成果物なし&非情報系から弥生内定!研究で鍛えバイトで証明した「仮説検証力」が決定打に

成果物なし&非情報系から弥生内定!研究で鍛えバイトで証明した「仮説検証力」が決定打に
「開発経験もポートフォリオも一切ない状態から、自社開発エンジニアになれるのか——」

そんな不安を抱えながら就活に挑んだのは、体育学を専攻する大学院生の先輩です。開発は実質未経験からのスタートでした。

開発実績は語れないなか、面接で徹底したのは「課題を見つけ、仮説を立てて検証する」仮説検証力を具体的なエピソードで伝えることでした。

なかでも評価されたのは、バイト先で「20Lゴミ袋の潜在ニーズ」に着目し、検証して集客へとつなげた解決プロセス。そして、研究においてAIを賢く安全に使いこなす思考プロセスだったといいます。

成果物がない不安を乗り越え、面接官の心を動かした「自己アピールの伝え方」とは? 焦りや体調管理に苦しんだ失敗談も含め、自社開発を目指す後輩へ贈るリアルなインタビューです。
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【今回お話を伺った先輩のプロフィール】

  • 卒年度:2027年卒

  • 大学・専攻:修士課程・人間総合科学研究科(体育学専攻プログラム)

  • 内定先:弥生株式会社

  • 職種:エンジニア職

  • 配属事業:中小企業向け会計ソフトウェアなどの自社製品開発(配属部署は未定)

  • 初任給:年収390万〜400万円程度(修士卒提示)

1.就活前~就活開始時に取り組んだこと

Q. 就職予定の企業の職種と事業領域は?

職種はエンジニア職です。配属部署や担当事業はまだ決まっておらず、入社後の研修を経て決定されます。弥生株式会社は、主に中小企業向けの会計ソフトウェアをはじめとする自社製品の開発を行っており、入社後は自社プロダクトの開発・改善に携わることになります。

Q. 就活前に開発関係で取り組んだものは?

開発関係の実績としては、実質「ゼロ」からのスタートでした。


アピールできるようなポートフォリオはなく、ハッカソンや長期インターンへの参加経験もありませんでした。


ただし、大学院での研究活動においてプログラミングには触れていました。実験で得られた複雑なデータをグラフ化し、グループごとの違いを検証する統計分析を行うためです。ChatGPTなどのAIを「分析パートナー」として活用し、出力されたR言語のコードを解読・補正しながら、データ分析をやり遂げた経験があります。


また、アルバイト先のコンビニにおける課題解決体験も、自身の強みを示す大きなエピソードとなりました。


店舗では30Lと40Lのゴミ袋しか扱っておらず、学生と思われるお客様から「20Lはないか」と頻繁に聞かれていたんです。


近隣に大学があり、一人暮らしの学生が多いことから「小さめのサイズにニーズがあるのではないか」と仮説を立てました。 そこで、ほかのスタッフにも協力してもらいながら実際の問い合わせ回数をデータとして集計・検証したんです。その数的な根拠をもとに店長へ20Lゴミ袋の導入を提案しました。


導入後は問い合わせが目に見えて減少し、学生客が利用しやすいお店づくりや集客につながったと感じています。


さらに、IT業界の知識不足を補うため、ITパスポートの教科書を買い、基本用語を学びながら就活を進めました。


面接では「資格取得に向けて毎日どれくらい勉強し、何ヶ月後までに取るか」といった具体的スケジュールと目標を提示しました。前向きに努力を継続できる姿勢を伝えられたことが、面接官への大きなアピールになったと思います。

Q. 就活をスタートした時点での開発スキルと習得言語は?

授業で触れたPythonと、研究で活用したR言語の基礎知識がある程度で、開発スキルとしては初心者レベルでした。


初めて触れたのは大学3年時の学部授業で、テキストのサンプルコードを見ながらPythonでゲームを動かした程度です。そのため、就活開始時にゼロから個人開発できるようなスキルはありませんでした。


その後、大学院進学後に研究のデータ分析でChatGPTなどの力を借りながらR言語を使い始めました。一からすべて書くのではなく、AIが出したベースコードの意味を調べて補正しながら学習・活用するスタイルです。

Q. 就活のスタート時期と具体的にやったことは?

本格的に就活を始めたのは修士1年の1〜2月ごろです。OB・OGが参加する学内の企業説明会やオンラインの合同説明会を活用して、50社以上の企業を見てまわりました。視野を広げるために他業界の会社も少しだけ覗きましたが、ほとんどがIT系の企業でした。


未経験だったにもかかわらずIT業界への就職を決めたのは、ITの可能性を実感していたからです。アルバイト先で発注に使っていたソフトウェアの便利さを感じていたとともに、研究で使っていた生データが、AIによって一瞬で図表化・可視化されるのを見て「ITってすごい、面白すぎる!」と感動したことがきっかけでした。


また、研究で培った「仮説と検証を繰り返しながらやりきる力」はIT業界でこそ一番活きる強みだと思えたことも、IT業界を志望した大きな理由です。


弥生株式会社については、2月ごろから本選考を進め、6月末に内定をいただきました。「弥生会計」などの会計ソフトを主力製品にもつ同社は、自社プロダクトを通して中小企業のバックオフィスを支えています。お客さんのフィードバックを受けながら製品を改善していく環境は、研究での試行錯誤のプロセスに似ているため、自分に合っていそうだと感じました。

Q. 志望企業を絞り込むうえで重視した「軸」は?

重視した軸は2つあります。1つは、「自社製品に長く関わりながら改善を続けられること」。もう1つは、「勤務地や生活基盤が安定する働き方ができること」です。


就活の初期はSIerを中心に見ていたのですが、面接で「通勤時間は何時間まで許容できるか」などと質問される中で、「プロジェクトによって勤務地が変わる働き方は、自分には合わないかもしれない」と感じました。もちろん勤務地が固定のSIerも多いですが、それをきっかけに改めて軸を考え直したんです。結果として、自分たちの製品をじっくり育てていける自社開発企業へ志望先を切り替えました。

Q. 企業選びでAIを使った開発環境は確認した?

開発現場におけるAIツールの活用姿勢は、私から積極的に質問しました。


業務効率化はもちろん、エンジニアとしての成長という面からも、AI活用環境があった方が良いと考えたからです。弥生ではAIを積極的に活用していたことも、入社を決める大きな要因になりました。

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2.弥生株式会社の選考詳細

Q. 選考(テスト・面接)で問われた内容と評価ポイントは?

弥生の選考ではコーディングテストは実施されず、書類選考のあとは3回の面接(一次・二次・最終)というフローでした。


面接の詳細は以下のとおりです。

一次面接(人事)

ガクチカに加え、学生時代に挑戦したことにおける「苦労と乗り越え方」について聞かれました。


ここで伝えたのが、コンビニバイトで自ら課題を見つけ、データ分析をもとに「20Lゴミ袋」の導入を提案した体験です。問題意識と課題解決までのアプローチが高く評価された手応えがありました。

二次面接(部門責任者/エンジニア)

研究への取り組み方や思考プロセスが深掘りされました。 実験の計画について「なぜその時間や強度の条件設定にしたのか」といった論理的な根拠や、失敗した際にどう原因を分析して次に活かしたかという、問題解決のプロセスを細かく質問された記憶です。


また、研究でAIを活用した話をした際には、「研究でAIを活用する際、AIに扱わせることのできない機密性のある情報もあると思うが、その点についてどのように考えているか。また、それを解決するために何か工夫や方法を考えたことはあるか」と突っ込まれる場面もありました。

最終面接(役員)

面接が進むにつれて、企業理解や志望度の深さが問われるようになりました。1次面接と同じ回答を繰り返すのではなく、選考段階に合わせて自分の考えをより詳しく伝えることが求められた印象です。


また、面接官から「最近、弥生が発表したAIに関するプレスリリースを見たか」と直接質問される場面もありました。日頃から最新の取り組みをチェックしていたため、記事の内容に触れつつ自分の意見を話すことができ、企業研究の深さと熱意をしっかりアピールできたと感じています。

Q. 面接でAIの利用はどう聞かれ、どう答えた?

二次面接で機密性のある情報をAIでどのように扱うべきか、質問されました。


これに対し、まず「研究でAIを使う際にどんなリスクが考えられるか」分析したことを伝えました。そして、研究室の先輩や指導教員と認識をすり合わせたうえで、決められた方針を順守して使用したと話しました。


単に「便利だから使う」だけでなく、情報漏洩やプライバシーのリスクを正しく理解していること。そして、周りと連携しながら安全に扱える当事者意識やコミュニケーション力を評価していただけたと感じています。

Q. 選考で見られていると感じたことは?

現時点でのプログラミングスキル以上に、「人間性」や「エンジニアとしての伸び代」を重視していると感じました。具体的には、次の4つのポイントで評価されていたように思います。

思考の深さ

すべての面接で「なぜその考えに至ったのか」「失敗の原因は何か」など、自分の頭で深く突き詰め、論理的に語れるかを見られていたように感じました。

モチベーション

バイトでの課題解決や研究でのデータ整理といった身近な体験が、どうやってITへの興味や志望理由に結びついたのか、納得感のあるストーリーを伝える必要があるのではないかと思います。

実行力

単に「頑張ります」ではなく、「資格取得のために毎日〇時間勉強し、〇ヶ月で取得する」といった具体的で計画的な努力を示せるかがポイントだったと考えています。

好奇心と挑戦の姿勢

未経験の領域であっても物怖じせず、AIなどの新しい手段を進んで取り入れて課題に挑む姿勢が見られていた印象です。

Q. 選考で「難しい」と感じたことは?

他社での選考経験や失敗を経て場数を踏んできたことで、就活後半では落ち着いて対応できるようになっていたと思います。


弥生の選考そのものは「なぜその考えに至り、どう行動したのか」という思考の深さや論理性が厳しく評価される内容でした。しっかり自己分析をして臨まなければ、突破は難しかったと感じています。

Q. 面接で自社開発企業に特有の着眼点はあったか?

弥生株式会社については、スキルテストによる足切りをせず、「プロダクトやユーザーにどう向き合えるか」という人間性の部分を、じっくり見てくれたのが印象に残っています。


また、「1つの製品に愛着を持ち、ユーザーの声を聞きながら粘り強く改善していけるか」というプロダクト志向や熱意が着眼点になっていると感じました。


ほかに受けていたWeb系企業では、選考初期にコーディングテストが課され、現時点での「技術力や実装力」で絞り込まれるケースが多くありました。

Q. 内定者に共通する「必要最低限のスキルライン」は?

内定者のバックグランドとしては、情報系やプログラミング経験者が半数、私のような未経験者が半数といった割合でした。そのため、選考時点で高いプログラミングスキルが必須というわけではないと思います。


内定者に共通していたのは、「好奇心が強く、新しいことに物怖じせず挑戦できる姿勢」です。未経験であっても、研究・サークル・アルバイトなどで課題を見つけ、試行錯誤して解決したプロセスを話せることが重要なのではないでしょうか。


私の場合、未経験者ながらも、ITパスポートなどの資格勉強を始め、具体的な学習計画を伝えたことで、前向きな成長意欲を評価していただけたのだと思います。

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3.就活を振り返って「やるべきだ」と思うこと

Q. 就活で「やっておいてよかったこと」は?

初期段階で業界や企業を絞り過ぎず、オンライン説明会やセミナーで50社以上の話を聞いたことです。


最初はIT業界の全体像が掴めていませんでしたが、幅広く見比べたことでSIer、自社開発、SESといった事業構造や職種の違いを俯瞰して理解できるようになりました。


比較対象を持てたからこそ、それぞれのメリット・デメリットを把握した上で「なぜ自分は自社開発に行きたいのか」という軸を納得感を持って定めることができたと感じています。

Q. 就活で「やっておけばよかったこと」は?

大きく分けて次の3つです。

会社ごとの「企業研究」と「志望動機の深掘り」

初期は「同じSIerだから」と似たような志望動機を使い回してしまい、面接官に見抜かれて落ちてしまった反省があります。落ちた面接のフィードバックを振り返り、「なぜ自分はそれをやったのか」「どう分析したのか」という原体験までもう一段深く整理しておくべきでした。

早期からの面接練習と場数を踏むこと

最初は面接の空気に慣れておらず、焦りから早口になったり回答が浅くなったりしていました。ぶっつけ本番ではなく、早い段階から模擬面接などで場数を踏み、落ち着いて会話できる状態を作っておくことが大切だと感じます。

研究と就活を両立させるスケジュール管理

研究と選考のピークが重なったことが、面接での焦りにつながりました。忙しくなる時期を事前に予測し、余白を持たせたスケジュールを組んでおくべきだったと痛感しました。

Q. 就活で「やらなくてもよかったこと」は?

焦りや体調不良を抱えたまま、無理をして選考を受け続けることです。


研究と就活が重なって焦っていた時期、体調を崩したまま面接に出てしまったことがありました。ですが、コンディションが悪いと精神的にも余裕がなくなってしまいます。「このまま無理をして受けても良い結果は出ない」と気づいてからは、一度思い切ってペースを緩め、体調とメンタルを整えることを最優先にしました。しっかり休んで万全のコンディションで臨むようになってからは、落ち着いて自分の考えを話せるようになりました。面接でのパフォーマンスも格段に上がったと実感しています。

Q. 同様の状況にある後輩が自社開発を目指すならまず何をやるべき?

私自身、就活を始めた時点で目立った成果物を持っておらず、面接でのアピールに苦労した苦い経験があります。


だからこそ後輩には、Webサイトや簡単なゲーム、小さなスクリプトなど「まず自発的に何かを作ってみる体験」を一度でもやっておくことを強くおすすめします。これにより、ITへの興味や自発性の説得力が大きく変わると感じるからです。


さらに、作る過程で起きたエラーやぶつかった壁に対し「どう調べて乗り越えたか」という試行錯誤のプロセスも、強いエピソードになります。

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4.エンジニアの就活やキャリアの今後について

Q. 採用人数の減少や初任給の上昇など、AIがエンジニアの就活市場に与えている影響の実感は?

正直なところ、まだ実務の現場に入っていないため市場の変化を肌で実感する機会は多くありません。しかし、エンジニアに求められるスキルが上がっていく焦りは、日々感じています。


実際、定型的なコードを書くような作業は、AIに置き換わりつつあります。だからこそ、新卒であってもエンジニアとしての「思考力の高さ」が、より厳しく見られるようになっているのではないでしょうか。

Q. AI時代、エンジニアとしてのキャリアに不安はある?今後の見通しは?

AIの領域が広がることへの危機感はありますが、将来に対する不安はありません。


なぜなら、AIは判断の「責任」を取ることができないからこそ、リスクや背景を考慮して意思決定を下す人間の価値が高まると考えるからです。AIを強力なパートナーとして使いこなしながら、ユーザーの課題に向き合って価値を提供できる。そんな「自分で考えて判断を下せるエンジニア」を目指していきたいです。

Q. 今後、エンジニアとしてどのようなキャリアを築いていきたい?

まずは実務を通じて技術基盤をしっかりと固め、現場で適切な提案ができるエンジニアを目指します。


将来的には、ユーザーにとってより使いやすい会計ソフトウェアを目指して製品改善に貢献し、上流工程からプロジェクトを引っ張っていける存在になりたいです。

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5.事例から学ぶ!就活のポイント(編集部コメント)

研究を通して仮説を立て、検証し、次につなげる。理系大学院生が日々行っているこの営みは、IT業界で大きな強みになります。課題を見つけ、試行錯誤しながら粘り強く答えに近づくプロセスは、開発の現場で求められる思考そのものだからです。今回の先輩は、その力を自社開発企業への内定に結びつけました。ユーザーの声を聞きながら製品を育てる自社開発においても、この仮説検証力が高く評価されるとわかるでしょう。


注目したいのは、アピールの題材が特別な開発実績ではなかった点です。アルバイト先で「20Lゴミ袋」のニーズに気づき、問い合わせ数を集計して導入を提案したエピソードや、研究でAIを安全に使いこなした工夫が、面接官の心を動かしました。身近な題材であっても、仮説を立てて検証し、結果につなげたプロセスを筋道立てて語れば、その力は十分に伝わります。


また、経験の少なさを資格取得への挑戦で補おうとした姿勢も、前向きに受け止められました。ITパスポートの学習計画を具体的に示したことが、成長意欲の証明になっています。取得済みかどうかだけでなく、いつまでに何を学ぶかという計画と、これまでの学びを語れることが、意欲を伝える鍵になるはずです。

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