日本がIT遅れといわれている理由|IT化に導く方法

日本がIT遅れといわれている理由|IT化に導く方法
「日本ってIT分野で遅れているの?」「IT化を進めるためにはどうしたらいいんだろう」と考えている人もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、日本はIT分野において遅れを取っています。2024年世界デジタル競争力ランキングで日本は昨年より順位を1つ上げて31位となりました。

本記事では日本がIT分野において遅れている理由と、IT化を進めるための方法を紹介します。

この記事を最後まで読めば、日本のIT事業における現状を知ることができ、今後の日本におけるITのあり方を考えるきっかけとなるでしょう。

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1. 日本がIT遅れと言われている理由4つ

まず、日本企業のIT化が遅れている理由について解説します。

理由1:ITが価値創出につながることへの理解不足

日本では、ITの導入は効率化やコスト削減を目的とした、いわゆる「守りのIT」としてとらえられる傾向にあります。一方で海外(欧米)では「守りのIT」に加えて「攻めのIT」である、マーケット拡大・新サービス創出などの価値創出をするための手段とされています。

このように、日本ではITの導入が価値創出につながることへの理解が不足しており、欧米のような積極的なIT導入が進まない理由の一つです。

理由2:IT投資が不十分

日本はアメリカや欧州主要国に比べて、IT投資が低いと言われています。1995年~2017年までのICT投資額の伸長率を比較(※)すると一目瞭然で、1995年を100とすると2017年ではアメリカ・イギリスは約300と3倍、フランスは1.5倍、日本のみが約1倍と伸長していません。

※参考:総務省「ICT投資の状況(海外比較)」

理由3:欧米に比べてIT人材が育ちにくい

前章で、日本におけるITは「守りのIT」の傾向が強いと述べました。「守りのIT」では、効率化・コスト削減のために必要となるハードウェア・ソフトウェアなどのIT装備に重点的に投資が行われます。一方で「攻めのIT」では、ITを価値創出のために使いこなす人材の育成へも多くの投資が行われます。そのため「攻めのIT」を積極的に行う欧米に比べると、日本はIT人材が育ちにくい環境にあると言えるでしょう。

関連記事:IT業界の人材不足は嘘だった?将来性があり市場価値の高いエンジニアになる方法

理由4:人材登用が非グローバル的

日本の企業では雇用対象は基本的にまず日本人を優先し、海外で活躍するずば抜けたIT能力を持った外国人の登用を積極的には行ってきませんでした。一方、GAFAと言われるシリコンバレーの巨大IT企業などでは、国籍を問わず優秀な人材を世界中から登用しています。

今後は、日本の企業でも最先端のIT技術に携わりたいと考える「優秀な留学生」や「非常に高いITリテラシーを持ったエンジニア」などのグローバルな人材を積極的に受け入れるべきだと言われています。

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2.IT遅れの日本とIT最先端のアメリカの違い

IT遅れと言われている日本と相対的にあるのがアメリカです。
この章では、IT事業におけるアメリカとの違いについて説明します。

 大手IT企業

アメリカには世界中で知られる有名なIT企業が多くあります。

その中でも中心となるIT企業にGoogle(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)があります。この4つは通称してGAFA(ガーファー)と呼ばれています。
また、カリフォルニア州には、シリコンバレーと呼ばれる大手IT企業が集まるエリアがあります。

一方、日本にも多くの大手IT企業が存在します。

「富士通」「NTT」「ソニーグループ」「NEC」は日本人であれば知らない人はいない大手IT企業です。
また、国内のIT企業は、小規模なものも含めると約1万社以上あると言われています。

売上高

先ほど述べた日本とアメリカの大手IT企業のそれぞれの売上高は以下の通りです。

【アメリカ】
Alphabet(Googleの持ち株会社)」882億6800万ドル(約13兆5400億円)
米Amazon.com」1588億7700万ドル(約24兆1500億円)
米メタ」405億8900万ドル(約6兆2100億円)
米アップル」949億3000万ドル(約14兆4000億円)
※2024年7~9月期の決算売上高

【日本】
富士通」1兆6966億円
NTT」2兆2400億円
ソニーグループ」5兆9172億円
NEC」1兆4866億円
※2024年4~9月期の決算売上高

以上の期間における売上高を見ると、アメリカの大手IT企業と日本の大手IT企業では大きな差があるのがわかります。

エンジニアの数

2024年時点で、アメリカのITエンジニア数は約454万1000人とインドに次いで世界で2番目に多いです。3位に中国、4位が日本になります。
日本のエンジニア数はランキング4位で144万人ですが、アメリカと比べると半分以下になります。

また、2023年度の同じ調査でも144万人とエンジニア人口は変わらず、伸び悩んでいます。

参考:2024年調査版 「世界のITエンジニアレポート」

エンジニアの年収

次はエンジニアの年収についてです。

アメリカのエンジニア(エントリーレベル)の平均年収は約2,600万円で、日本のエンジニアの平均年収は約557万円です。

アメリカのテクノロジー企業における給与動向を調査している「Levels.fyi」の2023年の調査結果によるとエントリーレベルで平均年収が17万5000ドル(約2,600万円)になります。

日本と比較すると非常に高額ですが、シリコンバレーをはじめとするアメリカのIT企業の給与水準としては一般的になります。シニアレベルになると年収5,000万円を超えるエンジニアも少なくありません。

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、ITエンジニア(ソフトウェア開発技術者、プログラマー)の平均年収は約557万円です。(2025年1月時点)

令和5年分の民間給与実態統計調査によると日本人の平均年収は460万円なので、日本においては平均年収よりも100万円近く多くもらっていることになります。

以上の結果を見てもわかるようにアメリカではエンジニアという職種が非常に高い報酬を得ています。

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3.日本のIT業界の現状

ここでは、日本のIT業界における現状を説明します。

世界ランキング31位

2024年にスイスのビジネススクール国際経営開発研究所(IMD)が発表した世界デジタル競争ランキングでは日本は31位という結果でした。また、人材知識レベルに関しては過去最低の53位となっています。

ランキング上位は1位がシンガポール、2位はスイス、3位はデンマークと続き、前年1位だったアメリカは4位となりました。

このランキングは、デジタル技術がビジネスや政府、社会の変革にどれだけ貢献しているかを評価しています。政府や企業の幹部へのアンケート結果や、経済活動の結果に基づくデータなどを用いて、各国のデジタル競争力を比較しまとめています。

日本IT業界の課題

世界デジタル競争ランキングの人材知識レベルに関しては過去最低の53位という結果が物語っているように、日本ではIT業界の人材不足が問題視されています。

経済産業省のDXレポートによると、IT人材の不足は2025年には最大で約58万人、2030年には約79万人に拡大すると予測されており(※)、今後ますます深刻化するIT業界の大きな課題です。

逆にいうとIT業界では人材の需要がこれからも続くため、多くのチャンスがあり自分のやりたい仕事ができる可能性も高く、新卒にとっては将来性のある業界と言えるでしょう。

※参考:みずほ情報総研株式会社「 IT 人材需給に関する調査 」p.18

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4.日本をIT化へ導く方法

最後に日本をIT化へ導く方法として、「攻めのIT」活用とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による今後のIT業界について解説します。

 今まで日本のITは「守りのIT」が中心でしたが、今後は「攻めのIT」を進めることでさらなるIT活用を実現できる可能性があります。また、ここ数年急速に浸透し始めたDXを推進することにより企業の変革が進み、ITは企業にとって欠かせないものになると考えられています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

DXとは、デジタル技術(DXのD)を活用し、企業に変革(DXのX)をもたらすことです。企業はDXにより、競争力強化や新たな成長の実現が可能になります。

現在、さまざまな企業がDXを推進し始めており、徐々に結果が出始めています。今後、DXの事例が増え、DX推進によって企業がより強くなれることが明確になると、あらゆる企業が後に続くようになり、ITの活用はさらに進むでしょう。

 関連記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や必要性について徹底解説

「攻めのIT」活用

「攻めのIT」とは、「守りのIT」である業務効率化・コスト削減などとは異なり、IT活用により製品・サービスの開発やマーケットの拡大を行い、競争力を強化することです。具体的には、顧客ニーズをデータで把握して新しいサービスを開発したり、ITツールを利用してプロモーションなどのマーケティングを行ったりします。

 これらの「攻めのIT」活用は、売上や収益の拡大が見込めるため、企業の大きな投資につながる重要なファクターです。

今後、多くの企業が「攻めのIT」の意義を見いだしITへの投資が増加すると、IT業界はさらに活性化するでしょう。

 このように、今後のIT業界は、「攻めのIT」活用やDXを推進する方向に大きく進むと言われています。新卒は経験がないため「守りのIT」にとらわれることがなく、「攻めのIT」活用に携わりやすいでしょう。また、デジタルネイティブ世代でもあるため、スマートフォンなどのデジタル技術への苦手意識が少なくDXの仕事にも入りやすいはずです。このような理由からも、今後のIT業界で新卒が活躍できる場はおおいに増えると考えられます。

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