「SIer vs SES」何が違う?お金の流れと働き方で図解


- 1. 未経験エンジニアの就活で必ず出てくる「SIer」と「SES」
- 2. 業態の違いは「お金の流れ」で見ると一気に分かる
- 3. SIer|クライアントの案件を自社オフィスで作る
- 4. SES|クライアント先に常駐して開発する
- 5. 「SESはやめとけ」と言われる理由と、その実態
- 6. SIerもSESも「商流の深さ」で働き方が変わる
- 7. SIerとSESを4つの観点で比較する
- 8. あなたに向いているのはSIer? SES?
- 9. まとめ
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1. 未経験エンジニアの就活で必ず出てくる「SIer」と「SES」
未経験の就活でSIerとSESがよく話題になるのには、理由があります。それは、未経験エンジニアの大半が、最初のキャリアをこの2つのどちらかからスタートするからです。
前回 #1 で見たように、Web系の自社プロダクトがある企業(メルカリやサイボウズなどの自社開発企業)は、新卒・未経験には狭き門です。エンジニアの大半は、「他社のシステムを作る企業」、つまりSIerかSESから経験を積み始めます。
そして、SIerとSESは表面的には似ているように見えて、「お金の流れ」と「働く場所」がまったく違います。この違いが、毎日の働き方や身につくスキル、キャリアの伸び方に影響していきます。
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2. 業態の違いは「お金の流れ」で見ると一気に分かる

SIerとSESの違いを理解する最もシンプルな方法は、「誰から誰にお金が流れているか」を見ることです。
そもそもの起点は、「契約のかたち」の違いにあります。SIerは成果物(できあがったシステムやコード)に対価を支払う請負契約、SESはエンジニアの稼働時間に対価を支払う準委任契約です。この契約の違いが、お金の流れにも働き方にも表れます。お金の流れは、その違いが最も見えやすい切り口だと考えると分かりやすいでしょう。
2業態のお金の流れを並べると、契約の構造がはっきり違うことが見えてきます。
-
・SIer:作成するシステムの案件単位(プロジェクト単位)で、クライアントから対価をもらう
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・SES:エンジニアをクライアント先に常駐させ、稼働時間に対して対価をもらう
この違いが、これから見ていく働き方やキャリアパスに大きく影響していきます。
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3. SIer|クライアントの案件を自社オフィスで作る
SIer(エスアイヤー)は「System Integrator(システム・インテグレーター)」の略です。クライアント企業から「こういうシステムを作ってほしい」と発注を受けて、自社のオフィスでシステムを開発する会社です。
仕事の中身
クライアント企業から要望をもらい、要件定義から設計、開発、テスト、納品までを一貫して請け負います。プロジェクト単位で動くのが基本で、プロジェクトが終わると、また別のクライアントの別の案件にアサインされます。
たとえば、銀行から「インターネットバンキングのシステムを刷新したい」、製造業から「生産管理システムを新しく作りたい」といった依頼を受けます。それをSIer企業が要件を整理して開発するのが、典型的な仕事です。
この業態にいる主なエンジニア
システムをチームで段階的に作り上げるため、プロジェクトの工程ごとに役割が分かれています。代表的な職種を、下の表にまとめました。
| 職種 | 何をする人か |
| システムエンジニア(SE) | 要件定義・設計・全体管理。クライアントとの調整が多い |
| プログラマー(PG) | SEが書いた設計書をもとに実装する |
| プロジェクトマネージャー(PM) | プロジェクト全体の進捗・予算・人員を管理 |
| インフラエンジニア | サーバー・ネットワーク・データベースの構築・運用 |
| ITコンサルタント | クライアントのビジネス課題から関わる(コンサル系SIer) |
働く場所・働き方
基本的に、自社のオフィスで働きます。プロジェクトごとにチームが編成され、終われば別のプロジェクトへ移るのが基本です。長期プロジェクトの場合は、クライアントのオフィスに数ヶ月単位で出向くこともありますが、所属はあくまで自社で、勤怠管理も自社が行います。
身につくスキル
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・要件定義スキル、業界知識(金融・流通・公共など)
-
・システムの設計、運用経験
-
・プロジェクトマネジメント能力
-
・クライアントとの折衝(せっしょう)・調整能力
キャリアの伸び方
SIerに入社した後のキャリアパスは、システム開発の上流工程へ段階的に進むのが一般的です。入社1〜3年目で実装やテストなどの現場経験を積み、4〜7年目で要件定義や設計などの上流工程に進みます。その後、リーダーやプロジェクトマネージャー(PM)へとステップアップしていきます。
大手SIerでは、課長や部長といった管理職へ昇進する道もあります。専門性を深めて技術スペシャリストになる道など、社内でのキャリアパスも複数用意されています。
代表的な企業例
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・NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所
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・アクセンチュア(コンサル × SIer)
向いている人
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・クライアントとの交渉やコミュニケーションが苦にならない人
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・チームで何かを成し遂げるのが好きな人
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・社会を影から支えたい人
-
・安定的なキャリアパスを描きたい人
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4. SES|クライアント先に常駐して開発する
SESは、System Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)の略です。自分の所属するSES企業から、クライアント先の現場に常駐してエンジニアとして働く業態です。
なお、「派遣」と混同されがちですが、SESの契約形態は準委任の業務委託契約が一般的で、労働者派遣(派遣法に基づく派遣)とは別物です。
準委任契約では、エンジニアへの指揮命令(業務の指示など)は、あくまで所属するSES企業側にあるのが原則です。クライアントが直接細かく指示すると、「偽装請負」という問題になります。
対して派遣では、労働契約は派遣元企業と結びますが、実際の指揮命令は派遣先(クライアント)が行うという違いがあります。
仕事の中身
所属はSES企業のまま、クライアント先のオフィスに常駐して開発に従事します。仕事内容はクライアント先のプロジェクト次第で、Web開発もあれば、業務システムの改修もあります。
配属される現場によって、最新技術を使うこともあれば、長く運用されているシステムの保守を担当することもあります。
この業態にいる主なエンジニア
SESは案件によって役割が大きく変わります。そのため、「いろいろな現場で異なる役割を経験する」というキャリアの広がり方が特徴です。主な職種は、下の表のとおりです。
| 職種 | 何をする人か |
| プログラマー(PG) | 実装中心。現場によってはテストや運用も担当 |
| システムエンジニア(SE) | 設計や顧客折衝も担当することがある |
| インフラエンジニア | サーバー・ネットワークの構築・運用 |
| テストエンジニア | システムの動作検証・品質確認 |
働く場所・働き方
クライアント先のオフィスに常駐するのが基本です。SES企業のオフィスには、ほぼ行きません。プロジェクトが変わると、勤務地やチームメンバー、使う技術が大きく変わります。
通勤先がプロジェクトごとに変わるため、住む場所もそれに合わせて考える必要が出てくる場合もあります。
身につくスキル
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・多様な現場を経験することで、技術の幅が広がりやすい
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・業界やプロジェクトをまたいで働くことで、適応力が身につく
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・現場での実装経験を多く積める
キャリアの伸び方
SESに入社した後のキャリアパスは、現場経験を重ねて広げていくのが一般的です。入社1〜3年目で複数の現場を経験して技術の幅を広げ、4〜7年目でリーダー的なポジションに就いたり、特定の技術領域のスペシャリストになっていったりします。
SES企業の中には、社員のスキルアップを支援する研修制度や、自社内での開発プロジェクトを持つ会社もあります。そうした会社では、現場経験を積みながら、社内でリーダーやマネージャー、スペシャリストといったキャリアへ進めます。
代表的な企業例
SES企業は業界全体で数千社規模あり、規模も品質もさまざまです。大手から中小・零細まで存在します。未経験向けの研修制度が充実した優良企業から、案件にアサインするだけの会社まで幅広くあります。「会社による差が大きい業態」と理解しておくと良いでしょう。
向いている人
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・コードを書く時間を多く確保したい人
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・いろいろな現場・技術を経験して幅を広げたい人
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・さまざまな業界に触れながらキャリアを積みたい人
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5. 「SESはやめとけ」と言われる理由と、その実態
ネットで就活情報を調べると、必ずといってよいほど「SESはやめとけ」という意見が出てきます。なぜそう言われるのか、その実態とあわせて整理しておきましょう。
「やめとけ」と言われる主な理由
■ 1. 多重請負の問題
まず、「請け」という言葉から整理しましょう。請けとは、ある会社が引き受けた仕事の一部を、別の会社がさらに引き受ける仕組みのことです。クライアントから直接仕事を引き受ける企業は「元請け(1次請け)」、その下でさらに仕事を引き受ける企業が「二次請け」「三次請け」と続いていきます。

SES企業の中には、クライアントとエンジニアの間に複数の会社が入る「多重請け」状態で、商流の深い部分に位置するケースがあります。間に入った各社がマージン(手数料)を取る仕組みであるため、クライアントが払う人月単価と、エンジニアの手取り給与の差が大きくなることがあります。
ただし、単価と給与に差が出ること自体は、どの会社でも当然です。差額には、会社の運営費や利益、社会保険料の負担などが含まれます。問題になりやすいのは、間に何社も入って中間マージンが何重にも取られる「多重請け」の構造です。
■ 2. 配属先による差が大きい
クライアント先によって、仕事内容やチームの雰囲気、使う技術が大きく違います。自分にあった現場に配属されれば成長の可能性が高まりますが、希望するキャリアにそぐわない現場や、特定の現場に長く配属されると、スキルが伸びにくいこともあります。
選考の段階で、「配属先の希望はどこまで通るか」「最初はどんな現場が多いか」を確認しておくと安心です。
■ 3. キャリアの方向性が見えにくい場合がある
プロジェクトが変わるたびに使う技術や役割が変わるため、「自分は何の専門家なのか」が定まりにくい場合があります。意識的にキャリアを設計しないと、経験だけ広がって深まらないこともあります。
会社による差が大きいのが実態
ただし、これらは「SES全部に当てはまる話」ではありません。大手のSES企業や、特定領域に特化した優良なSES企業も多くあります。「SES」と一括りにせず、会社ごとに見極めることが大切です。特に、ネット上では良くない話題が目につきやすいため、それだけを鵜呑みにせず、自分でしっかり確認しましょう。
良いSES企業を見分けるポイント
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・多重請けでなく、直接クライアントと契約している(または二次請けまでで収まる)か
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・エンジニアのキャリア開発を会社として支援しているか
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・配属先の選択に本人の希望が反映される仕組みがあるか
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・教育や研修制度があるか
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・自社開発プロジェクトを持っているか
これらが整っている会社であれば、SESとして未経験から始めても、キャリアを築いていける可能性は十分にあります。「SES」という業態名だけで判断せず、個別の会社の中身を見て選ぶことが、もっとも重要です。
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6. SIerもSESも「商流の深さ」で働き方が変わる
SIerとSESのどちらを選ぶ場合でも、「商流の深さ」を意識すると、企業選びの精度が上がります。
商流が深くなるほど、つまり間に入る会社が増えるほど、任される工程は下流になりやすい傾向があります。元請けは要件定義や設計などの上流を担い、下流の会社ほど実装やテスト、保守の一部を切り出して受け持つことが多いためです。
商流が深い企業では、プログラミングのスキルや上流の経験を積みにくく、キャリアを築きづらくなることがあります。そのため、企業を選ぶときは、元請け(一次請け)から二次請けあたりまでを目安にすると良いでしょう。
ただし、未経験から「まずプログラミングスキルをしっかり身につけたい」と考えるなら、見方は少し変わります。元請けの大手では、上流工程やマネジメントが中心で、自分でコードを書く時間が少ない場合もあるためです。手を動かす量を重視するなら、SESや二次請けのSIerのほうが合うこともあります。
つまり、商流の深さは「浅ければ良い」と一概にいえるものではありません。自分が上流の経験を積みたいのか、まず実装力を身につけたいのかによって、合う企業は変わります。求人や面接で「どの工程を担当するか」「元請けか下請けか」を確認し、企業を見極めましょう。
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7. SIerとSESを4つの観点で比較する
ここまで見てきたSIerとSESの違いを、4つの観点で表にまとめました。
| 観点 | SIer | SES |
| 働く場所 | 自社オフィス | クライアント先(常駐) |
| 仕事の中身 | プロジェクト単位の受託開発 | 現場ごとに変わる |
| 入社後のスキルの伸び方 | 上流工程・業界知識を体系的に積む | 多様な現場で技術の幅を広げる |
| キャリアパスの例 | SE → リーダー → PM → 管理職、または技術スペシャリスト | 多現場経験 → リーダー → スペシャリストやマネジメント |
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8. あなたに向いているのはSIer? SES?
ここまで読んで、自分がどちらに向いているか、イメージが湧いてきた方もいるかもしれません。あらためて、SIerとSES、それぞれに向いている人を整理しましょう。
もちろん企業によって異なる部分はありますが、自分のキャリアの志向性について、大まかな方向性を持っておくことが大切です。
SIer:「腰を据えて、上流工程まで経験を積みたい」人
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・クライアントとの折衝も含めて、システム作りの全工程を経験したい
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・業界知識を深めて、長期的にキャリアを築きたい
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・リーダーやPM(プロジェクトマネージャー)を目指したい
SES:「いろいろな現場でコードを書き、プログラミングスキルを身につけたい」人
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・手を動かす時間を多く確保したい
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・さまざまな業界や技術を経験して幅を広げたい
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・リーダーやスペシャリストを目指したい
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9. まとめ
SIerとSESは、「お金の流れ」と「働く場所」が違うため、毎日の働き方も大きく変わります。SIerは自社オフィスで案件単位に開発し、SESはクライアント先に常駐するのが基本です。どちらも入社後にスキルを積み、リーダーやスペシャリスト、マネジメントなど、社内でキャリアを伸ばす道があります。「SESはやめとけ」という声もありますが、会社選びによって結果は大きく変わります。自分のタイプに合った業態と会社を選ぶことで、最初のキャリアの満足度は変わってくるでしょう。
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