基本情報技術者試験とITパスポート試験の違いと取得するメリット

基本情報技術者試験とITパスポート試験の違いと取得するメリット
就職活動に万全の状態で臨むためには、インターンシップの参加や面接対策など様々な準備が必要です。その中でも、IT業界を目指す学生には特に基本情報技術者試験とITパスポート試験という資格の取得をおすすめします。これらの資格を取得することで幅広くITに関する知識を身につけた上で、自身のスキルレベルを客観的に証明することができます。ここでは、基本情報技術者試験とITパスポート試験とは何か、違い、取得するメリット、そしてこの二つの資格以外に取得しておくと便利な資格について解説します。

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1. 基本情報技術者試験とITパスポート試験とは

まず、基本情報技術者試験ITパスポート試験の概要について解説します。

基本情報技術者試験

試験形式・日時

基本情報技術者試験は、合計5時間の丸一日かけて実施される試験です。午前(150分)は80問の四肢択一式、午後(150分)は多肢選択式の試験形式となっています。4月の第3日曜日と10月の第3日曜日の年に二回実施され、 CBT(Computer Based Testing)方式と呼ばれるマウスとキーボードを使ってパソコン上で問題に回答する試験方式が令和2年度以降採用されています。

試験範囲

基本情報技術者試験の試験内容は午前と午後で異なり、その範囲は非常に広いです。下記はカテゴリー分けした場合の午前と午後の試験内容です。

【午前】

  • ・テクノロジ系:基礎理論、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、ヒューマンインターフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術

    ・マネジメント系:プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査

    ・ストラテジ系:システム戦略、システム企画、企業活動、法務、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ


【午後】

  • ・コンピュータシステムに関すること:ソフトウェア、ハードウェア、データベース、ネットワーク

    ・情報セキュリティに関すること

    ・データ構造およびアルゴリズムに関すること

    ・ソフトウェア設計に関すること

    ・ソフトウェア開発に関すること

    ・マネジメントに関すること:プロジェクトマネジメント、マーケティングマネジメント

    ・ストラテジに関すること:システム戦略、経営戦略、企業と法務

ITパスポート試験

試験形式・日時

ITパスポート試験は基本情報技術者試験と異なり、午前・昼間・夕方のいずれかで受験できる120分の100問四肢択一式のみの試験です。ITパスポート試験もコンピュータを利用して受験できるCBT(Computer Based Testing)方式が導入されています。基本情報技術者試験は年に二回しか実施されていないの対し、ITパスポート試験は毎月複数回実施されています。

試験範囲

ITパスポートの試験範囲は基本情報技術者試験の午前の試験とほとんど同じですが、やや狭くなっています。
 

  • ・テクノロジ系:基礎理論、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、ヒューマンインターフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ

    ・マネジメント系:システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査

    ・ストラテジ系:企業活動、法務、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、システム戦略、システム企画

基本情報技術者試験とITパスポート試験のその他の違い

目的・対象としている人

基本情報技術者試験とITパスポート試験はどちらも独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が「情報処理の促進に関する法律」に基づいて実施している国家資格です。しかし、主に二つ異なる点があります。

まず一つ目は、この二つの試験それぞれの「実施されている目的」と「対象となっている受験者」です。ITパスポート試験は「情報技術を利用して業務に活かす人材」を対象にしているのに対し、基本情報技術者試験は「システムを開発する人材」を対象としています。

つまり、ITパスポート試験はその名の通り全ての社会人を対象としている基本的な内容の試験である一方、基本情報技術者試験は特定のスキルを持った情報技術者を対象とした比較すると高難易度の試験です。基本情報技術者試験はITパスポート試験の上位互換のような試験であると言えるでしょう。

難易度・合格率

次に、この二つの試験は難易度と合格率という点において異なります。基本情報技術者試験の午前の試験だけで比較するとITパスポート試験とさほど難易度は変わらないとも言われていますが、午後の試験は長文形式の問題が出題されるため大幅に難易度が上がります。この午後の試験が情報技術者としての知識が問われる部分で、多くの受験者が苦戦するため合格率が下がっています。

したがって、ITパスポート試験の合格率は約50%であるのに対し、基本情報技術者試験の合格率は約20~30%しかないことが公式に発表されています(※)。基本情報技術者試験に合格するには、ITパスポート試験の倍に近い勉強時間の確保が求められるでしょう。

※参考:令和元年度秋期情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験)の合格者を発表|IPA 情報処理推進機構

関連記事:基本情報技術者試験の合格率は?難易度や勉強にかかる時間について

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2. 基本情報技術者試験とITパスポート試験を取得するメリット

次に、基本情報技術者試験とITパスポートを取得するメリットについて解説します。

現在求められているITスキルを体系的に身につけられる

まず、現在求められているITスキルを体系的に身につけられるというメリットがあります。IT業界は新しい技術が次々と生み出されるため、変化が非常に激しい業界です。例えば、去年まで最もよく使用されていたITツールが、今ではほとんどの企業で使われなくなってしまった、ということは頻繁に起こります。

したがって、オンライン上の情報や古い書籍などを使ってITスキルを学習しようとすると、あまりもう使われていない技術を学んでしまい意味がなかったという危険性があります。その点、基本情報技術者試験とITパスポートはどちらも国家資格であるため、常に最新の内容にアップデートされており、その心配はいりません。

また、初学者がIT分野について勉強をしようと考えた場合、何からどのように勉強すれば良いのかわからず情報をばらばらにインプットしてしまう可能性があります。その点、この二つの試験は現在のIT業界で働く人材に必要なあらゆる知識・技術を問う試験であるため、学習範囲が明確に設定されています。したがって、合格へ向けて試験勉強をすることにより体系的にIT分野について学習することができます

手当たり次第見つけた情報をインプットするよりも、「合格する」というはっきりとした目標があるためモチベーションを維持しやすいという点においても、はるかに効率が良いと言えるでしょう。

自身のスキルレベルを客観的に証明できる

次に、この二つの試験に合格することで、自身のスキルレベルを客観的に証明できるというメリットがあります。IT業界は原則実力主義の世界であるため、資格を保有していることのみで就職・転職が有利になるとまでは残念ながら言えません。

しかし、基礎的な知識を備えていること、また勉強に対して前向きな姿勢で臨める人物であることなどの証明にはなります。入社後、他の社員とのコミュニケーションをスムーズに行うためという点においても、IT業界で働くことを希望している人にはこの二つの試験を受験することを強くおすすめします。

資格手当がもらえる場合がある

最後に、基本情報技術者試験の合格者へは合格報奨金が支払われる場合があるというメリットがあります。これは一時的に収入が増えるということのみに限らず、企業側から努力したことが認められ社内評価の対象になることもあります。表彰対象試験として取得を勧めている企業も増えているため、このような制度がある会社に勤めることを検討している場合は、ぜひ入社前に取得しておくことをおすすめします。

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3. 基本情報技術者試験とITパスポート試験を取得するための勉強方法

次に、基本情報技術者試験とITパスポート試験を取得するための勉強方法について解説します。

問題集・参考書・過去問を使用した独学

まず、問題集・参考書・過去問を使用した独学という勉強方法があります。各試験の問題集・参考書は市販されているため、書店で実際に中身を見ながら選ぶ、またはオンラインショップで評価の高いものを購入するなどの方法があります。まずは問題集を解き始め、その問題集に書かれている解説でもわからない内容は参考書を活用しながら理解を深めるという勉強方法がおすすめです。

基本情報技術者試験とITパスポート試験を実施している独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のホームページから、過去問を無料でダウンロードすることができます(※)。配点割合・解答例・採点講評なども確認することが可能です。上述した通りIT業界は常に変化しており、過去の問題がそのまま今の試験にも出題されるということではありません。しかし、まずは問題がどのように出題されるのかを把握するため、また全ての問題を回答する上でかかった時間の計測などに役立てることはできるでしょう。

問題集・参考書・過去問を使った独学のメリットは、低予算で勉強を始められること、また時間や場所など問わず自由に勉強できるという点です。通学中やちょっとした隙間時間でも勉強できます。その一方で、自身でモチベーションの維持や、参考書を読んでも分からないことがあった場合に誰かに質問することができないというデメリットがあります。これらのデメリットをカバーするためには、一緒に合格を目指す友人などと勉強をすることをおすすめします。

通信教育を受ける

次に、通信教育を受けるという勉強方法もあります。通信教育のメリットは、分からないことをすぐに講師に聞けること、参考書選びの手間が省ける、スケジュール管理が楽になる、などが挙げられます。つまり、問題集などを使った独学の弱点をカバーできる勉強方法であると言えます。特に自分でスケジュールを管理をしながら計画的に勉強を進めることが苦手な人にはおすすめの方法です。カリキュラム修了までの目安時間に応じて、合格したいタイミングから逆算して計画を立てましょう。また、特定の講座を受講することで基本情報技術者試験の午前試験が免除になることもあります。

その一方で通信教育のデメリットは、独学と比較すると費用が高額であること、またスケジュールが固定されてしまうという点が挙げられます。問題集などは必要なものを揃えても数千円程度しかかからないのに対し、通信教育の講座料はその約10倍ほどかかってしまいます。また、独学の場合は自分のペースで勉強することができますが、講座を受ける場合は時間帯が固定されていることや、一定の日数が経過しないと次の講座が受講できないということもあります。

専門スクールに通う

最後に、専門のスクールに通うという勉強方法もあります。専門スクールのメリット・デメリットは通信教育と類似していますが、特に資格取得と就職・転職活動を並行して行うのであれば、支援を行っている専門スクールに通うことをおすすめします。まずは無料の資料請求を依頼した上で、予算や受講期間を考えながらどの専門スクールに入学するか決めましょう。

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4. IT業界で働くことを目指す学生におすすめの資格

最後に、基本情報技術者試験とITパスポート試験以外で、IT業界で働くことを目指す学生におすすめの資格を三つご紹介します。

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、基本情報技術者試験とITパスポート試験同様、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格です。ただし、この二つの試験がIT系の基本的な知識・技術を網羅していることに対し、情報セキュリティマネジメント試験はセキュリティ関連分野に特化しています。

情報セキュリティ管理の知識・スキルを身につけたい人、またITパスポート試験からステップアップしたい人向けに実施されている試験です。各企業の機密情報などを守ることが重要になってきている今、ますます注目を集めています。

基本情報技術者試験と同じく、4月の第3日曜日と10月の第3日曜日の年に二回実施され、CBT (Computer Based Testing) 方式が採用されています。また合格率は約50%である(※)ため、基本情報技術者試験と比較すると取得しやすい資格であると言えるでしょう。

プログラミング言語別の認定試験

プログラミング言語はそれぞれ認定試験が運営されています。取得することで、そのプログラミング言語への理解度や、取り扱うスキルのレベルを証明することができます。難易度も比較的易しいものが多いため、初心者がまず挑戦する資格としてもおすすめです。
働きたい企業とそこで主に使用されているプログラミング言語が分かっている場合は問題ありませんが、もしどの言語から勉強すれば良いか分からない場合は、習得難易度が低く汎用性が高いJavaScript・PHP・Rubyをおすすめします。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験のさらに上位互換として実施されている独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の国家資格です。試験範囲はさらに広がり、難易度も高くなっています。IT業界において高度なIT人材として活躍したい人に向けて実施されている試験です。学生のうちに合格することができれば、他の就活生と大きく差をつけることができるでしょう。

基本情報技術者試験と同じく、4月の第三日曜日と10月の第3日曜日の年に二回実施されています。また合格率は約20%である(※)ため、高難易度の試験であることが分かります。

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