SI企業の役割とは | 業務内容や適性を判断するケーススタディを紹介

• 1.SI企業とは

• 2.SI企業の業務内容

• 3.SI企業にある4つの種類

• 4.身近にあるSI企業のサービス

• 5.SI企業に入社するメリット

• 6.SI企業に入社するデメリット

• 7.SI企業と他のIT業界にある企業や職種との違い

• 8.【ケーススタディ】SI企業の適性チェック

• 9.まとめ

1.SI企業とは

SI企業は、顧客のニーズを分析しシステム設計から構築、運用、保守までのプロセスを請け負う企業のことです。場合によっては、ITコンサルティングや教育・トレーニングも提供することで、情報技術分野において顧客のビジネス目標達成や効率化を支援する役割を果たしています。

2.SI企業の業務内容

SI企業は、各システムの統合や保守などを行い、顧客の課題解決を図ります。そのため、業務内容としてはシステムエンジニアに近くなるでしょう。
具体的には、下記の流れで業務を進めます。
 

• 1.システム設計・提案

  2.システム構築・開発

  3.システム統合

  4.運用・保守

まず市場調査などを通して、要件定義やシステム設計を行い、必要となるソフトウェア開発やネットワーク構築などを考えます。その後、クライアントからのヒアリングなどを通して、詳細の詰めやシステムの構築・開発を進め、実装です。

運用・保守ではシステムの監視やメンテナンスを通じて安定稼働を確保できるようサポートします。場合によっては、顧客のビジネス目標に合わせたIT戦略の策定やシステム導入に関するコンサルティングやシステムの活用支援などを行う場合もあります。

社会やクライアントに求められるシステム開発が求められるため、論理的思考力やコミュニケーション力が必要になるでしょう。開発に携わる場合は、プログラミングなどの技術的なスキルが求められます。

3.SI企業にある4つの種類

次に、SI企業の5つの種類について解説します。

ユーザー系SI企業

ユーザー系SI企業とは、商社、金融系、製造系など様々な業界に属する親会社・グループ会社向けにシステム開発を行なっているSI企業です。安定的に仕事を受注できるため経営状況は安定しやすく、社員の労働環境も整えられています。その一方で、親会社の業績・意向に強く影響を受けるというデメリットがあります。

メーカー系SI企業

メーカー系SI企業とは、パソコンなどのハードウェアを製造しているメーカーの情報システム事業部が親会社から独立・分社してできたSI企業です。

ユーザー系同様、親会社・グループ会社向けにシステム開発を行いますが、業界・業種がハードウェア関連に限定されています。また、安定的に仕事受注できるため経営状況・社員の労働環境は安定する一方で、親会社の業績・意向に強く影響を受けるという特徴も類似しています。

 独立系SI企業

独立系SI企業とは、親会社を持たずに独自経営でシステム開発を行なっているSI企業です。

大手企業のシステム事業部に所属していた社員が起業してできた会社が多く存在します。親会社を持たないため経営は比較的不安定になりやすいですが、あらゆる業種・業界と関わることができる、昇進・出世がしやすい、仕事のやり方の自由度は高いなどのメリットがあります。

外資系SI企業

外資系SI企業とは、海外の大手企業の日本法人です。

この企業で働く場合、本国で展開されているソリューションサービス・コンサルティング業務などのグローバルなプロジェクトに携われるチャンスが多いと言われています。本社が海外の企業であるため、社内には年功序列など日本企業の仕組みが適応されません。したがって、実力主義の企業が多いという特徴があります。新入社員でも十分に活躍できる機会が与えられる一方で、他の社員との競争に勝ち続けなければなりません。

4.身近にあるSI企業のサービス

SI企業は、BtoB事業となるため、身近なところでそのサービスの恩恵を意識して感じる場面は少ないでしょう。

そこでここでは、身近にあるSI企業サービスについてご紹介します。

銀行のオンラインシステム

SI企業は、銀行業界向けのオンラインバンキングシステムの開発、提供をしています。

このシステムでは、顧客が自宅やオフィスからインターネットを通じて銀行取引を行うことが可能です。具体的な機能には、口座残高照会や振込・送金、定期預金や投資商品の管理があり、これらシステムの統合運用などをSI企業が請け負います。

金融システム開発では、暗号化技術や二段階認証などを用いて顧客の情報を保護するなど、セキュリティの堅牢さが強く求められるでしょう。

キャッシュレス決済システム

銀行システム同様、キャッシュレス決済システムの開発などもSI企業が請け負っています。

POS端末連携やクレジットカードやＱＲコード情報の送受信、ポイント付与やキャッシュバック機能などがスムーズに処理されるようなシステムを統合します。

乗車券や航空券の予約システム

交通機関に提供される予約システムも、SI企業が請け負う開発運用案件の一つです。

顧客がオンラインでチケットを予約・購入するためには、複数のハードウェアやソフトウェアのシステム統合が必要となり、この部分をSI企業が主導しています。

顧客情報登録やリアルタイムでの空席情報の更新、決済などあらゆる領域を統合させるため、大規模な開発や運用案件になることが多いでしょう。

5.SI企業に入社するメリット

ここでは、SI企業に入社する3つのメリットについて詳しく解説します。

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規模の大きい仕事に関わることができる

SI企業の仕事は基本的にBtoBです。したがって、SI企業からサービスを受けたいと考えるクライアントが求めているシステムは、企業のネットワークに関わるため必然的に大規模なことが多くなります。大きな仕事に関わることにやりがいを感じる人にとっては、大きなメリットであると言えるでしょう。

また、このように長期的に一つのプロジェクトと向き合うことになるため、働き方が頻繁に変化することもなく、安定的に働くことできるというメリットもあります。

特定の業界・業務のスペシャリストになれる

上述した通り、SI企業の業務における一つ一つのプロジェクトは大規模・長期的なものが多いです。

したがって、長い時間に渡って特定の業界・業種に所属することができるため、専門的な知識や経験を得ることができるというメリットがあります。何かのスペシャリストになりたいと考えている人にとっては、理想の環境であると言えるでしょう。

 企業の経営状態が安定していることが多い

ユーザー系・メーカー系のSI企業の場合、親会社から安定的に仕事を受注できるため、経営状態が安定しやすいというメリットがあります。

また、外資系SI企業も原則海外の大企業の日本法人であるため、同様に安定していることが多いです。独立系や小規模のSI企業の場合は例外ですが、しっかりとした教育制度が整っている、福利厚生が充実しているなどを就職活動の軸に置いている人にとっては、SI企業は向いていると言えるでしょう。

6.SI企業に入社するデメリット

意思決定に時間がかかる場合がある

SI企業の会社や一つ一つのプロジェクトの規模が大きいことによるデメリットもあります。その一つが、あらゆる意思決定に時間がかかってしまう場合がよくあるというものです。

一つの決断に対して承認を得なければならない人や会社が多くなればなるほど、仕事のスピード感は必然的に落ちてしまいます。もしスピード感を持って働きたいという人は、独立系や中小SI企業を選択することで比較的自由度が高い環境で働くことができます。

会社の仕組みや使用している技術が古い場合がある

会社や一つ一つのプロジェクトが大規模であるもう一つのデメリットは、会社の仕組みや、システム開発に使用される技術が古くなってしまっている場合があるという点です。

大きな企業ほど「昔ながらのやり方」を踏襲している場合が多く、また品質リスクを抑えるために新しい技術の導入などの提案は却下されてしまうことも少なくありません。常に最先端の技術を使って仕事がしたいと考える人は、先ほどと同様に独立系や中小SI企業で働くことをおすすめします。

ピラミッド構造による弊害

ピラミッド構造とは、大手SI企業が受注した仕事の一部を中小SI企業に委託し、またその企業がより小さい企業へ仕事の一部を委託するという仕組みを指します。大手SI企業がシステム開発における上流工程（クライアントとの打ち合わせ、要件定義、設計書の作成など）を担当し、下流工程（プログラミング、テスト、サーバー構築など）を中小SI企業に委託するという流れが一般的です。

ピラミッド構造の下に属する小さい企業ほど、仕事を受注し続けるために上からの無理な要求にも従うしかありません。したがって中小SI企業で働く人は、仕事量に見合わない給料しかもらえない中、厳しい納期に間に合わせるための長時間労働や休日出勤などを余儀なくされる場合があります。大手企業に就職することで、このような過酷な環境で働く可能性を最小限に抑えることが可能です。

しかし、先ほど述べた通り大手企業にも様々なデメリットは存在するため、それぞれのメリット・デメリットを照らし合わせながら自分に合った企業を選ぶ必要があります。

7.SI企業と他のIT業界にある企業や職種との違い

SI企業と混同しやすい企業、職種としてweb企業とSEがあります。

ここでは、SI企業と2つの違いについて詳しく解説します。

SI企業とweb企業の違い

業務面の違いとして、SI企業は顧客の情報システムの全体設計や構築・運用を担当するのに対し、Web企業はWebサイトやアプリの開発・デザイン作成を担当するという違いがあります。

また、受注元の違いも大きいです。SI企業はクライアントから依頼を受けて開発をするのに対し、web企業では自社サイトやサービスの開発を進める所もあります。そのため、SIはBtoBですが、web企業は企業によってBtoCとなることもあるでしょう。

SIとSEの違い

SIはシステム全体の設計や統合・運用に焦点を当てるのに対し、SEは主にソフトウェアやシステムの開発・プログラミング・テストなどの技術的な業務の主導を担当します。

このように、SIはシステム全体を見据えた設計や統合を行うのに対し、SEはソフトウェアやシステムの開発を行うため、プログラミング言語や開発ツールに精通しています。SIの業務フローのなかでも、特に技術的なサポートを担当するのがSEという認識です。

8.【ケーススタディ】SI企業の適性チェック

IT業界への就職を考える時にも、「本当にSI企業でよいのか」といった不安や悩みもあるのではないでしょうか。
そこで、SI企業に適性がありそうかをチェックできるケーススタディをご用意しました。下記の5項目のなかで、3つ以上当てはまる場合、SI企業に適性があり活躍しやすいといえるでしょう。
 

• ・あらゆる便利なサービスの基盤を作りたいという思いがある

  ・話すことよりも聞くことの方が好き

  ・好奇心が旺盛え、新しい知識を付けるのが苦じゃない

  ・1人よりも、複数人で作業を進める方が楽しいと思える

  ・チームのトップに立って業務をリードしていきたい

  ・プログラミング言語やネットワーク技術に関する基礎知識もしくは実務経験がある

関連記事：学生必見！文系からSIerへの就職を成功させる方法

9.まとめ

IT業界のなかでも、SI企業を志望している人は多いのではないでしょうか。SI企業は社会のITインフラの推進とその運用保守に携わるため、市場に生み出す価値やインパクトが大きく、やりがいもある仕事となります。

SI企業への就職を迷われている方は、本記事の内容が参考になれば幸いです。

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