勝因はモノづくりへの情熱と幼少期まで遡る自己分析。機械系院生が掴んだ三菱重工・任天堂W内定

勝因はモノづくりへの情熱と幼少期まで遡る自己分析。機械系院生が掴んだ三菱重工・任天堂W内定
「中高時代からの原点であるモノづくりへの熱意」と「徹底的な自己分析」を武器に、三菱重工および任天堂という日本を代表する2社から内定を獲得した先輩。 機械系専攻として大学1年時からプログラミングに触れつつも、流行に流されず「ハードとソフトの架け橋となるモノづくり」にこだわり抜いたキャリア選択の裏側に迫ります。

幅広い業界分析やOB・OG訪問を通じて見つけた自身の軸、面接で評価された「コミュニケーション力」、そしてAI時代におけるエンジニアの生き残り戦略まで。詳しく語っていただきました。
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【プロフィール】

  • ・卒業年度:2027年卒

  • ・大学・専攻:大学院・機械系専攻(修士課程)

  • ・内定先:三菱重工(就職予定)、任天堂

  • ・職種・事業:エンジニア職(三菱重工:航空宇宙セグメント 宇宙事業部/任天堂:ハードウェア技術系)

  • ・初任給:三菱重工 27万円/月(修士卒)/任天堂 30万円/月(修士卒)

1. 就活前〜就活開始時に取り組んだこと

Q. 内定企業の職種と、選んだ事業領域について教えてください。

職種はどちらもエンジニア職です。


三菱重工業では、配属部署は入社後に決まりますが、航空宇宙セグメントの宇宙事業部への配属は、すでに決まっています。ロケットなどの製造・開発に関わる部門です。


任天堂では、ハードウェアの技術系開発に携わるエンジニア職で内定をいただきました。

Q. 就活前に、開発関連で取り組んでいたことはありますか?

大学・大学院の授業や研究活動を通じて、プログラミングを用いた解析には日常的に触れていました。学部時代には、3人チームで小型の自動走行ロボットを制作した経験もあります。 一方で、個人開発のポートフォリオ作成や、コーディングテスト対策、長期インターンといった、いわゆる「就活に向けた対策」は特にしていません。


ロボット制作は、コンセプト立案から3Dプリンターなどの工作機械の活用、課題解決に至るプロセスまで担当しています。その経験をスライドにまとめ、任天堂の選考でのプレゼンにも活用しました。

Q. 就活を始めた時点での開発スキルと、習得していた言語は?

大学1年時から継続的に授業や研究室でプログラミングに触れていたので、日々の課題や解析であれば自力でこなせるレベルではありました。言語は、Python、C言語、C++の3つを同程度に習得していて、授業の単位取得や解析課題には問題なく対応できる水準です。


機械系専攻だったため、授業や研究における実験データの解析を通じて、日常的にプログラミングに取り組んでいました。 特定の言語を突き詰めたというよりは、必要に応じて幅広く扱ってきた、という感覚です。

Q. 就活のスタート時期と、具体的に取り組んだことを教えてください。

修士1年の4月〜5月頃から本格的に動き出しました。 最初の4月〜7月末にかけては、業界研究を兼ねて就活イベントに3〜4回参加し、まずは視野を広げることを意識しました。正直、最初は「面白そうだから」という軽い気持ちで幅広く業界を見て回っていた部分もあります。


並行して、IT・デベロッパー・メーカー・インフラの4業界を中心に、OB・OG訪問や座談会を活用しました。個別訪問は各業界2〜3名ずつ、トータルで10〜20名ほどです。座談会なども含めると30〜40名の先輩と対話し、それぞれの業界の働き方や求められるスキルへの解像度を上げていきました。


訪問の際は、「入社前後のギャップ」や、「普段、部署内でどのような連携をとっているか」といったリアルな実態を重点的に質問しました。現場の本音を聞き出すことで、実際の働き方や求められるスキルへの解像度を上げていきましたね。

Q. 志望企業を絞り込むうえで、重視した「軸」は何でしたか?

3つあります。


1つ目は、原点・やりたいことへの本気度です。中高生の頃にドラマ『下町ロケット』を見て強く刺激を受け、「将来はエンジニアとしてモノづくりに携わりたい」という思いを長年抱き続けてきました。自分が本気で取り組めるのか、中高生時代からの原点ややりたいことと、その企業で描けるキャリアがしっかりつながっているかどうかを一番の軸として大切にしたことを覚えています。


2つ目は社風・人柄です。困難に直面したとき、どんな人たちと一緒に乗り越えていけるかや、受容性や温和さがある環境かを見ていました。


3つ目は働き方・ライフステージへの柔軟性です。残業時間や転勤の有無など、今後のライフステージの変化に柔軟に対応できる環境かどうかも重視しました。


任天堂・三菱重工のどちらも、製品には強い魅力を感じています。ただ、「エンジニアとしての自分の原点はどこにあるか」を突き詰めて考えた結果、ロケット製作という大きなロマンに惹かれ、最終的に三菱重工を選びました。

Q. 企業選びの際、「AI開発環境」についてはどう確認しましたか?

正直に言うと、AI導入の先進性を重要な判断基準にはしていませんでした。モノづくり・重工業の領域には、良くも悪くも伝統的な側面があることは理解した上で、AIを使えるかどうかよりも「製品そのものへの熱意」や「人間関係」を優先して企業選びをしました。

2. 内定企業の選考詳細

Q. 選考(テスト・面接)で問われた内容と、評価されたポイントは?

【三菱重工】

選考フローは、エントリーシート提出、1次マッチング面談、役員による2次マッチング面談を経て、内定という流れです。コーディングテストはなく、1次面談からエンジニア社員が同席していたのが印象的でした。


面接では、製品への志望動機や具体的なキャリア像などについて聞かれました。たとえば、「なぜ航空宇宙・ロケットに関わりたいのか」「設計や製造など、どのポジションで働きたいのか、なぜそう考えるのか」といった質問です。自分の選択に対して「なぜそうなのか」という動機や原点を、深く掘り下げられた印象があります。


アピールした点の1つ目は、製品に対する熱意と原点です。「なぜ航空宇宙・ロケットに関わりたいのか」を深掘りされた際、中高時代にドラマ『下町ロケット』を見て刺激を受けた体験を熱量を持って伝えました。


もう1つアピールしたことは、将来的に目指す「生産技術」というポジションへの理解です。設計と製造の間に立つこのポジションに、なぜ関わりたいのか。理由として、部活動での経験と工場見学での学びを伝えました。


部活動では、優れた選手がそろっているにもかかわらず、チームの方針をまとめて成果へ導く旗振り役がいなかったせいで、試合に負けてしまったことがあったんです。 また、学部時代に授業の一環で訪れた工場見学では、製品を社会に送り出すためには、関係者の意見を聞いて調整する段階が重要だと学びました。


こうした経験から、調整役や旗振り役の重要性を実感し、「設計と製造をつなぐ人がいなければ成果は形にならない」と考えるようになりました。この想いを、面接でもまっすぐに伝えましたね。

【任天堂】

選考フローは、ES・テスト提出、1次面接、2次面接、最終面接を経て内定でした。こちらもコーディングテストはない代わりに、5分間のプレゼンテーションが課されました。テーマは「モノづくりをした経験」についてです。


私は学部時代の小型ロボット制作について、資料を使って発表しました。面接官からは、開発のプロセスまで深く掘り下げられました。具体的には「なぜそのコンセプトにしたのか」「チームでどう協働し、課題をどう解決したか」といった点です。建前ではなく本音の対人スキルを見られている感覚があり、自分の考えや背景を飾らず、素直に伝えることを心がけました。

Q. 面接でAIの利用について聞かれましたか?どう答えましたか?

本選考の面接内で、AI利用について直接聞かれることはありませんでした。ただ、インターン後の座談会や人事面談では「日頃どれくらいAIを活用しているか」「ES作成でAIを使っているか」といった質問をフランクに受けました。


その際は、AIを適度かつ効果的に活用しているというスタンスで回答した記憶です。社員の方からも「これからはAIをバランスよく使いこなす力こそ、新しい素養として求められる」というフィードバックをもらい、使いこなすことの重要性を実感した場面でした。

Q. 選考の中で、難しいと感じたことはありますか?

任天堂の面接で聞かれた「なぜそのコンセプトにしたのか」という質問には苦戦しました。ロボット制作は直感やその場のアイデアから始まり、途中で何度も試行錯誤や方向転換をしたため、シンプルに説明するのが難しかったからです。


そこで、無理に体裁を整えるのではなく、「最初は直感や、面白そうだという気持ちから始まった」と正直に伝える方針を取りました。そのうえで、部品の不備といった課題が発生した際にチームでどう議論し、3Dプリンターなどを使ってどう形にしていったか、というプロセスを丁寧に説明しました。

Q. 内定企業の選考で見られていたポイントと、求められる人物像

【三菱重工】「組織調和」と「専門性の言語化力」

選考の着眼点

三菱重工では、巨大な組織の中で、多くの人と協調しながら動くことが求められると思います。そのため、周囲と摩擦を起こさずスムーズに馴染める「温和さ・落ち着き」が重視されている印象でした。面接では人柄の良さをベースに、組織に馴染んで堅実にプロジェクトを進められる人物かどうかが評価されていたと感じます。


求められるスキルライン

必ずしも航空宇宙専攻である必要はありません。実際、機械系以外の専攻をされている内定者もいます。大切なのは、自身の専門分野を深く追求した経験があること。そして、それを他者に分かりやすく伝えられる、言語化力や基礎力があることだと感じます。

【任天堂】「モノづくりへの熱量」と「チームを動かす対人柔軟性」

選考の着眼点

前提として、「これが好きで作りたい」という製品への情熱が求められると思います。そのうえで見られていたのは、「異なるこだわりを持つメンバー同士で、いかに建設的に合意形成を図れるか」という、本質的なチーム適応力だったように感じます。プレゼンでも成果物だけでなく、チームで課題を乗り越えたプロセスや、対人関係での柔軟な立ち振る舞いが深掘りされました。


求められるスキルライン

自身の専門性やアイデアを形にする技術力は、もちろん必要です。それに加えて、異なるバックグラウンドを持つ異職種の相手とも協働できる、バランス感覚が求められると感じます。

3. 就活を振り返って「やるべきだ」と思うこと

Q. 就活で「やっておいてよかった」と思うことは?

1つは、幼少期まで遡る徹底的な自己分析です。大学時代だけでなく、幼少期まで人生を振り返り、「なぜその選択をしたのか」「自分のターニングポイントはどこにあったのか」をモチベーショングラフなどで整理しました。これにより、面接でどんな角度から質問されても、一貫性のある等身大の答えができたと感じています。


もう1つは、幅広い業界を見て回ったことです。早い段階から、IT、デベロッパー、メーカー、インフラなどさまざまな業界の説明会に足を運びました。これにより、企業との相性や自分の軸を客観的に見極めることができました。

Q. 逆に「やっておけばよかった」と思うことは?

自己分析は、もっと早い段階から、より深くやっておけばよかったと思っています。初期の自己分析が浅かったせいで、選考の途中で思考が滞ってしまった時期があったからです。


就活を始めた当初は、「強み・弱み」や「大学時代に頑張ったこと」を整理するだけで十分だと思っていました。しかし、それだけでは実際の面接で「なぜその選択をしたのか」「なぜ苦しい状況でも頑張れたのか」といった、根本的な動機を問う質問に答えられなかったんです。大学時代の出来事だけでは、説明に限界があると気づきました。


そこで、幼少期まで時代を遡り、過去のターニングポイントや感情の変化を「モチベーショングラフ」で整理し直しました。「昔はこうだったけれど、あの経験があったから今はこう考えて動けている」という、一貫したストーリーを作ることができたんです。第三者が聞いても納得できるレベルまで、自分の過去やモチベーションの源泉を整理できたと感じています。


「なぜロケットなのか」「なぜ調整役なのか」。その原点を、一貫した言葉で語れるレベルまで深掘りする作業は、就活のスタート段階から着手しておくべきだったと痛感しています。

Q. 「やらなくてもよかった」と思うことはありますか?

特にありません。OB・OG訪問やイベント参加など、行動したことで何かしらの情報が得られ、学びがありました。無駄だったと感じるものは1つもなかったです。

Q. 自社開発企業やメーカーエンジニアを目指すなら、まず何からやるべき?

まずは、ベースとなる開発スキルを愚直に磨くことです。それと並行して、「自分はなぜこれが好きなのか」「自分はどういう人間なのか」という内省を深め、自分に合った企業を見極めていくことをおすすめします。スキルの研鑽と自己分析、どちらか一方ではなく両方を掛け合わせることが大切だと思います。

4. エンジニアの就活・キャリアの今後について

Q. 採用人数の減少や初任給の上昇など、AIがエンジニアの就活市場に与えている影響の実感は?

学生の立場なので、市場の変化を直接肌で感じる機会は多くありません。ただ、「コーディングなどの作業がAIに代替されるのでは」という不安は、日々感じています。 だからこそ、AIに立場を脅かされる側ではなく、AIを「使う側」に回れる領域として、ハード・製造寄りのモノづくりエンジニアを選んだ、という側面もあります。

Q. AI時代のエンジニアキャリアに不安はありますか?今後の見通しは?

大きな不安は感じていません。技術の多くがAIに代わっていったとしても、最終的な意思決定を担うのは人間だと考えているからです。AIが出した提案に対して「これを社会に実装してよいか」を適切に判断できるスキルと、周囲と円滑にプロジェクトを進める人間性・コミュニケーション力を持つエンジニアが、これからも生き残っていくと考えています。

Q. 今後、エンジニアとしてどのようなキャリアを築いていきたいですか?

短期的には、設計や製造などの現場にしっかりと立ち、ものづくりのプロセスや現場特有の苦労を身をもって理解したいと考えています。 長期的には、その現場経験によって、設計と製造の双方の立場を理解した上で円滑に橋渡しできる「生産技術」というポジションで、高品質なプロダクトを形にしていきたいです。

5.事例から学ぶ!就活のポイント(編集部コメント)

今回の事例で特に注目したいのが、幼少期までさかのぼった自己分析です。


多くの人は、自己分析を「大学時代の強み・弱み」や「学生時代に力を入れたこと」の整理でとどめてしまいがちです。ですが今回の先輩は、幼少期まで人生を振り返り、「なぜその選択をしたのか」「ターニングポイントはどこだったのか」をモチベーショングラフで整理しました。その結果、「なぜモノづくりがしたいのか」「なぜ生産技術に携わりたいのか」という動機の部分が、誰が読んでも納得できる形で整っています。


ここから学びたいのは、自己分析のゴールの置き方です。面接では「なぜ?」が何度も掘り下げられます。そのとき、自分だけが分かっている状態では、どれだけ言葉を重ねても自分の価値観や魅力が面接官に伝わりません。大切なのは、自分を知らない第三者が聞いても、すんなり理解できるところまで背景を掘り下げ、自分の価値観と、それに紐づく原体験を言語化しておくことです。


まずは幼少期まで時代をさかのぼり、感情が動いた出来事とその理由を書き出してみましょう。過去と今の考えが一本の線でつながったとき、どんな角度の質問にも、等身大の言葉で応えられるようになるでしょう。


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