SESは残業が少ない?残業代が出ないケースと残業指示を受けた時の対処法を解説

SESは残業が少ない?残業代が出ないケースと残業指示を受けた時の対処法を解説
SESで働くエンジニアは、労働時間がSES契約によって決まっているので、残業が発生しにくい傾向にあります。しかしクライアント企業の要望で残業が求められるケースは多く、残業すること自体は違法ではありません。

しかし、SES契約の契約時間上限までは残業代が支給されないケースがあるほか、みなし残業制により固定残業代が報酬に含まれていることも多いので、残業代の扱いについては注意する必要があります。

本記事では、SESは残業が少ないと言われるのは本当なのかを解説しながら、SESで働くにあたって知っておきたい残業・残業代の扱い、残業指示を受けた時の対処法についてもご紹介します。

関連記事:「新卒でSESはやめとけ」は本当?メリットや優良企業の選び方を解説

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1.そもそもSESで残業はできるのか?

SESで働くエンジニアは、残業が認められないというイメージを持っている方は多いでしょう。残業が少なく、定時で帰れることを魅力に感じてSES企業に入社する方も少なくありません。ここではまず、SES契約において残業ができるのか、SIerなどと比べて残業は多いのか少ないのかをご紹介します。

SESが残業すること自体は可能

SES契約で働くエンジニアは、原則として残業することは可能です。というのも、SES契約で定めているエンジニアの労働時間は、1ヶ月あたり「140時間〜180時間」など、ある程度の幅を持たせた「精算幅」で設定されているからです。

仮に1日8時間を20日勤務で働いた場合、1ヶ月の労働時間は160時間となるので、上限まで20時間の余裕があります。クライアント企業側は、20時間を超えなければ追加費用が発生しないので、20時間までの残業を求められる可能性は高いです。

ただし、SES契約ではクライアント企業はエンジニアに対する指揮命令権を持たないため、直接エンジニアに残業指示を行うことはできません。残業を求める場合には、SES企業に在籍する管理責任者を通じて、SESエンジニアに指示しなければなりません。

SESは労働時間が決まっている契約形態

SES契約(準委任契約)は、前述した「140時間〜180時間」のように、契約時間が決まっている契約形態を指します。指揮命令権はクライアント企業は持っておらず、成果物への責任も負わないのが特徴です。契約時間を超過してエンジニアに働かせることも可能ですが、その場合には追加報酬が発生することになります。

なお、SESとよく似た働き方として派遣契約が挙げられますが、派遣契約の場合にはクライアント企業が指揮命令権を持つので、直接残業指示を出せるという違いがあります。

成果物への責任を持たないため残業が少ない傾向

IT業界では、エンジニアは残業が多いというイメージを持たれやすいですが、その背景にあるのは受託開発において設定される納期です。いわば仕事の締め切りがクライアント企業から指定されているので、納期間近になってもシステム開発が完成していない場合に、追い込み作業で残業・休日出勤が発生することがあるのです。

しかしSESで働くエンジニアは、成果物への責任は持ちません。したがって納期が近づいていたとしても残業を求められることは少なく、契約時間の上限が迫っていればなおのこと定時で退社するケースが多くなります。クライアント企業のエンジニアが追い込み作業を行っているにも関わらず、SES契約の自分だけが定時で退社するのは心理的に抵抗があるかもしれませんが、そこでサービス残業してしまうのはNGなので注意が必要です。

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2.「SESは残業が多い」と思われている原因は?

ここまで解説してきた通り、SESで働くエンジニアは残業すること自体は可能ですが、管理責任者を通じて残業を指示する手間があるため、残業は少ない傾向にあります。しかしSNSなどでは、「SES企業は残業が多い」というイメージを持っている方も多いです。

そうしたイメージの背景には、次の3つの原因が考えられます。
 

  • ・IT業界の残業が多いというイメージから

    ・ブラックなSES企業が多いから

    ・管理責任者が不在でサービス残業が発生しているから


それぞれ詳しくご紹介しましょう。

IT業界の残業が多いというイメージから

SESは残業が多いというイメージの背景には、IT業界全体で「残業が多い」という印象を持たれていることが挙げられます。IT業界では、社内SEやインフラエンジニアなど、比較的残業が少ない職種も多いですが、受託開発を手掛ける下請け企業のエンジニアなど、場合によっては長時間労働に陥りやすいケースも存在します。

思わぬトラブル・エラーや自社サービスの炎上などが発生した際には、普段残業が少ない職場であっても、急な残業が求められることは出てくるでしょう。このような背景から、IT業界は残業が多いというイメージを持つ方は多いのです。客先常駐という下請けエンジニアのイメージが強いSES企業に対しては、特に残業が多い働き方という印象を持たれやすいのでしょう。

ブラックなSES企業が多いから

SESは残業が多いと言われる理由として、ブラックなSES企業が存在することも挙げられます。SES企業の中には、十分な研修を行うことなくクライアント企業へ派遣したり、家電量販店・コールセンターなどの専門スキル不要の現場に派遣したりする企業も存在するのが実情です。

そうしたブラックなSES企業で働いた経験を持つ方からすると、SESはサービス残業を強いられて長時間労働になりやすい働き方だというイメージを持たれてしまうのです。失敗しない就活のためにも、入社するSES企業はしっかりとリサーチして、ホワイト企業であることを確認してから選考に進みましょう。

関連記事:SES企業とは?エンジニアとして働くメリット・デメリットと企業選びのコツ

管理責任者が不在でサービス残業が発生しているから

SESで働くエンジニアは、一人きりで客先に派遣されることは少なく、管理責任者を伴うチームで派遣されるのが一般的です。しかし急なトラブルや人手不足を原因として、SESエンジニアが一人で働くケースもあります。その場合、SES企業の管理責任者が不在で残業を指示できる人がいないため、サービス残業が発生してしまうことがあるのです。

サービス残業が常態化してしまえば、エンジニアの労働環境はますます悪化してしまい、長時間労働に陥ってしまう危険性があります。こうした事態を防ぐためにも、SES企業の管理責任者としっかりと連携を取ることが大切です。

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3.SESで残業指示を受けた時の対処法

SES契約で働くエンジニアは、クライアント企業は指揮命令権を持たず、SES企業に指揮命令権があります。そのためエンジニアに残業を指示する場合には、一旦SES企業の管理責任者に相談した上で、残業指示を受けることになります。

しかし開発の現場では、納期に迫られるなどの事情で、クライアント企業から直接残業指示を受けることも考えられます。その際はどのような対処法が考えられるのかをご紹介しましょう。

自社の管理責任者に相談するのが原則

まず原則としては、残業指示はSES企業の管理責任者を通じて受けることが重要です。クライアント企業の社員がSESエンジニアに直接残業指示を出してしまうと、偽装請負として違法な働き方に当てはまる危険性があるからです。そのためクライアント企業から残業指示を受けた場合、一旦管理責任者に連絡を取り、指示を仰ぐことが原則です。

自分自身で残業の可否を判断するのではなく、SES企業の責任者に相談することで、違法な働き方を強要しようとするクライアント企業から自分自身を守ることにもつながります。

緊急の依頼は一度だけ残業するのも選択肢

とはいえ、現実的にはクライアント企業のエンジニアが納期に迫られて大変な時期に、自分だけ「残業は管理責任者に相談してください」とだけ伝えて突き放してしまうのは、今後のクライアント企業との関係性にも影響が出てしまいかねません。もちろん膨大な作業量を急に求められた場合には断るのが賢明ですが、軽い作業で済みそうな場合には、一旦残業して現場の社員の信頼を獲得するのも一つの選択肢です。

その上で、「次回からの残業指示については、管理責任者に確認をお願いします」と伝えることで、クライアント企業からの信頼を得ながら、サービス残業の常態化を防ぐことができるでしょう。あくまでも自分にとって無理のない範囲内で柔軟に対応するのも、長期的に見れば正しい行動になることも多いです。

サービス残業が常態化しないように要注意

ただし、簡単な作業だからといって、毎回クライアント企業の要望に応えて残業してしまうと、サービス残業が常態化してしまう危険性があります。10分程度のサービス残業だったとしても、SES企業への報告をせずにサービス残業として受け入れてしまうと、何時間分もの労働時間に対して残業代が支払われない状況になってしまいます。

クライアント企業から直接の残業指示は違法行為なので、クライアント企業やSES企業はもちろん、エンジニア自身への責任が追及される可能性があります。一度サービス残業が常態化してしまうと、以前の状態に戻すことが難しくなるため、最初からサービス残業は受け入れないことを心掛けましょう。

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4.SESの残業代の扱いについて

SES契約で働くエンジニアが残業した場合、残業代の扱いが一般的な会社員のエンジニアとは異なることがあります。これはSES契約で労働時間を決めていることや、みなし残業制を採用するケースが多いことが理由です。

ここではSESでの残業代の扱いについて、働くエンジニアの視点からご紹介します。

SESの契約時間上限まで残業代は出ない

SES契約では、「140時間〜180時間」のような精算幅をもとに、契約時間が決まっています。この精算幅に収まる分の残業時間は、SES契約の契約時間に含まれているとみなされ、残業代は支給されないことに注意が必要です。たとえばSES契約で1日8時間労働と決められていた場合で、クライアント企業の所定労働時間が1日7時間だった場合には、1時間分の残業までは残業代が支給されないということです。

この点は、正社員や派遣社員のエンジニアとして働く場合との大きな違いとなっているため、SES契約の内容をチェックした上で、残業代を計算することが大切です。

SES契約では固定残業代が含まれることが多い

SESで働くエンジニアは、固定残業代が給料に含まれていることも多いです。固定残業代は、一定の固定残業時間分の残業代をあらかじめ給料に含めておき、残業した場合もしなかった場合も一律で支給される手当を指します。固定残業時間を超えて残業した場合には別途残業代が支給されますが、非常に長い固定残業時間が設定されている場合には、どれだけ残業しても残業代が支給されないケースも少なくありません。

この固定残業代を使い、少ない基本給を高額に見せようとする悪意ある企業も存在します。そのためSES企業の給料に固定残業代が含まれる場合や、長い固定残業時間が設定されている場合には、ブラック企業の可能性もあることを考慮して企業選びを進めましょう。

残業代なしのサービス残業が常態化している現場も

SESエンジニアが働く現場の中には、残業代なしのサービス残業がすでに常態化してしまっているケースも考えられます。そうした現場では、クライアント企業が直接SESエンジニアへ残業指示しているなど、違法な働き方が当たり前になっている可能性もあります。

もしSES企業に入社後にそうした現場に派遣された場合には、まず自社に相談して指示を仰ぎ、労働環境が改善されないようであれば、転職も視野に入れることをおすすめします。ブラックな労働環境で心身の体調を崩してしまわないように、自ら行動を起こして自分自身を守りましょう。

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5.残業が少ないホワイトなSES企業の選び方

最後に、残業が少ないホワイトなSES企業を見極めるコツについて、以下の3つの観点から解説します。
 

  • ・元請け・一次請けのSES企業を選ぶ

    ・残業・福利厚生・評価制度が明確なSES企業を選ぶ

    ・社員の口コミが良いSES企業を選ぶ


志望するSES企業がこれらのポイントに当てはまっているかどうかをリサーチしながら、就活に臨んでみてください。

元請け・一次請けのSES企業を選ぶ

IT業界では多重下請け構造が今も残っており、ユーザー企業から直接依頼を受ける元請け企業から、数々の仲介企業を挟んで、下請けのSES企業が開発業務を担っているケースが多いです。しかし三次請け・四次請け以降の下請け企業になると、薄給で激務を任されることも多くなり、ブラックな労働環境になりやすい傾向にあります。

そうではなく、ユーザー企業から直接依頼を受ける元請けのSES企業や、一次請けのSES企業を選ぶと、ホワイトな職場である可能性が高まります。こうしたSES企業は、エンジニアの技術力や営業力が高く評価されており、経営基盤も盤石であることが多いので、研修制度や福利厚生が充実している傾向にあるからです。

元請け・一次請けのSES企業は、その企業の取引先をチェックすることで判断できます。IT業界以外のユーザー企業や、大手のSIerが主要取引先に並んでいる場合、ホワイトな優良企業である可能性が高いのでチェックしておきましょう。

残業・福利厚生・評価制度が明確なSES企業を選ぶ

SES企業を選ぶ際には、残業の有無や月平均残業時間を含めて、福利厚生や評価制度が明確な企業を選ぶことも大切です。会社ホームページや求人サイトの中で、各種制度を明確かつ詳細に記載している企業ほど、優良なホワイト企業である可能性が高いです。ブラックなSES企業の場合、実態のない福利厚生や評価制度を詳しく記載することは考えにくいからです。

特にSESエンジニアの場合、客先常駐で働く都合上、自社からの評価を受けにくい性質があります。定期的な面談や管理責任者からの評価を受けられるなど、明確な評価制度があるSES企業を選ぶと、働くモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

社員の口コミが良いSES企業を選ぶ

既存社員からの口コミサイトやSNSを通じて、口コミが良いSES企業を選ぶのも有効です。残業が多いという事実は、社員の口コミとして残りやすく、口コミサイトやSNSでも投稿されやすい情報です。もしネガティブな口コミが目立つようであれば、志望企業がブラックである可能性も考慮した方が良いでしょう。

ただし、企業側が良い口コミを書くように従業員に強制するなど、何らかの形で口コミが操作されている可能性もあります。そのため口コミだけで志望企業を決めるのではなく、会社ホームページや求人サイトの情報、会社説明会やインターンシップでの印象も踏まえて、総合的に判断を下すようにしてください、

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6.まとめ

SESは残業が少ない働き方ですが、契約上は残業を指示することは可能です。ただしクライアント企業から直接残業指示を受けるのは違法であり、SES企業の管理責任者を通じて残業指示を受ける必要があります。SESは契約で労働時間が決まっており、140時間〜180時間などの精算幅があるため、一定までの残業時間を求められることは多いです。

ただし、SES契約の精算幅の上限までは残業代が支給されないのが一般的で、みなし残業制による固定残業代が給料に含まれていることもあります。その場合には、残業しても残業代が支給されないことも多いのでご注意ください。本記事で解説してきた残業の少ないホワイト企業の選び方を参考に、働きやすいSES企業への入社を目指しましょう。

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