【自社開発志望向け】本選考で問われるキャリア観とは?よくある失敗と答え方も解説

理由は、評価軸が切り替わるからです。本選考では技術スキル(Can)は前提として残りつつ、その上にキャリア観や価値観(Will・Fit)のすり合わせが加わっていきます。とくにCTOや経営層が出る最終面接では、その色が濃くなります。
たとえば、コーディングテストを難なく通過してきた人が、最終面接の「あなたは何のために働くのですか」という問いで固まってしまう。こうした場面は、珍しくありません。キャリア観をうまく言葉にできず、落ちてしまうことはよくあります。ですが、事前に準備をしておけば、これは防げるポイントです。
この記事では、面接で問われるキャリア観と、その準備の進め方を、具体例を交えて解説します。

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本選考で問われる「キャリア観の質問」
本選考は、サマーインターンと違い、採用の可否を判断する場です。そのため面接官は、チームに迎え入れて長く一緒に働けるか、ミスマッチですぐに離職しないかを、厳しく確認します。見ているのは、技術力の高さだけではありません。学生の価値観が、自社の価値観や方向性と一致しているかどうかも見られるようになります。
同じ方向を向いて開発できる相手かを見きわめるために、次のような質問が投げかけられます。
・5年後、10年後にどのようなエンジニアになっていたいか
・なぜ他社ではなく、この会社でなければならないのか
・何のために働くのか。仕事や技術は人生でどういう位置づけか
・技術で事業にどう貢献し、それをチーム開発でどう最大化するか
・スペシャリスト、マネジメント、PdMなど、どのキャリアパスを志向するか
どれも、正解が1つに決まっている問いではありません。だからこそ、自分の考えを事前に整理できているかで差がつきます。
なお、この記事では、1人の学生を例に説明を進めます。競技プログラミングが好きで、バックエンドの実装には自信がある一方、「将来どうなりたいか」を聞かれると言葉に詰まってしまう人を、仮にAさんとしましょう。技術力に問題がなく、これまでスムーズに選考を通過してきた人が陥りやすいパターンを、Aさんの回答例で見ていきます。
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キャリアの質問でつまずきやすい4つの原因
キャリアに関する質問群でつまずくのは、次の4つの場面に分けられます。順に見ていきましょう。
① 将来像が想像できず、答えに詰まる
働いた経験がないため、「将来どうなりたいか」を聞かれても想像がつかない、という状態です。
たとえばAさんは、「5年後どうなっていたいか」と聞かれ、「フルスタックエンジニアになって、成長できる環境で活躍したいです」と答えました。すると面接官は「なぜフルスタックを目指すのですか」「その成長を、なぜうちで実現したいのですか」と重ねます。ここでAさんは黙り込んでしまいました。どの企業にも使い回せる抽象的な回答は、一段掘られると裏づけが出てこないためです。
② 志望動機の主語が「御社」になり、受け身になる
技術への関心が高い人ほど、「技術スタックがモダンだから」「教育体制が整っているから」と、企業を基準に志望動機を語りがちです。
Aさんも「御社はRustを採用していて、勉強会も多く、成長できそうだから志望しました」と話しました。これは一見、熱意のある回答に見えます。ところが面接官には、「うちを勉強する学校と捉えている」「与えられる環境を待っている」と映ります。自分がまず何をしたいのかという、主体的な視点が抜けているためです。企業を、自分の目標を実現するための場として選んでいる姿勢が見えないのです。
③ 技術が目的化し、ビジネスと接続できない
「GoやRustを使いたい」という手段(How)ばかりを語り、その先のビジネスへの影響まで思考が及ばない状態です。
Aさんは「Rustの高速な処理に魅力を感じていて、仕事で使いたいです」と語りました。技術への熱量は伝わります。しかし「そのRustでビジネスやユーザーにどんな価値を出したいですか」と問われると、答えが止まってしまいました。「技術にしか興味がない」「課題解決に関心がない」と判断されやすい典型例です。
④ 働く意義がはっきりしないまま、取り繕った回答をする
実務を経験する前に、働く目的がはっきり固まっている人は多くありません。そのため、面接用に聞こえの良い答えを用意しがちです。
Aさんは「社会に貢献できる仕事がしたいからです」と答えました。すると「具体的には、どんな社会課題に、どう貢献したいのですか」と掘られ、言葉が続かなくなりました。用意した綺麗事は、深掘りされると本音と食い違い、答えが崩れてしまいます。
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キャリア観は「作る」のではなく「実装」する
ここで大事なのは、就活のために立派なキャリアプランを「作る」ことではありません。自分の仕様を整理し、相手が読める形に翻訳する準備こそが本質です。エンジニアの発想で、2つの捉え直しをしておきましょう。
面接を「インターフェースの仕様確認」と捉える
面接は、話の上手さを競う場ではありません。自分の志向を、人事や経営層が解釈できる形式に翻訳して返す作業です。情報の透過性を高める実装だと考えると、必要以上に身構えずに済みます。
たとえば、頭の中にある「速いコードを書くのが好き」という未整理な状態は、そのままでは面接官に伝わりません。「性能改善でユーザーの待ち時間を減らし、離脱を防ぎたい」という形に整形して初めて、面接官が読み取れる形になります。
価値観を「パラメータ」として整理する
次に、自分の価値観を、客観的なパラメータとして定義します。次のような軸で、自分がどちら寄りかを考えてみましょう。
・技術(Tech)の深掘りで喜びを感じる型か、ビジネス(Biz)の創出で力が出る型か
・一人で没頭するSoloタイプか、協調で動くTeamタイプか
・0から作る新規開発が好きか、既存の仕組みを磨く改善が好きか
・安定した環境で腰を据えたいか、変化の速い環境で試したいか
Aさんの場合は、「Tech寄り・Solo寄り・改善が好き・変化に強い」と整理できました。こうした自分のOSの変数を、面接の前にデバッグしておきます。このパラメータが、キャリアに関する質問の回答を作る土台になります。
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つまずき別|準備の進め方
捉え直しができたら、自分のつまずきに合わせて準備します。ここでは、決済サービスを手がける架空の企業『ペイフロー社(仮)』を志望企業として考えてみましょう。この会社は、大量のアクセスを高速にさばく基盤に強みがあります。さらに、少人数の開発チームで一人ひとりの裁量が大きく、性能改善を正当に評価する文化を持つとします。この特徴と自分を重ねながら、つまずき別にAさんの改善例で回答の直し方を見ていきましょう。
① 将来像で詰まる場合
想像で描こうとせず、これまで手を動かした経験を棚卸しします。どの作業で反応が良かったかを振り返り、パラメータと突き合わせて、進みたい方向を1文にまとめます。
Aさんは、競プロで計算量を削ったときが一番楽しかったと気づきました。そこから、「速く安定して動く仕組みを作り、使う人のストレスを減らすエンジニアになりたい」という一文を用意できました。これは、性能改善を評価するペイフロー社の方向性とも重なります。
伝えるときは、この一文を「体験→将来像→志望先」の順で挟みます。たとえば、「競プロで計算量を削り、処理が速くなる面白さを知りました。そのため、速く安定して動く仕組みで使う人のストレスを減らすエンジニアを目指しています。性能改善を評価する御社は、その将来像に近づける場だと考えています」といった形です。抽象的な肩書きではなく、自分の体験と志望先にひもづいた語り方なので、深掘りにも耐えられます。
② 主語が御社になる場合
自分のWill、つまり「どうなりたいか」を先に置きます。そのうえで、その企業ならではの特徴と、自分のパラメータを重ねてみましょう。「この特徴が自分の志向と一致するから、御社でこそ活かせる」と言えると、主語が自分に戻ります。
Aさんのパラメータは「Tech寄り・Solo寄り・改善が好き・変化に強い」でした。これをペイフロー社の特徴と重ねると、次のように一致します。
・高速な基盤に強い → 「速く安定して動かしたい」という自分の志向と合う
・一人の裁量が大きい → 自走してオーナーシップを持って任される働き方と合う
・性能改善を評価する → 計算量を削るのが好きな自分の強みが活きる
この一致をもとに、Aさんは志望動機をこう言い換えました。「高いトラフィックを高速にさばく仕組みを作り、待ち時間を減らしたい。そこを正当に評価する御社でこそ、その志向を活かせると考えました」。環境をもらう側から、自分の目標に合う場を選んで成果を出す側へと、視点が変わっています。
③ 技術が目的化する場合
使いたい技術を、解きたい事業課題に接続します。性能、開発効率、ユーザーの不便の解消など、その技術で何を良くしたいのかまで語ると、ビジネスとつながります。
Aさんは「Rustを使いたい」を、「Rustでペイフロー社の決済処理の速度を上げ、待ち時間による離脱を減らしたい」と具体化しました。志望先の事業に技術を接続したことで、技術がユーザーと事業の価値につながった形です。
④ 働く意義で詰まる場合
取り繕った綺麗事ではなく、本音を起点に組み立てます。手がかりになるのは、「避けたい状態」や「お金の不安」といった、飾らない気持ちです。
ただし、これらはあくまで自己分析の出発点です。頭の中で材料として使うものであって、面接でそのまま口にするものではありません。たとえば「理不尽な仕様変更に振り回されたくない」と言えば、「他責」「受け身」「変化に弱い」と受け取られてしまいます。
そこで、次の3段で前向きに変換します。口に出すのは、前向きに変換した後のものにとどめましょう。
・避けたい本音(言わない) → 言い換え → 前向きな行動(話す)
・「振り回されたくない」 → 「意思決定の背景が共有される環境で力を出せる」 → 「だから、変更の理由を理解し、提案しながら働きたい」
・「お金の不安をなくしたい」 → 「対価に見合う成長と裁量を得たい」 → 「だから、長く価値を出し続けられる働き方をしたい」
Aさんも、「理不尽な仕様変更に振り回されたくない」という本音を出発点にしつつ、面接では次のように伝えました。
「何のために働くのか」と問われたら、まず働く意味を述べ、そのうえで環境の希望を続けます。たとえば、「自分が納得して作ったものが、使う人のストレスを減らすことに、働く意味を感じています。だからこそ、納得して手を動かせる環境で力を出したいです。裁量が大きく、一人が任される範囲の広い御社なら、その働き方ができると感じました」と話します。
否定形の本音は伏せたまま、前向きな側だけを志望先の文化と結びつけると、自然な志望理由になるはずです。飾らない気持ちが土台にある分、「なぜそう思うのか」と掘られたときも、自分の経験を根拠に語り続けられます。
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タイプ別!本選考前に整理すべきこと
本選考でキャリアについて聞かれた際に回答できるよう、準備を始めましょう。つまずきに関わらず、全員がやっておきたい土台となる準備は以下の2つです。
・自分のパラメータを定義する(Tech/Biz、Solo/Team など)
・手を動かした経験を棚卸しする(面白かった作業・詰まった場面を書き出す)
次に、自分のつまずきタイプに合わせて、以下に取り組みましょう。
・①将来像で詰まる → 体験とパラメータから、キャリアの方向性を導き出す
・②主語が御社になる → Willを先に置き、企業の特徴と自分のパラメータを重ねる
・③技術が目的化する → 技術を「解きたい事業課題」に接続する
・④働く意義で詰まる → 避けたい状態から、本音を起点に回答を組み立てる
最後に、2章で紹介した質問リストに当てはめて、回答を声に出して確認します。実際に話してみると、詰まる箇所が見つかります。そこが、まだ言語化できていないパラメータです。面接の前に、その部分をもう一度デバッグしておきましょう。
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まとめ
本選考で問われるのは、技術力だけではありません。自分の仕様、つまりWillや価値観を、相手が読める形で差し出せるかどうかです。キャリア観は、感性(原体験・熱量)を切り捨てるものではなく、その感性をパラメータの整理と翻訳という「実装」で伝わる形にするものです。感性か実装かの二択ではありません。
今回のAさんのように、「フルスタックになりたい」という抽象的な回答も、体験を棚卸しすれば「使う人のストレスを減らしたい」という自分の言葉に変わります。まず、自分の価値観を定義し、手を動かした経験を棚卸しする。そのうえで、自分のつまずきに合わせて一手を打つ。この準備を面接の前に済ませておけば、深掘りされても崩れず、自分の言葉で語れるようになります。
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