会(チーム)
9:45〜12:00 コードを書く作業
12:00 昼休み(クライアントの社員と一緒のことも)
13:00〜17:00 コードを書く作業
17:00〜18:00 動作確認・実装の報告
18:00 退社

プログラマーは「コードを書くこと」が中心

プログラマーの主な仕事は、次の3つです。
 

  • コードを書く(実装):SEから受け取った設計書をもとに、コードを書く

  • 単体テスト:自分が書いたプログラムが正しく動くかを、部品単位で確かめる作業

  • 進捗報告:自分の作業の状況を、SEや現場のリーダーに報告する


つまり、プログラマーは「実装の専門家」としての役割が強い職種です。設計書を読み解き、実際に動くコードにしていきます。手を動かす時間が長いのが特徴です。


そのため、プログラマーには、設計書を正しく読み解く力や、現場ごとのやり方に合わせる適応の力、そして実装の力が求められます。

1日の業務時間の使い方

平均的なプログラマーの時間の使い方は、おおよそ次のようなイメージです。こちらも、あくまで目安として見てください。
 

  • コードを書く作業:55%

  • テストや不具合の修正(デバッグ):20%

  • コードの理解、調査:15%

  • 会議や報告:10%


SEとは反対に、コードを書く時間が長いのが特徴です。

新卒1〜3年目の現実

  • 1年目:研修の後、クライアント先(取引先のオフィス)の現場に配属。最初は先輩について、簡単な修正から担当

  • 2〜3年目:機能ごとの実装を任される。複数の現場を経験することもある

  • 3年目以降:難しい技術や、リーダーのポジションを任されることもある


コードを書く実務経験を多く積めるのが、プログラマーの強みです。SESやSIerでは複数の現場を経験することも多いため、さまざまな業界に触れられるのも特徴です。一方で、SESは配属先によってキャリアに影響を及ぼすこともあり、運用・保守ばかりの現場に長くいると、スキルの成長が止まってしまう可能性もあります。

社内でのキャリアの伸び方

たとえばSES企業でプログラマーになった場合、SIerほど決まった形ではありませんが、次のようなキャリアがあります。
 

  • 技術スペシャリスト系:プログラマー → シニアエンジニア → アーキテクト(全体設計を担う専門職) → 技術専門職

  • リーダー系:プログラマー → 現場リーダー → プロジェクトリーダー

  • マネジメント系:プログラマー → チームリーダー → 開発部門のマネージャー(SESでは、技術を理解したうえでエンジニア営業・コーディネーターに進む道もある)


ただし、キャリア支援の手厚さは企業によって異なります。会社を選ぶ時点で「自社でのキャリア支援があるか」を確かめることが、長く活躍する鍵になります。

プログラマーに向いている人

  • ・一人で集中して作り込む時間が長いほうが、心地よい人

  • ・とにかくコードを書く時間を多く確保したい人

  • ・いろいろな技術や現場を経験して、幅を広げたい人

  • ・手を動かして形にするのが好きな人

  • ・人とのやり取りが苦にならない人

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5. 2職種を5つの観点で比較する

ここまで見てきたSEとプログラマーの違いを、5つの観点で表にまとめました。

観点 SE(主にSIer) プログラマー(主にSES)
コードを書く時間 20%ほど(年次が上がると減る) 55%ほど
顧客との関わり 直接やりとりする機会が多い 最終調整はSE・PMが担うが、現場では実装レベルのやりとりは日常的にある
求められる力 設計力・調整力・資料をまとめる力 実装力・読み解く力・適応力
配属先 自社オフィスが中心。案件により客先常駐もある クライアント先の常駐が多い。案件によりリモートや自社作業もある
社内キャリアの伸び方 リーダー → PM → 管理職、または技術スペシャリスト シニアエンジニア → アーキテクト、または社内リーダー

※「SE=SIer」「プログラマー=SES」は、もっとも多い組み合わせの例です。SIerのプログラマーや、SESのSEもいます。また、常駐(取引先のオフィスに出向いて働く形)かどうかは、案件によっても変わります。

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6. お金・働き方・選考のリアル

ここで、未経験の新卒が気になりやすい、お金や働き方、選考についても触れておきます。

厚生労働省の就業者統計データによると、経験年数が0年のプログラマーとシステムエンジニア(受託開発)は所定内給与が月302,800円となっています。年齢別の年収を見ると20~24歳は363万円です。ただし会社による差が大きく、近年は初任給を引き上げる企業も増えています。

※出典
プログラマー|職業情報提供サイト(job tag)
システムエンジニア(受託開発)|職業情報提供サイト(job tag)

残業や働き方も、会社や配属される現場によって幅があります。落ち着いた現場もあれば、納期の前は忙しくなる現場もあります。


選考の通りやすさという点では、SIerやSESは研修を前提に新卒を採用するため、未経験でも応募しやすいのが特徴です。入社後の研修で、基礎から学べる会社が多いため、文系の出身からエンジニアになる人も多くいます。

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7. 「上流」「下流」ってどういうこと?

前半でも少し触れましたが、IT業界では「上流」「下流」という言葉がよく使われます。ここで、もう少し詳しく整理しておきましょう。


システム作りは、「①要件定義→②設計→③実装→④テスト→⑤運用」という流れで進みます。家を建てる場合にたとえると、①どんな家にするか→②間取り図づくり→③大工さんが家を建てる→④チェック→⑤住んだ後の管理・修繕、という流れに近いものです。


「上流」と「下流」は、この流れのどこにいるかを表す言葉です。上流は、プロジェクトの最初のほうの工程で、「何を作るか」「どう作るか」を決める段階です。下流は、後半の工程で、決まった内容を「実際に作る」「動かす」段階を指します。


IT就活で「上流に行きたい」とよく言われるのには、次の2つの意味があります。
 

  • ・クライアントや経営層と直接やりとりして、ビジネスの課題から関わりたい(何を作るべきかを考える側に立ちたい)

  • ・影響範囲の大きな仕事をしたい(上流で決めたことが、下流の多くの人の作業を左右するため)


逆に、「下流のほうがコードを書く時間が多く、手応えがある」と感じる人もいます。「上流が偉くて、下流は雑用」ということではなく、それぞれに価値とやりがいがあります。

上流と下流の向き不向き

上流と下流では、向いているタイプが分かれます。仕組みを考えるのが好きな人は、上流が向いています。一方、実際に手を動かしてものを作り上げたい人には、下流が合うでしょう。


その後のキャリアの広がり方も違います。上流で経験を積むと、ビジネスの課題から関わるITコンサルタントなどの道も見えてきます。


下流で経験を積んだ場合も、道は一つではありません。下流のことを理解したうえで上流に移ることもできますし、プログラミングの力をつけて、メルカリのような自社開発企業のエンジニアを目指すこともできます。


ここで知っておきたい注意点があります。下流から上流へ進むのは、よくあるキャリアの流れです。一方で、上流から下流へ移るのは、大変なことが多いといわれます。上流では下流と比べてコードを書く時間が少なくなりがちで、あとから実装の力をつけ直すのに苦労する場合があるためです。


そのため、「コードを書く力をしっかり身につけたい」と思うなら、下流から始めるのも選択肢の一つです。とはいえ、若手のうちは上流と下流を行き来しながら、自分に合う道を探せる余地もあります。自分が将来どう動きたいかを思い描きながら、最初の一歩を選ぶとよいでしょう。

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8. よくある誤解と現実

未経験の学生が、SEとプログラマーについて抱きがちな誤解を2つ整理しておきます。

誤解1:「エンジニアの仕事はAIに取って代わられる」

「コードを書くのはAIがやってくれる時代」「これからプログラマーになるなんて時代遅れ」。そんな話を、ネットやSNSで目にした人も多いはずです。「これからエンジニアを目指して、本当に大丈夫なのか」と不安になるのは、自然な感覚です。


確かに、AIの登場で、エンジニアの仕事は変わりつつあります。コードの一部は、AIが書けるようになりました。ただ、それは「エンジニアの仕事がなくなる」とは別の話です。


実際に現場で起きているのは、「エンジニアの仕事の中身が変わる」ことです。次のような変化が起きています。
 

  • ・コードを書く時間は減るかもしれないが、考えることはむしろ増える(AIが書いたコードを理解し、確かめ、直す力が新しく必要になる)

  • ・「何を作るべきか」を決める力は、AIには代わりにくい。SEの上流の仕事は、これからもっと価値が上がる

  • ・AIをうまく使えるエンジニアと、使えないエンジニアの差が広がる


SEは、「設計力」や「クライアントとの調整力」という、AIに代わりにくい力がより評価されます。プログラマーに求められるのは、「AIを道具として使いながら、コードの品質を保つ力」です。AIに指示を出し、AIが書いたコードを確かめる、という役割への変化が進んでいます。


つまり、「AIに取られる」のではなく、「AIと協力する仕事に変わる」のが現実です。今からエンジニアを目指す価値は、これからも十分にあると考えられます。

誤解2:「プログラマーはずっと下流のまま」

「プログラマーは指示されたものを作るだけ」「ずっと下流のままで、自分で何かを決めることはない」。こうしたイメージから、「プログラマーになると成長が止まりそう」と感じる人もいます。


実際には、プログラマーも経験を積めば、活躍の幅は大きく広がります。
 

  • 技術スペシャリストへの道:実装力を磨いたプログラマーは、アーキテクトなどとして設計の判断に関わるようになる。下流で技術を極めた人が上流の設計を任されることも珍しくない

  • 現場リーダーへの道:複数の現場を経験して信頼を得たプログラマーは、現場リーダーとしてメンバーをまとめる立場になる

  • 「下流の専門性」そのものが価値になる:実装の質やコードの読みやすさ、テストの設計などは、実務でもっとも価値が出る領域のひとつ


「指示されたものを作るだけ」というのは、最初の1〜2年に当てはまるかもしれません。ただ、長く続けるほど、任される判断の範囲は広がっていきます。プログラマーが下流のまま終わるかどうかは、本人の学び方次第です。

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9. まとめ

新卒・未経験からエンジニアになる場合は、大半が「SE」か「プログラマー」からキャリアをスタートします。SEは「設計と調整」が中心で、コードを書く時間は意外と少なめです。プログラマーは「コードを書くこと」が中心で、手を動かす時間が長くなります。


「上流」とは「何を作るかを決める段階」のことです。「上流に行きたいか」は「ビジネスの課題から考えたいか、コードを書きたいか」と言い換えると、自分に当てはめやすいでしょう。どちらが優れているということはありません。自分が毎日どんな働き方をしたいかで選びましょう。気になったら、サマーインターンで両方を体験すると、判断材料がぐっと増えますよ。