【心理学×独学】異分野をつなぐブレない軸と「客観的証拠」で掴んだ自社開発企業内定

一見バラバラに見える「心理学」「音楽」「プログラミング」を繋いだ思考軸のまとめ方や、ポートフォリオを活用して「自走力」を示すノウハウとは。同じような境遇から自社開発企業を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。

\ITエンジニア特化の就活支援サービス/
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1.就活前~就活開始時に取り組んだこと
Q. 就職予定の企業の職種と事業領域は?
職種はソフトウェアエンジニアです。配属部署は未定ですが、同社はAIを活用した自社開発製品 を核に、医療・コンタクトセンター・建築など多岐にわたる業界向けソリューションを展開しています。どの部署に配属されたとしても、AIを活用した製品・サービス開発に深く携わる予定です。
Q. 就活前に開発関係で取り組んだものは?
就活前は、個人開発やハッカソンへの参加、市販本やAIを活用したプログラミングの独学に取り組んでいました。
個人開発では、読書が趣味である自分自身の課題意識から書籍検索システムを作りました。書籍の概要や図書館の貸出可否といった知りたい情報が3つのサイトに散らばっていたため、それらのAPIを利用してボタン一つで自動的にデータを取得し、一括検索できるデータベースシステムを作ったんです。AIを使えばプログラムのコードや全体像自体は簡単に作れてしまう時代だからこそ、「なぜ既存サイトではダメなのか」「自分なりの価値は何か」という作成意義を強く意識してポートフォリオにまとめました。
また、修士1年の夏にはハッカソンに1度参加しました。そちらでは、学生や研究者、一般の人が学術論文を効率よく検索して情報を取得できるサイトのバックエンド実装を担当しています。チームメンバーや運営の現役エンジニアからセキュリティ面などのアドバイスやフィードバックをもらいながら進めたこの体験は、自身初のチーム開発となり、その後の面接でも大きな武器になりました。「プロの視点からセキュリティや運用の重要性を学び、チームで開発する意識を持てた」と具体的に伝えられたからです。実際に、面接では「個人開発の枠を超えて、実務に近い視点を持てているね」と高く評価していただけました。
Q. 就活をスタートした時点での開発スキルと習得言語は?
就活を始めた頃の開発スキルは、Pythonをメインに独学し、基礎的な個人開発やチーム開発が試せる程度です。メインで扱える言語はPython(約3年経験)とR(約1.5年経験)で、その他に個人開発で必要に応じてHTML/CSSやJavaScriptを扱い、インターンシップで少しJavaにも触れました。
実は学部1・2年次にも独学に挑戦して挫折した経験があったのですが、3年次にあった認知心理学実験の授業でローコードツールやコードに触れたことをきっかけに再スタートしたんです。ちょうど広まってきていたChatGPTなどのAIツールに、エラーや分からない点を積極的に聞くことができました。
また、AIが出したコードをそのままコピペして終わりにするのではなく、「ここを変えたらどう動くか」を考え、自分で書き換えたりしながら試行錯誤できたことが、独学を楽しく継続できた大きな要因です。 AIにベースとなるコードを出してもらった上でアレンジしながら学習を進めるスタイルが、挫折を防ぐ鍵になりました。
Q. 就活のスタート時期と具体的にやったことは?
修士1年の春頃に「エンジニアになろう」と決意して、その年の夏頃からオープンカンパニーや各種就活イベントに参加し始めました。
SIerも自社開発企業も幅広く見たかったので、足を運んでいたのはオンライン合同説明会や大学開催の就活イベントが中心です。また、学内の就職サポートセンターに週1回ペースで通い、「これから何をすべきか」という就活初期の相談から面接対策、企業紹介まで手厚くサポートを受けました。企業探しには主に就活情報サイトやエンジニア特化型のスカウトサービスを活用していました。
就職予定の企業は、本選考のエントリーから内定までは約3ヶ月ほどだったと記憶しています。夏のオープンカンパニーに参加した後、10〜11月に早期選考を案内され、12月に内定をいただきました。この企業を選んだ決め手は、既存のAIサービスを単に「開発効率化のツールとして使う」だけでなく、AI技術そのものを使った製品を自社で研究・開発できる環境に強く惹かれたためです。
Q. 志望企業を絞り込むうえで重視した「軸」は?
大学院の研究とも結びつく「音声処理(人間の声をAIで認識・分析する技術)」や「自然言語処理(AIに人間が使う言葉を理解させる技術)」を扱える環境を重視していました。
もともと高校時代に参加したオープンキャンパスで「心理学は統計分析を用いる理系要素もある学問だ」と知ったのが、心理学に興味を持ったきっかけです。そこでデータや数字を扱う面白さを知り、大学・大学院で心理学を専攻しました。進学後も一貫して言語や音声データを扱う研究を行っていたため、修士1年の夏からは「自身の研究テーマと親和性が高く、学んだ技術を個人開発にも還元できる領域」を就活の軸に設定して企業を探していました。
Q. 企業選びでAIを使った開発環境は確認した?
AIの活用法や管理ルールは、私から主体的に逆質問したテーマです。 特に、実際のシステム開発現場におけるセキュリティ面や個人情報保護の運用基準について確認していました。自分や身近な人しか使わない個人開発では意識しづらかったからこそ、「個人情報を扱うプロジェクトにおいて、AIツールの利用にどのような制限やルールを設けているか」など、実務に即した具体的な運用方法を聞いていました。
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2. 就職企業の選考詳細
Q. 選考(テスト・面接)で問われた内容と評価ポイントは?
就職企業の選考ではコーディングテストはなかったです 。ただ、他社選考でコーディングテストを受けた際には、事前にPaizaのBランクレベルまで演習を重ねていたことが活きました。時間内に解ききるスピード感や、必要な機能を素早く調べる練習として非常に役立ちました。
面接については以下の通りです。
一次面接(人事)
就活の軸や志望動機、入社後にやりたいことなどオーソドックスな質問が中心でした。人事面接ということもあり、「研究内容」や「なぜ当社の製品に関わりたいのか」といった原体験や人柄、志望度の高さを丁寧に確認された印象です。結果連絡までは約1ヶ月ほどかかりました。
最終面接(役員)
入室直後に受けたのは、「中学時代から現在までの歩みを5分程度で話してください」という質問です。
そこで、中学時代の器楽部で「楽譜の読み込みやコード進行を分析すること」に面白さを感じた体験から話しました。大学で心理学を専攻したのも、人の心理という「目に見えず複雑なもの」を、統計や実験によってシンプルな数字や要素へ分解するプロセスに惹かれたからです。そしてこの「複雑な構造をシンプルな要素に分解して組み上げる」という感覚は、システムを処理や関数単位に分解して構築するプログラミングの面白さにもそのまま通じています。
一見バラバラに見える「音楽」「心理学」「プログラミング」ですが、根底にある思考の一貫性を面接で論理的に説明したところ、非常に高く評価していただけました。自己分析で自分史を作り、これまでの経験を小・中・高まで遡って整理していたことが功を奏したと感じています。
Q. 面接でAIの利用はどう聞かれ、どう答えた?
面接で「日常的にAIは使っていますか?」と質問され「もちろん使っています」と即答しました(笑)。
ただ、AIに丸投げではなく「わからないコードが出てきたときは1行ずつ解説させたり、エラーの理由を噛み砕いて教えてもらったりして、自分の理解を深めるための勉強ツールとして活用しています」と説明しました。自分のスキルを高めるためにAIを使っているところまで伝えられたので、好意的に受け取っていただけたと思います。
Q. 選考で見られていると感じたこと、難しいと感じたことは?
就職企業の選考では、コーディングテストなどの技術試験がなかった分、自己分析の深さや論理的思考力、人柄をしっかりと見られていた印象です。
特に、「大学院での研究内容」と「将来やりたい技術・領域」という2つがどう繋がっているのかについて、自分の意思と説得力のある理由をブレずに伝えられたことが、内定に繋がった一番の理由だと考えています。
Q. 面接で自社開発企業に特有の着眼点はあったか?
自社開発企業ならではだなと感じたのは、プロダクトの理解度や活用イメージを徹底的に問われた点です。 単に「製品に興味があります」で終わるのではなく、「うちの製品を自分の研究や日常で使うならどう活用する?」「複数ある製品の中で、具体的にどれに関わりたい?」といった一歩踏み込んだ質問をされました。
また、事前に提出した個人開発の成果物についても「なぜこの機能をつけたのか」「どういう意図でこのコードを書いたのか」と、実装の背景や技術選定の理由まで深く掘り下げられました。作って満足するのではなく、開発の意図や実務での利用シーンまで解像度高く考えているかが重視されていたと感じます。
Q. 内定者に共通する必要最低限のスキルラインは?
文系・理系といった出身にかかわらず、自走して学び続けられるポテンシャルを目に見える形で示せるかどうかがボーダーラインだと思います。現時点の技術力そのもの以上に「エンジニアとして長く働き続けられるか」が見られていた印象です。実際に面接でも「5年後・10年後の目標とそこに至る成長ステップ」など、キャリアについて具体的に深掘りされました。
根底で見られているのは、自力で学び続けて成長できる人かどうかです。それを口先だけでなく、「個人開発の成果物」といった客観的な証拠として提示できたことが、選考を突破する最大の決め手になったと感じています。
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3.就活を振り返って「やるべきだ」と思うこと
Q. 就活で「やっておいてよかったこと」は?
ハッカソンは参加しておいて良かったです。面接で頻出するチーム開発経験の質問に対して、ハッカソンでの実体験を交えて具体的に答えられたためです。
また、就職活動の空白時間を極力なくしたことで、前向きに就活を続けられたと思います。あえてエントリーや面接の予定を詰め込み、選考の合否結果を待つ間に別の企業の面接が入っている状態を作ることで、落ち込む暇や不安な空白時間を無くせました。
Q. 就活で「やっておけばよかったこと」は?
長期インターンシップなどで、より長期間の実践経験を積んでおけばよかったと感じています。 ハッカソンでの学びの大きさを実感したからこそ、「実際の現場でどう業務が進むのかというリアルな視点」の解像度をより高く上げておくべきでした。
また、最新のITトレンドへのキャッチアップ不足も痛感しました。選考の中で「Claude(クロード)など、ChatGPT以外のAIサービスを使った感想や各サービスごとの違い」や、ネットワーク系の時事ニュースを聞かれた際、知見不足でうまく答えられず悔しい思いをしたからです。個別の企業研究だけでなく、日頃から技術の最新動向にアンテナを張っておけばよかったです。
Q. 就活で「やらなくてもよかったこと」は?
面接でのアピールを目的とした「G検定」の取得は、やらなくてもよかったと感じています。 AIの基礎知識を問うG検定ですが、実際の面接で話題に上ることはほとんどありませんでした。エンジニア就活においては、国家資格である「基本情報技術者試験」や、大学の研究・個人開発の成果を示すほうが遥かに高く評価される印象です。
Q. 同様の状況にある後輩が自社開発を目指すならまず何をやるべき?
まずは一度ハッカソンに参加してチーム開発を経験すること、そして「なぜそれを作るのか」という目的意識を持った個人開発に取り組むことです。
ただコードを書くだけならAIでもできてしまう時代だからこそ、「既存のサービスではなぜダメなのか」「自分の身の回りの課題とどう繋がっているのか」という開発の価値や意義までしっかり考えて進めることを強くおすすめします。
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4.エンジニアの就活やキャリアの今後について
Q. 採用人数の減少や初任給の上昇など、AIがエンジニアの就活市場に与えている影響の実感は?
採用減の不安よりも、説明会等で聞く「IT人材不足」による需要の高さを強く実感しました。
今後の見通しとしては、設計思想やチームでのコミュニケーションなど、AIに置き換えにくい能力がより求められるようになると感じています。
Q. AI時代、エンジニアとしてのキャリアに不安はある?今後の見通しは?
不安はゼロではありませんが、AIの仕組みを理解して「作る側・使いこなす側」になれば生き残れるというのが私の考えです。
生成AIが出してきた結果を「仕組みも分からないままそのまま使う」のではなく、裏側にある技術的なメカニズムまでしっかり理解した上で開発に活かせるエンジニアが、これからの時代に求められると思います。私自身も技術の根底を理解し、AIを使いこなせるエンジニアを目指したいです。
Q. 今後、エンジニアとしてどのようなキャリアを築いていきたい?
理想とするエンジニアへの土台作りとして、まずは入社初期にハッカソンで興味を持ったバックエンド領域に取り組み、チーム開発の基礎と全般的な技術知識を広く固めます。現場での実践力と応用力を身につけるためです。
その上で長期的には、データ分析やデータベース分野のスペシャリストを目指したいと考えています。大学院の心理学専攻で培ったデータ分析の知見をかけ合わせ、私ならではの専門的な価値を提供していきたいです。
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5.事例から学ぶ!就活のポイント(編集部コメント)
非情報系の学部でありながら、独学で自社開発企業の内定を勝ち取った今回の事例は、独学の方法や就活でのアピールについて学べる点があるでしょう。
編集部の視点から、3点整理します。
1つ目は、AIの使い方です。今回の先輩は、AIを「コードを書かせる道具」ではなく「理解を深めるための学習ツール」として使っていました。分からないコードを1行ずつ解説させたり、エラーの理由を噛み砕いてもらったりする使い方が、一度は挫折した独学の継続につながっています。
2つ目は、出てきたコードをそのまま使わなかった点です。「ここを変えたらどう動くか」と書き換えて確かめる過程が理解をより深め、学習そのものを楽しいものに変えていました。独学は、分からないことを聞く相手がいないとつまづきやすくなります。その意味で、AIはいつでも・何回でも質問できる頼もしいパートナーになるでしょう。
3つ目は、適性とポテンシャルの示し方です。自社開発企業の選考には、実務経験や高い技術力を持つ学生が集まる傾向があります。とくに非情報系の学部で、プログラミングスキルにまだ自信がない場合、技術力そのもので並ぶのが難しい場面も出てきます。だからこそ、学び続けられることや、エンジニアとしての適性を目に見える形で示すことが重要になります。心理学専攻を弱みにせず、独学の過程と成果物を客観的な証拠として示した進め方は、そのまま参考にできるはずです。
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