ERPはどういう意味？3つのメリットと関係する職業を解説

• 1. ERPとは
  • ERPの意味
  • ERPと基幹システムとの違いとは
• 2. ERPのメリット・デメリット
  • メリット
  • デメリット
• 3. ERPに関わる職業
  • ERPエンジニア
  • ERPコンサルタント
• 4. まとめ

1. ERPとは

まず、ERPの意味と基幹システムとの違いについて解説します。

ERPの意味

ERPとは、Enterprise Resource Planningの略称であり、直訳すると「企業資源計画」という意味になります。企業が持つ「人・物・金・情報」などの資源を一元管理し、最大限有効活用するための考え方を指します。また現在は、実際に資源を一元管理する（ERPを実現する）業務システム・サービスを指すことがほとんどです。

ERPと基幹システムとの違いとは

基幹システムとは、企業の主要業務を支えるシステム全般を指します。業務ごとに「生産管理システム」「販売管理システム」「会計システム」など、独立したシステムとして構築されます。したがって、ERPと基幹システムとの最大の違いはその「目的」であると言えます。基幹システムは「業務の効率化」を目的とした仕組みである一方、ERPは「経営基盤の強化・資源配分の最適化」を目的にした考え方であるという点が異なります。

2. ERPのメリット・デメリット

次に、ERPのメリットとデメリットについて解説します。

メリット

情報の一元管理が可能

ERPを導入する一つ目のメリットは、システムや部署間で分断されていた情報を一元管理できるようになることです。例えば、何か商品が出荷される場合、関係している在庫管理・販売管理・会計管理などの情報が部門を横断してリアルタイムで更新されます。このような整合性がとれた仕組みが実現することにより、従来は生じやすかった連携の悪さなどを解消することが可能です。具体的には、生産性の向上、ミスの低減、コミュニケーションの円滑化などのメリットが例として挙げられます。

最新情報を元に経営判断が可能

ERPを導入する二つ目のメリットは、一元管理された最新情報を元に経営判断が可能になるということです。近年は特にグローバル化やIT技術の発展などによりビジネス界の変化が激しくなっているため、各企業の経営者は臨機応変な対応を求められる場面が増えています。そこで、ERPを導入し自社のあらゆる資源や各部署の最新情報が一元管理されていることにより、より精度の高い判断を素早く下せるようになります。

内部統制の強化が可能

ERPを導入する三つ目のメリットは、内部統制を強化する上で活躍するということです。「内部統制」とは、企業内において不正・違法行為を防止する目的で一定の基準や手続きなどを設け、組織を管理することを指します。具体的には、申請・承認履歴の保存、各種証憑の確認、勤怠情報の管理などが例として挙げられます。

内部統制は健全な経営環境を築く上で必須の条件ですが、全ての業務プロセスを監視することや、承認・確認作業を増やすことは膨大なコストが発生するというデメリットがあります。その点、ERPの導入はそのデメリットを最小限に抑えながら、内部統制の強化を実現できる最良の選択肢の一つであると言えます。

デメリット

システム選定が困難

国内のみならず海外も様々な企業がERPシステムを提供しているため、価格帯やサービスの種類は多岐に渡ります。その中から自社に適したシステムを選定することは非常に困難な作業です。そもそも何から始めれば良いのかすら分からない、という状況に陥ってしまう可能性があります。時間や労力がかかってでも自社で決めるということもできますが、後述するERPコンサルタントというERP選定のプロフェッショナルに相談しながら決めるという方法も考慮しましょう。

費用が高額であることが多い

上述した通り、ERPは様々な部署を横断して情報を一元管理する規模が大きい部類のシステムです。したがって、導入・保守の費用が非常に高額に設定されています。「パッケージ型ERP」と呼ばれる自社専用のシステムを構築する場合は平均で約3,000万円、「クラウド型ERP」と呼ばれるインターネットのシステムを活用する場合は、平均で約80万円の導入費用が発生します。またクラウド型ERPの場合は、導入費用の約80%にあたるサブスクリプション費用も毎月発生するため、長期的に利用する場合はパッケージ型よりも高額になってしまう可能性もあります。

3. ERPに関わる職業

最後に、ERPに関わる職業を2つご紹介します。なお、年収の情報はレバテックキャリアに掲載されている募集情報を参考にしています。

ERPエンジニア

ERPエンジニアとは、主にクライアントのERPシステムの導入を行う技術職です。ERPは様々な業界に属する企業のあらゆる部署に関わる網羅的なシステムであるため、ERPエンジニアは各業界の基礎知識、クライアントの主要業務への理解に加え、JavaやC#などのプログラミング言語を扱うスキルが求められます。

また、海外のERPを国内の企業に導入する場合、国内独自の業務プロセスに適用させるために追加でパッケージの開発をする場合もあります。したがって、有名なERPシステムの基本的な機能についての基本的な理解も必要です。

ERPエンジニアの平均年収は、約500～600万円です。また、膨大な知識量と経験が求められるため、原則新卒からなることは難しいと言われています。システムエンジニアからのキャリアアップが一般的です。

ERPコンサルタント

ERPコンサルタントとは、クライアントが抱えている課題を分析し、ERPシステムを活用してその解決策を提案する仕事です。ERPエンジニアに求められる知識・スキルに加え、クライアントから的確に情報を引き出すためのコミュニケーション能力や、その情報を元に課題解決に必要なシステムを設計するための高い論理的思考力が必要になります。

ERPコンサルタントの平均年収は、約600～700万円です。ERPエンジニアと同様に、新卒からなることは困難であるため、原則システムエンジニアなど他のエンジニア職を経験してから転職してキャリアアップを目指すことが最も一般的であると言われています。

4. まとめ

ERPとは、企業が最適な資源分配を行うための情報一元管理システムです。システムや部署間で分断されていた情報を一元管理できるようになり、生産性の向上やミスの低減につながります。さらに、ERPによって集約された最新情報から、より精度の高い経営判断を素早く下せるようになる点もメリットです。このようなERPシステムの導入を支援する職業に、ERPエンジニアやERPコンサルタントがあります。

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