
- 1.理系の文系就職は有利って本当?
- 2.理系の文系就職のニーズは増加傾向
- 3.理系が文系よりも就職で有利といわれる理由4選
- 4.理系が文系就職する3つのメリット
- 5.理系が文系就職する3つのデメリット
- 6.理系の文系就職におすすめの業界と職種
- 7.理系の文系就職を成功させるポイント
- 8.まとめ
1.理系の文系就職は有利って本当?

理系の学生が文系職に就職する場合、実際に有利かどうかは気になるところです。理系学生が文系業界に挑戦するメリットには、企業が求める「論理的思考力」や「問題解決能力」を持っている点が挙げられます。多くの企業はこのようなスキルを重視しており、理系の学生に対しても期待を寄せています。では、理系学生が文系就職を目指す場合、本当に就職が有利になるのか、就職率や就活の進め方の違いから見ていきましょう。
理系と文系の就職率に大差はない
理系と文系では、就職率に大差はありません。文部科学省が公表している「令和5年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(4月1日現在)について」によると、2024年4月1日時点での文系の就職率は97.9%、理系の就職率は98.8%となっています。
また、前年(2023年)の同時期に行われた文部科学省「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査(令和5年4月1日現在)」では、文系の就職率は97.1%、理系の就職率は98.1%でした。つまり、年度による文系・理系の就職率に大きな変動はなく、文系よりも理系が就活で有利だという傾向も見られないと理解できます。
関連記事:理系学生の就活スケジュール・ポイントを徹底解説!
理系・文系就職の就活の進め方の違い
理系と文系では、就職活動の進め方にいくつかの違いがあります。
理系学生は、エンジニアや研究職といった専門性が評価されやすい職種を目指すことが一般的で、企業の選考もそれに合わせたスタイルが多いです。たとえば、「研究室訪問」や「推薦制度」を利用することで比較的スムーズに内定を得られるケースが多いことが特徴です。
一方、文系就職の場合、選べる業界や職種が幅広い反面、選考の競争率も高く、自己PRや志望動機によるアピール力が重要です。また、文系職は「人間関係を円滑にする力」や「柔軟な対応力」を重視する傾向があります。このため、理系学生が文系職を目指す場合は、これまでの研究や実績を「どう文系職に結びつけるか」をしっかり考える必要があります。
関連記事:理系学生の就活はいつからすべき?就活スケジュールと全体像を解説
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2.理系の文系就職のニーズは増加傾向
近年は、理系の文系就職のニーズが増加傾向です。なぜなら、これまで文系出身者が中心だった業界・職種でも、理系が持つ専門知識やスキル、特性を活かせば、より効率的に質の高い業務を行える可能性があるからです。
たとえば、組織の問題点を改善し収益構造を変えていくには、論理的思考能力や数値に対する感性が求められます。硬直化した組織を改革したり顧客との建設的な関係を築いたりするために、理系が持つ知識やスキル、数値に基づく課題解決能力、優れたデータ分析力などが役立ちます。
そのため、業界・業種を問わず多くの企業が理系学生に期待を寄せているのです。
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3.理系が文系よりも就職で有利といわれる理由4選

理系と文系の就職率に大差がなくても、「理系の方が文系よりも就職で有利」といわれるのは、いくつか理由があるからです。
ここでは、理系が文系よりも就活で有利といわれる主な理由を4つ解説します。
専門職への就職に強い
理系は文系よりも専門職への就職に強い点が、就活で有利といわれる理由の一つです。専門職とは、その職業固有の専門知識や資格がないと遂行できない仕事を意味します。
知識や技能の習得が必要になるため、相応の勉強や研修が必要です。たとえば、弁護士・税理士などの士業、医者をはじめとする医療関係者は、代表的な専門職にあたります。また、近年人気の高いITエンジニアの一部も専門職です。
理系の学生は、文系と比べて、大学でより専門性の高い知識を学んでいます。そのため、専門職を必要とする企業からのオファーが多い傾向です。
基礎知識のない人材を育てるのは時間がかかるので、すでに知識のある学生を採用したいと考える企業は少なくありません。したがって、専門職への就職においては、理系が文系よりも有利となる場合が多いようです。
推薦応募の枠が多い
理系が就職で有利といわれる理由に、推薦応募の枠が多い点が挙げられます。推薦応募とは、企業が大学側から一定以上の水準をクリアした学生を推薦してもらい、その中から採用する人材を選ぶ方法です。実際に、文系学生に対する推薦応募はほぼありません。
推薦応募の場合、学生は就職担当者や教授からの推薦状を添えて応募します。一般的な新卒採用と比べ選考過程が簡略化されることが多く、最終面接のみで内定が決まるケースも珍しくありません。
合格率が比較的高く、就職活動が短くて済む点は、学生にとって大きなメリットでしょう。
また、企業側にとっても、必要な専門知識を持ち、即戦力になることを期待できる人材を確実に獲得できるメリットがあります。そのため、過去に実績のある学校から、積極的に推薦応募で理系学生の採用をする企業も少なくありません。
内定取得時期が早い
理系は文系よりも内定取得時期が早い傾向にある点も、就職で有利とされる理由だといえるでしょう。先述したとおり、大学卒業後の最終的な就職率は理系・文系で差はほぼありません。
しかし、株式会社リクルートの研究機関である就職みらい研究所が実施した調査結果によると、理系のほうが内定を獲得する時期が早い傾向が読み取れます。
2025年3月卒の大学生(院生は除く)を対象にした、卒業の前年2月から12月までの文系・理系別の就職内定率の推移は以下の通りです。
<2025年3月卒文系・理系の就職内定率の推移>
-
・2024年2月1日…文系:24.6%/理系:22.5%
・2024年3月1日…文系:36.8%/理系:47.8%
・2024年3月18日…文系:46.6%/理系:56.7%
・2024年4月1日…文系:54.6%/理系:65.8%
・2024年5月1日…文系:69.7%/理系:78.3%
・2024年5月15日…文系:75.5%/理系:83.8%
・2024年6月1日…文系:81.2%/理系:85.0%
・2024年6月12日…文系:82.8%/理系:89.4%
・2024年7月1日…文系:86.9%/理系:90.6%
・2024年8月1日…文系:89.9%/理系:94.3%
・2024年9月1日…文系:93.8%/理系:95.1%
・2024年10月1日…文系:95.2%/理系:97.7%
・2024年12月1日…文系:97.3%/理系:95.5%
参考:就職みらい研究所『就職プロセス調査(2025年卒)「2024年12月1日時点 内定状況」』
理系の内定取得時期が早い理由としては、理系学生のみを対象にした専門職種の採用活動自体が早めに始まる点が挙げられます。これは、企業が専門的な知識を学んでいる、質のよい学生の確実な採用を狙っているためです。
文系学生の多くは、専門的な職種に絞らず、より多くの求人に応募して複数の内定を得てから、最終的な就職先を決める方法で就活を進めています。
こうした文系の就職活動は、企業側にとって、結果的に希望通りの人材がつかまえられないリスクを高める要因です。
そのため、理系を対象に採用する企業では、推薦応募を活用するなどして、内定辞退されずに優秀な学生を確保できるよう早めに採用活動をスタートさせています。
関連記事:就活の内定時期はいつ?早期内定のコツとよくある早期内定例を紹介
文系就職も可能
理系の場合、文系就職が可能である点も、就職で有利といわれる理由の一つです。文系就職とは、理系の学生が総合職や営業企画、マーケティング、人事、経理などの職種に就くことを意味します。
自身が大学で学んだ専門分野を活かせる企業に加え、さらに幅広い就職先・職種を選択できる点では、文系よりも理系の方が有利といえるでしょう。実際に、文系の学生と同じように一般的な総合職として入社し、トップマネージメントを目指す理系も増えてきています。
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4.理系が文系就職する3つのメリット
「理系が文系就職をするのはもったいない」との声もあります。しかし、実際には理系が文系就職して得られるメリットも少なくありません。
ここでは、理系が文系就職するメリットを解説します。
文系学生との差別化が図れる
理系が文系就職するメリットは、文系学生と差別化が図れることです。理系学生が文系の職を目指すこと自体が珍しいため、採用担当者の印象に残りやすいでしょう。
「なぜ専門職ではなく文系就職するのか」「自身の経験や専門知識を具体的にどう活かしたいか」を明確に伝えることで、採用担当者の興味を引きつけ、文系学生との差別化につなげられます。
理系学生の特性が強みになる
理系学生ならではの特性が強みになる点も、理系が文系就職するメリットの一つです。理系学生として、具体的に以下のような点を強みとしてアピールできます。
-
・効率的に物事を考えるのが得意
・論理的思考力がある
・優れた分析力がある
・問題解決力が高い
・PDCAサイクルを回せる
特に、技術の進歩やトレンドの移り変わりのスピードが加速している近年は、専門職以外でも上記のような理系学生の特性が求められています。将来性の高い人材として多くのアピールポイントがある点は、理系学生が文系就職する大きなメリットです。
関連記事:長所一覧を徹底解説!就活でアピールできる強みの探し方や注意点を紹介
専門的な知識を活かして高い評価を得やすい
専門知識を身につけた理系学生は、特定の業界や領域で高い評価を得やすいメリットがあります。たとえば、メーカーやIT企業の場合、総合職や営業職においても、製品や技術に関する専門知識があれば大きなアドバンテージとなるでしょう。
企業の多くは、専門的な知識を活かして業務に貢献できる人材を求めています。そのため、理系の学生は自身の専門知識を活かすことで、文系就職においても高い評価を得られるでしょう。
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5.理系が文系就職する3つのデメリット
理系の文系就職にはメリットがある一方で、少なからずデメリットがあるのも事実です。
ここでは、理系が文系就職するデメリットを解説します。文系就職を検討している理系学生は、後悔しないためにも、しっかりとメリット・デメリットを理解したうえで就活を進めましょう。
卒業研究と就職活動の両立が難しい
理系が文系就職するデメリットは、卒業研究と就職活動の両立が難しい点です。理系学生は、一般的に卒業研究に多くの時間と労力を費やす必要があります。そのため、就職活動に十分な時間を割くのが難しいケースも珍しくありません。
一方で、文系学生は、早くから希望する職種のために勉強したりインターンシップを利用したスキルアップを図ったりするのが比較的容易です。
理系学生が文系就職を検討している場合は、できる限り卒業研究と就職活動を両立できるよう時間の使い方を工夫する必要があるでしょう。
文系就職の情報を得る機会が少ない
理系から文系就職を目指す場合、情報を得る機会が少ないデメリットがあります。文系学生は、同じ職種を目指す仲間が周りに多いため、就職活動に関する情報を共有しやすい環境です。
情報が十分にない場合、筆記試験や面接対策など就活の準備においてデメリットとなる可能性があります。文系就職を目指す理系学生は、「文系学生の中に混じって内定を勝ち取る必要がある」と理解したうえで、自ら積極的に情報を取りに行きましょう。
専門性を直接活かせない可能性がある
理系が文系就職するデメリットとして、専門性を直接活かせない可能性があります。理系学生が文系就職する場合、企業や業界によっては大学で学んだ専門知識や技術を活かす機会が限定されるケースも珍しくありません。
文系の職種や業界では、専門知識よりもほかのスキルや能力が求められる場合もあります。このような場合、専門性を活かせずに自己成長ややりがいを感じにくいかもしれません。
入社後のミスマッチを防ぐためには、事前の企業研究をしっかりとして、求められる業務内容とのマッチングを見極めることが大切です。
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6.理系の文系就職におすすめの業界と職種

ここでは、文系就職を検討している理系学生におすすめの業界と業種を紹介します。
関連記事:理系の学生におすすめの就職先や職種!アピールすべき強みとは?
金融業界
金融業界は、文系就職を検討している理系におすすめの業界の一つです。ひとくちに金融業界といっても、銀行や信託銀行、証券会社、アセットマネジメントなどさまざまな企業・業種があります。金融業界は文系の就職先というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、理系の知識やスキルを活かすことも可能です。
たとえば、金融業界においても近年はビッグデータを活用した新たな施策や商品企画が盛んに行われており、データの収集や分析、統計学などの知識を持つ理系学生は貴重な戦力になるでしょう。
また、膨大な資産や資金を運用・管理する際にも、冷静な判断力や調査をもとに先を見通す力や論理的思考力などが必要です。そのため、採用選考でも理系学生に対する評価は高く、実際に金融業界に就職し活躍している理系出身者も数多くいます。
メーカー
メーカーも、理系出身の学生を営業や企画職として積極的に採用する傾向が強く、文系就職を考える理系におすすめです。専門知識を持つ理系学生であれば、取り扱う製品の技術的な面まで含めて顧客に説明したり、提案をしたりできます。
そのため、商談もスムーズに進められて、企業側からすれば大きなメリットです。また、学生にとっても、自身のスキルや知識を活かせるため、入社後はやりがいを感じながら仕事に取り組めるでしょう。
コンサルタント
理系学生には、コンサルティング会社やシンクタンクにコンサルタントとして文系就職するのもおすすめです。
コンサルタントは、クライアントの現状を分析して課題を抽出し、最適解を導き出す役割を担います。これらは、理系が学生時代に実験や研究で積み重ねてきたプロセスに通じるものがあり、その経験や能力をフルに活かすことが可能です。
コンサルタントとして活躍するためには、ビジネスや経営に関する理解も必要ですが、理系の膨大な文献を読みこなす読解力や論理的思考力、知的好奇心があれば、スムーズに知識を身につけられるでしょう。
このように、理系学生にはコンサルタントとして活躍するための下地が備わっていると考えられます。仕事への適性も高く、入社後は早くから成果を上げられるでしょう。
MR(医薬情報担当者)
MRも理系の文系就職先としておすすめの職種の一つです。MRとは医薬情報担当者のことで、製薬会社の営業として医療機関や薬局を訪問し、自社の製品(医薬品)の情報を提供します。
顧客との信頼関係構築のためのコミュニケーションや、製品を選んでもらうための交渉力が必要なため、一般的にMRには文系出身者が多いと思われがちです。
しかし、こうした能力以外にも、MRには医薬品の品質や有効性、安全性はもちろん、疾患や治療法に関する専門知識が求められます。そのため、生物や化学系の学部や薬学部出身の理系学生を中心に、MRとして多く活躍しています。
関連記事:理系におすすめの職業を一覧で紹介! 自分にぴったりの仕事を見つけよう
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7.理系の文系就職を成功させるポイント

理系学生が文系就職を成功させるには、いくつか大切なポイントがあります。ここでは、押さえておきたい3つのポイントを解説します。
文系就職する理由や目的を明確にする
理系学生が文系就職するには、「なぜ理系の自分が文系職を選ぶのか」を明確にすることが成功への第一歩です。たとえば、「専門性だけでなく幅広い分野に挑戦したい」「理系のスキルを活かして営業戦略に携わりたい」など、自分のキャリアビジョンに基づいた理由を整理しましょう。理由が明確になると、自己PRや志望動機にも一貫性が生まれ、面接官の心に響きやすくなります。
また、理系の視点をどのように文系職に応用できるのかを具体的に示すことが大切です「研究でデータを分析して仮説を立てた経験を、営業での顧客ニーズの分析に活かしたい」など、具体的なエピソードを交えると説得力が増します。
文系就職する理系学生と情報交換する
文系就職を目指す理系学生が身近にいれば、積極的に情報交換しましょう。同じ立場の人と交流することで、志望業界や選考対策に関する有益な情報を得られます。また、すでに文系就職を成功させた先輩がいれば相談してみることもおすすめです。どのような対策を行ったのか、実際の成功例を知ることで、自分が今何をするべきなのかをより明確にすることができます。
現代の就活は、SNSや就活イベントでのつながりを活用しながら情報収集を進めることも可能です。理系ならではの不安や悩みを共有できる仲間がいると精神的な負担も軽減されるため、周りに文系就職を目指す学生がいなければこちらも積極的に活用していきましょう。
理系ならではの強みをアピールする
理系学生が持つ「論理的思考力」「データ分析力」「課題解決能力」といったスキルは、文系職でも強力な武器となります。自己PRでは、これらのスキルを文系職でどのように活かせるのかを具体的に説明しましょう。たとえば、「研究で培ったデータ分析力を使い、市場調査や販売戦略の改善に貢献したい」といった形で、実際の業務をイメージさせるアピールが効果的です。
また、理系特有の「探究心」や「地道に努力を続ける力」、「こだわりの強さ」なども強みとして伝えるべきです。「短期間で成果を出す必要がある仕事でも、分析を積み重ねながら成果を出すことが得意です」とアピールすることで、企業にとって魅力的な人材だと感じてもらいやすくなります。
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8.まとめ
理系と文系で就職率に大差はありませんが、「専門職に就職しやすい」「内定獲得時期が比較的早く就活期間が短い」「文系就職もできて選択肢が広い」など、理系ならではのメリットもあります。
これまで文系が中心だった業種や職種でも、理系ならではの特性に魅力を感じ、近年では理系の文系就職に期待を寄せる企業が増えている印象です。
文系就職を目指す理系学生は、「なぜ文系就職を志望するのか」を明確にするほか、理系ならではの特性をしっかりとアピールすると就活を有利に進められるでしょう。
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