あえて上流から始める。AI駆動開発で替えの効かない人材を目指し、クレディセゾンにスピード内定

コードが得意ではない先輩が選んだのは、実装をAIに任せて上流から始めること。そして、エンジニア学生が憧れるビッグテックではなく、エンジニアが少ない環境で「替えの効かない存在」を目指すことでした。土台になったのは、学外のつながりから始めた約1年半の業務委託案件での実績です。面接ではコーディングテストではなく、その実務の中身を深く問われたといいます。「戦う場所」をどう決め、どう評価されたのか。その戦略をじっくり聞きました。

\ITエンジニア特化の就活支援サービス/
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【プロフィール】
卒業年度:2027年卒
大学・専攻:私立大学 情報系学部
内定先:株式会社クレディセゾン
職種:エンジニア職
配属部署:社内DX関連のエンジニア領域想定
初任給・オファー月給:月給26万4,000円
1.就活前〜就活開始時に取り組んだこと
Q. 就職予定の企業の職種と事業領域は?
株式会社クレディセゾンのエンジニア職として内定をいただきました。
同社は「セゾンカード」で知られる大手クレジットカード会社です。現在は総合ファイナンスカンパニーとして、キャッシュレス決済の推進に加え、金融データや顧客基盤を活用したDXにも力を入れています。
社内の技術職は「社内SE職」と「エンジニア職」に分かれていて、私は後者で採用されました。正式な配属は入社後に決まりますが、会員さま向けのスマホアプリの開発ではなく、社内DXの推進や、決済データを扱う基幹システムの設計・実装を担うチームになる見込みです。
Q. 数ある企業のなかから、クレディセゾンを選んだ理由は?
決め手は、AIやDXに本格的に舵を切る企業で先頭に立てることと、大企業なのに挑戦へのスピード感があることです。
学生の頃から技術力を磨き、エンジニアを志す学生の多くは、メガテック企業や大手IT企業に強い憧れがあると思います。しかし私は、あえてエンジニアが比較的少ない環境に身を置き、自分の価値を周囲に示すことで「替えの効かない存在」になる、という戦略を取りました。
トップ層が高い技術力で競い合う激戦区に飛び込むより、これからAIやDXに本格的に舵を切る企業で先頭に立つほうが、評価や報酬といった市場価値を早く高められると考えたからです。
そこで出会ったのがクレディセゾンでした。大企業なのにAIなどの最新技術に寛容で、リスクのある挑戦にもフットワークが軽い会社です。面接でも「日本の大企業としては珍しいくらい、意思決定や行動のスピードがはやい」と感じました。最終面接のわずか数十分後に合格の連絡が届いたことにも、その社風が表れていると思います。
Q. 就活前に、開発関係で取り組んだことは?
大学1年の冬から、業務委託としてアプリ開発に携わってきました。
きっかけは、1年生のゼミで出会った友人です。インターンに片っ端から応募するような行動派で、彼と仲良くなったことで刺激をもらいました。彼に誘われて知り合いの事業を手伝い始め、そこから約1年半以上、実務経験を積んだんです。
受託開発や自社プロダクトのWebアプリ開発を手がけ、ピーク時には受託で月収34万円の売り上げに達したこともあります。
主な開発は次の4つです。
ToB向けカメラ機材の在庫管理アプリ
カメラや機材の在庫管理・棚卸しを効率化するWebアプリで、一から制作しました。納品後の現在も、企業の日常業務で使われています。
社内向けAI議事録・会議管理システム
生成AIが広まり始めた時期に、3〜4人のチームで開発しました。社内データの情報漏洩を防ぐセキュリティ設計を取り入れ、安全に議事録の生成や会議管理ができる仕組みに仕上げています。
不動産業者向け業務改善アプリ
2025年10月ごろ、大学教授の紹介で、不動産事業を営む方の課題解決アプリを手がけました。要件定義から制作まで、担当はすべて自分ひとりです。
友人のスタートアップの開発支援
友人が起業した会社で、自社アプリや受託案件の実装を支援しています。
Q. 就活開始時点の開発スキルと、習得言語は?
大学の授業で、Pythonやコンピューターサイエンスの基礎を少し学びました。ただ、何も見ずにコードをスラスラ書けるタイプではありません。AIを使わず、自力でコーディングテストを解くとなると、正直かなり怪しいです。
それでも約1年半以上の実務開発をこなせたのは、最初からAIを使いこなす前提で取り組んでいたからです。当時CursorというAIエディタが流行っていて、委託先の会社に費用を負担してもらって使い始めました。そこからClaude CodeやCodexなどの新しいツールを次々と取り入れ、実装やエラーの修正はAIに任せるスタイルを確立したんです。
限られた時間で成果を出して報酬を最大化するには、コードを書く作業より上流工程を優先して押さえるのが近道でした。そこで、クラウドサービスやデプロイ環境の使い方、ライブラリの選定、要件定義といった全体の仕組みを先に学びました。AIに正しく指示を出すための知識を実践を通して身に付けていった形です。
Q. 就活のスタート時期と具体的にやったことは?
就活を本格的に始めたのは2025年11月です。レバテックルーキーの面談を受けることから始めました。夏のインターンや事前の企業説明会などには、まったく参加していません。
その後、エージェントから送られてきたおすすめの企業リストを確認していき、最終的にエントリーしたのは約15社です。その内10社ほどが自社開発企業でした。
内定までは、就活を本格的に始めた頃から約1か月で、クレディセゾンの合格の連絡をいただいたのは12月中旬ごろです。
当時はアルバイトと開発でとにかく忙しく、見栄えの良いポートフォリオサイトを作る時間がありませんでした。そこで、AIにGitHubのコミット履歴をすべて遡らせ、実績や工夫を箇条書きにして整理させました。このドキュメントを、ポートフォリオ代わりに提出したんです。
ドキュメントには、AIのコンテキストウィンドウを圧迫せず、精度を保ったまま開発できる環境作りの工夫を書きました。さらに、4年間続けたファストフード店でのマネージャー経験から、人を見る力を仕事にどう活かせるかも強みとして伝えました。
Q. 志望企業を絞り込むうえで重視した「軸」は?
軸は大きく2つあります。
1つ目は、企業がAI活用に寛容かどうかです。当時はまだAI活用が浸透しきっていない時期でした。AI前提で開発を進める私のスタイルは、寛容な企業でなければ、そもそも採用してもらえないと考えたんです。そこで、カジュアル面談や1次面接では、社内でAIをどう活用しているかを積極的に質問し、AIに対する姿勢を確かめていました。
2つ目は、自社開発企業であることです。この先AIが進化すれば、プログラミングの知識がなくても、自社の業務を熟知した現場の人がアプリを作れる時代が来ます。そうなると、外注であるSESに回る仕事は減っていくと予測しました。そのため、企業のコア業務や内製化に直接関われる自社開発と社内DXの領域に絞って受けました。
2.株式会社クレディセゾンの選考詳細
Q. 選考(テスト・面接)で問われた内容と評価ポイントは?
選考の流れとしては、エントリーシート提出、適性検査、1次面接、最終面接の順でした。1次面接は現場エンジニア1名との面接、最終面接は人事とエンジニアの2対1です。
面接で聞かれたのは、実務経験の中身です。
具体的には、就活でよくある定型の質問ではなく、「スマホアプリを作った経験はあるか」「リリース後の保守運用はしたことがあるか」といった、実務の中身を問う質問が中心でした。エンジニア同士で実務の力を確かめ合うような雰囲気で、実践的な活動を深く掘り下げられました。
評価されたのは2点だと感じています。1つは、実務でAIを活用しながらアプリを納品してきた経験とDXへの思い。もう1つは、親しみやすくおだやかな人柄です。
Q. 面接でAIの利用はどう聞かれてどう答えた?
聞かれたのは「ハルシネーション対策」と「情報漏洩リスク」の2点です。
ハルシネーション対策について
面接官から、AIが間違えないようにどう工夫しているかを問われました。当時はAIがファイル階層を認識できず、ホームディレクトリに同じファイルを重複して作ってしまう課題があったんです。そこで、ドキュメント内にフォルダやファイルのツリー構造をまとめたストラクチャーファイルを作成しました。AIのルール設定であるRulesにファイルを読み込ませ、まずは構造を理解させました。そのうえで、実装計画を立てさせるプロンプト設計にしたところ、誤答もコンテキスト消費も抑えられたんです。面接では、そのエピソードを伝えました。
情報漏洩への懸念について
企業情報をAIサービスに打ち込むリスクについても聞かれました。これに対しては、ある程度のリスクは受け入れざるを得ないと答えました。そのうえでの回避策として、ChatGPTなどのエンタープライズ契約を結び、法人間契約にすることでリスクを抑える方法を挙げています。将来的には、企業単体でローカルAIを構築・運用する方法もあると提案しました。
Q. 選考で「見られている」と感じたことは?
1つ目は、実務での開発経験とAI活用のノウハウです。お金をいただき、責任を持ってアプリを開発してきた経験は、大きな強みになりました。
2つ目は、人柄です。面接では開発の実績ばかりで盛り上がっていたのですが、途中で面接官から「あなた自身のことをまだ聞けていないので、一旦話を止めて教えてほしい」と言われたんです。そこから、生い立ちや好きなことを詳しく聞かれました。技術力だけでなく、一緒に働く相手としてどんな人かも見られている。そう実感した場面でした。
Q. 選考で「難しい」と感じたことは?
面接序盤の空気と、挫折経験の質問の2つです。
エンジニア面接の序盤の空気には慣れませんでした。実績を疑われているような、探るような硬い雰囲気だったんです。ただ、保守運用が未経験であることも正直に伝え、開発で工夫した点を話すうちに、少しずつ信頼を得られました。
もう1つは、「これまでに挫折した経験は?」という質問です。すぐに思い浮かばず、数秒間フリーズしてしまいました。最終的には「思い浮かばないです」と正直に答えて、乗り切りました。
Q. 面接で自社開発企業に特有の着眼点は?
技術重視の自社開発企業ほど、AIに頼らない実装力を見られる印象です。他社では、Google検索は許されてもAIの使用は不可というコーディングテストが多かったんです。ゼロからコードを書く下流の知識を問われました。「AIばかり使わず、1からコードを学び直す意欲はあるか」とも聞かれています。上流を中心にやってきた私は、入社後にしっかり知識を積み上げていく姿勢を伝えました。
対照的にクレディセゾンは、営業などからエンジニアへ配置転換できる制度があるほど、間口の広い会社です。技術力より、コミュニケーションの取りやすさやポテンシャルを尊重してくれると感じました。
Q. 内定者に共通する「必要最低限のスキルライン」は?
スキルラインというより、共通していたのは人柄でした。内定者懇親会で同期と顔を合わせると、全員が優しく話しやすい人ばかりだったんです。周囲と良好な関係を築き、協調して働けること。それが何よりのベースラインなのだと思います。
3.就活を振り返って「やるべきだ」と思うこと
Q. 就活で「やっておいてよかったこと」は?
社会人の方々と、普段から対等に話していた経験です。
大学入試の面接では、教授を相手にかなり緊張して、うまく話せませんでした。それが業務委託を始めてから変わりました。報酬をいただく立場でエンジニアやコンサルの方々との打ち合わせを重ねるうちに、大人への苦手意識や身構える感覚が自然と抜けていったんです。
おかげで、就活の面接も気負わず進められ、最終的には面接で企業の取り組みやビジネスの視点を聞けることを楽しんでいましたね。
Q. 就活で「やっておけばよかったこと」は?
英語の勉強です。
たとえば、Claudeが出している最新のAI関連資格は、試験問題がすべて英語です。日本語なら解けるレベルの内容だったのに、英語が読めず、資格の取得を逃してしまいました。取れていれば、選考でもかなり有利に働いたはずです。これからの最新技術は、日本ではなく英語圏から発信されます。一次情報をいち早くつかみ、まだ誰も見ていない領域に飛び込んで希少性を高めるためにも、英語力は欠かせなかったと思います。
Q. 就活で「やらなくてもよかったこと」は?
ファストフード店のアルバイトを、長く続け過ぎたことです。
高校2年から4年間続け、2年ほどでマネージャーを任されました。ただ、就活で成果を出すことだけを考えるなら、数か月のマネージャー経験があれば面接で話すネタはそろいます。そこまで到達した時点で辞めて、ほかの挑戦に時間を回すべきでした。
続けていたのは、大変そうな社員さんを見て「土日だけでも助けたい」と思ったからです。その気持ちに後悔はありません。ただ、就活を中心に考えるなら、早めに区切りをつけて、英語や技術の学習に集中したほうが効率的ではありました。
Q. 同様の状況にある後輩が自社開発を目指すなら、まず何をやるべき?
エンジニアコミュニティやイベントに足を運ぶことをおすすめします。そして、外部の人とつながることで、スタートアップなど実際に企業で実務を経験するのが理想です。
スタートアップは、大手企業と比べて学生でもインターンなどで働けるチャンスがあります。学生が実務経験を積めるだけでなく、企業側も学生に戦力として働いてもらえ、助かる。お互いにメリットのある関係を築けます。
また、ベンチャー企業での実務経験は、ガクチカとして就活にも活かせます。一般的な就活イベントに出るより、現場で仕事を任される経験のほうが、圧倒的な強みになるでしょう。
IT系に限らず、あえて異業種のコミュニティに顔を出すのもおすすめです。DX化に悩む企業から、「こういうツールを作ってほしい」と直接相談を受けて、案件につながるチャンスが転がっているかもしれません。
4.エンジニアの就活やキャリアの今後について
Q. 採用人数の減少や初任給の上昇など、AIがエンジニアの就活市場に与えている影響の実感は?
私にとっては、間違いなく追い風でした。
新卒採用の市場全体を見ても、AI活用が一般的になったからこそ、AIを使った開発を根気強く行ってきた人が評価される時代になったと感じます。 コーディングテストのように、その場の頭の回転や論理的思考力だけで評価される時代ではなくなったのではないでしょうか。下流の実装はAIに根気強く任せ、自分はアーキテクチャや上流工程の知識をしっかりと学ぶ。そうしてAIを正しくコントロールしながら開発を推進できる就活生が評価される、まさに「AIを勉強した者勝ち」の環境になっている実感があります。
Q. AI時代のエンジニアキャリアに不安はある? 今後の見通しは?
不安は大きくありません。AIの劇的な進化は、どこかでゆるやかになると見ているからです。
私の感覚では「月額3万円ほど出して個人開発でAIを使うレベル」がひとつの限界ではないかと思います。モデルの性能競争が激しくなる一方で、利用制限によって、同じ金額でできる範囲が狭まっている印象があるからです。
背景には、インフラ面と経済面の限界があると思います。データセンターのメモリやGPUの耐用年数は5〜6年ほどで、数年ごとに機器を入れ替え続ければ、維持費は膨大になります。最新モデルを動かすためのリソースが増え続けるほど、安価なモデルを運用すること自体が難しくなっていくはずです。
だからこそ、進化のペースは今の性能付近で、一度落ち着くと考えています。エンジニアが淘汰され、誰も就職できなくなる事態にはならないでしょう。
ただし、下流でコードを書くだけだと厳しくなるのは事実です。早いうちに上流工程の視点を押さえておけば、AI時代でも生き残れると考えています。そうした市場の変化を見越して自分の戦略を立てていたため、 多くの人が憧れるであろう大企業の大所帯な開発環境をファーストキャリアに選ばなかったことにも、焦りや後悔はありません。
Q. 今後、エンジニアとしてどのようなキャリアを築いていきたい?
将来は、開発者にとどまらず、プロジェクトマネージャーや管理職といったマネジメント領域に進みたいです。
若いエンジニアが最初から管理職を志望するのは珍しいからこそ、そこに独自の価値が生まれると考えています。学生時代から実務開発をしてきた経験も、その「珍しさ」があったから評価につながりました。競合の少ない立ち位置を取ることで、企業内で替えの効かない存在になりたいです。
クレディセゾンは、ちょうどAI活用の道を模索している途中だと聞いています。私が現場で実践してきたAI活用のノウハウやアイデアを注ぎ込み、業務改善やDX施策を積極的に形にしていきたいです。
5.事例から学ぶ!就活のポイント(編集部コメント)
今回の事例から、自社開発企業を目指す人に取り入れてほしいことが2つあります。
1つ目は、AIを使って、まず何か一つ作り上げてみることです。もちろん、プログラミングの基礎を学ぶことは欠かせません。そのうえで、AIを使いこなして実際に動くものを形にする経験を積んでみましょう。自分の勉強になるだけでなく、今回の先輩のようにやり込めば、企業へのアピール材料にもなります。コードをすべて自力で書けなくても、AIに正しく指示を出し、成果物を作り上げる力は、これからの時代の強みになるはずです。
2つ目は、実務経験を積むために、ハッカソンやエンジニアのコミュニティに顔を出すことです。今回の先輩も、学外のつながりから業務委託の案件にたどり着きました。「長期インターンをしたいけれど、案件が見つからない」と悩む人は少なくありません。そんなときは、コミュニティやイベントに足を運んでみましょう。そこで生まれた人との縁が、実務のチャンスにつながることがあります。
大切なのは、まず小さく手を動かし、人の輪に飛び込んでみることです。その一歩が、自社開発企業の内定へと近づく経験になっていきます。
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