【前編】研究で培った専門性を手放す葛藤。それでもWebエンジニアを選んだキャリア戦略とは

【前編】研究で培った専門性を手放す葛藤。それでもWebエンジニアを選んだキャリア戦略とは
プログラミング未経験から大学院で最先端の機械学習研究に没頭し、ドイツの大学院生との共同研究や資格取得など、高い専門性を積み上げた高島さん。

しかし、自身が作った自作アプリを友人が喜ぶ姿を見て、「Webの世界」の魅力に気づきます。より熱狂できる道を見つけたからこそ直面した、「培ってきた専門性をすべて手放すのではないか、今までの努力を無駄にするのではないか」という葛藤を抱きながら、Webエンジニアの道を選んだのは、30歳までのキャリア戦略とSpeeeのインターンで出会った「未来のスケールを見据えた設計思想」でした。

多くの人が悩む「就職の軸」をどう選択したのか?前編ではSpeeeに入社を決めるまでのお話しを伺いました。
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企業情報:株式会社Speee

株式会社Speeeは、「解き尽くす。未来を引きよせる。」というコーポレートミッションのもと、データドリブンな事業開発の連鎖でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業です。金融DX事業、レガシー産業DX事業、DXコンサルティング事業など幅広い領域に展開しています。


レガシー産業DX事業では、データやAIなどのテクノロジーを掛け合わせることで、不動産・リフォーム・介護といった産業の構造変革を推進。また、ブロックチェーン技術を活用した金融DX事業に挑戦するなど、独自のエンジニアリングカルチャーを武器に、技術による社会変革を牽引しています。


お話を伺った人

高島 直生(タカシマ ナオキ)

株式会社Speee 不動産DX事業部 Webエンジニア


2022年、近畿大学大学院 総合理工学研究科 エレクトロニクス系工学専攻を修了。在学中は複雑な「感情」を扱う機械学習研究に従事し、ドイツの大学院生との共同研究も経験。ディープラーニングの高度な理論や実装スキルを証明する「E資格」を取得する。


2022年に株式会社Speeeへ新卒入社。既存事業の開発を経て、入社半年のタイミングで新規事業「ツナガル」の立ち上げメンバーに抜擢され、2年目には同プロジェクトのテックリードを務める。入社5年目となる現在は、不動産DX事業部にてLLMを活用したAIエージェントの開発(研究開発)に携わっている。


プログラミング未経験から機械学習の道へ。共同研究で身についた正解のない未知の領域に挑む楽しさ

── もともとプログラミングに興味があったのでしょうか?

大学入学までパソコンをほとんど触ったことがなかったのですが、1年生の時のJavaの授業でコードが思い通りに動く面白さに魅了され、一気に技術の世界へ引き込まれました。


インフラの基礎を学ぶために自ら学習用プログラムを探して取り組んだり、ブロックチェーン技術のハッカソンに個人でエントリーしたりと、手探りで技術の幅を広げていきました。その中で、のちに私の最大のルーツとなる「機械学習」と出会ったんです。

── なぜ機械学習に夢中になったのですか?

根底に、大の音楽好きという点があります。「人間の複雑な感情に適した音楽を自動レコメンドできたら面白そう」と思いつき、自分の好きな「音楽」と最先端の「技術」を結びつけたいと考えるようになりました。 そして、学内にそのような研究ができる環境があると知り、迷うことなくその研究室へ入りました。

── 大学院での研究活動は、かなり高度な環境だったとお聞きしました。

人間の感情をターゲットにした機械学習研究に没頭していました。教授がトップカンファレンス『ACM Multimedia』の査読に関わる非常に質の高い環境で、時差を超えてドイツの大学院生とも共同研究を行うなど、日々刺激を受けながら研究に励んでいましたね。


ただ、開始当初は理論の知識が全くなかったため、まずはE資格(※)の取得に挑戦し基礎知識を体系化しました。実装に使うPythonも未経験同然だったので、既存コードを泥臭く真似して書き写すことから始め、仕組みを理解した上で自分なりに発展させていきました。

(※ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する高度な能力・知識を有していることを認定するAIエンジニア向けの資格。)

それでも実験がうまくいかない時、教授が何度も「これは失敗ではない。上手くいかないというデータが取れただけであり、それ自体が学びで、前に進んでいる証拠だ」と言い続けてくれました。


そのおかげで、正解のない未知の領域に対して、泥臭くデータを掘り下げて分析していくプロセスそのものが、自分は好きなんだと気づけました。振り返ると、壁に直面しても挫折を恐れなくなり、次の挑戦を楽しむマインドセットを身につけた時期だったと思います。

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自作のアプリ制作の経験からWebの世界へ。専門性をあえて一度手放したのはキャリア戦略のため

── そこから、機械学習を深める道ではなくWebエンジニアという道を選択されるわけですが、なにがあったのでしょうか?

大きなきっかけは、大学院の講義の一環で、機械学習を用いた簡易的なアプリケーションを作り、それをブラウザ上で公開したことでした。


それまで研究室に閉じこもって、数パーセントの精度向上を競う数字の世界にいた私にとって、それは衝撃的な体験でした。情報系ではない友人が、ブラウザにアクセスして「何これ、めちゃくちゃ面白い!」と目の前でダイレクトに喜んでくれたんです。


「自分の手がけたプロダクトが直接ユーザーの手元に届き、目の前の人を笑顔にする『Webの世界』ってなんて面白いんだろう!」と思いましたね。


技術を手段として閉じ込めるのではなく、最後の「ゴールテープを切るプロセス」まで自分の手でやり切れるWebの世界は、キャリアの方向性としてマッチしているんじゃないかな──そう感じるようになりました。

── 「新たに面白い道」を見つけた一方、今まで向き合ってきた道と違うことで葛藤も生まれたのではないでしょうか?

そうなんです。Webエンジニアという道が新たな選択肢として目の前に現れた瞬間、同時に、自分の内側で疑問が浮かんできました。


「これまでドイツの教授と議論し、Pythonを一から写経して体系づけ、E資格まで取得して積み上げてきた『機械学習の専門性』という武器を、Webエンジニアをファーストキャリアとしたら、手放すことになる。今までの自分の必死の頑張りや努力を、すべて無駄にしてしまうのではないか」


進路が現実味を帯びるほど、「今までの自分」を否定し、裏切るような気がして、葛藤しました。修士1年の秋頃は、自問自答を繰り返していましたね。

── その葛藤を乗り越え、Webエンジニアになると決めた理由はなんだったのでしょうか?

理由は大きく2つあります。1つ目は、「人の笑顔を見るのが好き」という自身の本質的な喜びです。作ったものをリリースして直接フィードバックをもらえるWebの世界こそが、自分の原動力にフィットしていると思いました。


2つ目は、「30歳になったときのキャリア」からの逆算です。「30歳までにWebアプリケーションを1から作れて、かつ機械学習もビジネスに適用できるエンジニアになる」という理想像を描きました。そこから逆算すると、ファーストキャリアでは未経験のWeb開発を徹底的に極め、将来的に機械学習と掛け算をした方が可能性が広がっていくと考えたためです。

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1行もコードを書かないインターン。Speeeで触れた「未来のスケールから逆算する設計」

── 就職活動の中で、Speeeも含めいくつかインターンに参加されたそうですね。

はい、Speeeの短期インターンシップに参加したのは、大学院1年の11月頃でした。2日間、「データベース設計を思考する、あえてコードを書かない/実装を一切行わないインターン」だと聞き、変わったインターンだなと思いましたね。他社のWeb系インターンでは、限られた時間の中で動くシステムを作り上げる「実装重視」のものがほとんどだったからです。


「この先プロダクトが成長して未来のスケールを見据えた時に、データはどうあるべきか」を、コーディング画面を開かず、チームメンバーやメンターと顔をつき合わせて丸1日中突き詰めるのは、他にない面白さがありました。


また、顧客に本当の価値を届けるために、土台となる設計を徹底的に作り切るSpeeeの思想は、実装を重視する他社のインターンとは圧倒的に異なり、「土台づくりにここまでこだわる会社があるのか」と強烈なインパクトを受けました。

── とはいえ、選考や入社を決める過程で、迷ったりはしなかったのでしょうか?

Speeeの選考過程では実はあまり迷うことがなかったですね。特に、一次面接で出会ったエンジニアの方は印象的でした。技術面で非常に優秀なのはいうまでもないのですが、ビジネスへの解像度が本当に高かったんです。「これが将来目指すべき理想像だ」と強く胸を打たれました。


その後出会う社員の人も皆一貫して高い視座を持ち、同じ熱量でプロダクトの価値を語っていたので、組織のブレない一貫性に惹かれ、「この環境に身を置き、優秀な先輩たちとの圧倒的な差分を必死に埋めていけば、自分も技術とビジネスを両立したエンジニアになれる」と確信しました。


自分の好きな音楽事業を手がける大手企業とも迷いましたが、爆発的に成長できるファーストキャリアを手に入れられるイメージが一番湧いたのがSpeeeでした。


また、Speeeは上場しているとはいえ、親は知らない会社だったので大丈夫かと心配されましたが、最後には納得してもらい、応援してもらいました。


今振り返っても、「ここで入らなければ絶対に後悔する」そう強く思って入社した自分に、よくやったと声をかけたいですね。


▶▶▶高島さんがSpeeeでの仕事内容やキャリアについて語る後編はこちら


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