ライブラリとは?利用するメリットや注意点をわかりやすく解説

ライブラリとは?利用するメリットや注意点をわかりやすく解説
プログラミングの学習を進めるなかで、「ライブラリとは?」と疑問を持つ方も多いでしょう。ライブラリとは、効率的にプログラミングを行ううえで欠かせないものです。利用すれば、効率的にプログラムを作成できるだけでなく、プログラミングスキルを向上させることも可能です。 この記事では、ライブラリの概要や種類、利用メリットのほか、利用方法や利用時の注意事項についてわかりやすく解説します。ぜひご一読ください。

1. ライブラリとは

まずは、ライブラリの概要について紹介します。

ライブラリの概要

ライブラリとは、プログラムにおいてよく利用される機能を切り出して、再利用しやすいようにまとめたものです。ライブラリの利用により、よく利用する機能を1から作る必要がなくなり、効率的に開発を行うことができます。

ライブラリはプログラム作成のための言わば「部品」です。そのため、それ単体では作動しません。企業や個人など、さまざまな作成者によって作られたライブラリを、GitHubなどの主要なソースコード共有サイトや、各プログラミング言語に用意されたパッケージマネージャなどから選び、構築したアプリケーションに読み込んで利用します。

ライブラリとフレームワークの違い

ライブラリと似た言葉にフレームワークというものが存在します。ライブラリとフレームワークはどちらもプログラミングの助けになるものという点では同じですが、全くの別ものです。ライブラリが「部品」であるのに対して、フレームワークは「骨組み」と捉えるとわかりやすいでしょう。

先述したとおり、ライブラリはプログラムの「部品」で単体では作動しません。自身で作成したアプリケーションに読み込んで利用します。一方、フレームワークとはアプリケーションの「骨組み」を提供するものです。フレームワークという「骨組み」のなかのコードを修正したり、追加したりして利用します。

関連記事:システム開発で利用されるフレームワークとは?学生向けに解説

ライブラリの例

ライブラリとはプログラムを補う「部品」であり、その中身もまたプログラミング言語を使用して書かれたプログラムです。そのため、どの言語にも対応しているというわけではありません。開発に使用するプログラミング言語ごとに適切なライブラリは変わります。
代表的なプログラミング言語別に、利用頻度が高いとされるライブラリを、以下でチェックしておきましょう。

Python

Pythonとは、Webアプリケーション開発やAI、機械学習、データサイエンスなどの幅広い分野で使用される世界的に高い人気を誇るプログラミング言語です。Pythonで利用される頻度の高いライブラリには以下のようなものがあります。

・random…乱数生成の機能を提供するライブラリです。ランダムに何かを表示させる際に使用されます。

・datetime…日付、時間を扱う際に利用されるライブラリです。現時点の日付や時刻を取得したり、過去や未来の日時を表示させたりすることができます。

・math…数学的な計算を行うためのライブラリです。円周率や絶対率のほか、指数関数や対数関数、双曲線関数、ガンマ関数など特殊な関数を使う複雑な計算処理を行う際に役立ちます。

上記はいずれもPythonの標準ライブラリです。標準ライブラリとは、Python本体に同梱されており、別途インストールする必要のないライブラリのこと。Pythonには、ほかにもjson、pip、pandas、Pillow、sysといった数多くの標準ライブラリがあります。また、外部ライブラリ(インストールが必要なライブラリ)にも開発に役立つものが豊富にあるので、チェックしてみると良いでしょう。

Pythonについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。Pythonとはそもそもどんな言語なのか知りたいという方は、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:Pythonでできることとは?概要や学習方法を徹底解説

Java

Javaとは、高い汎用性を持ち、業務系システムやWebアプリケーション、Androidアプリ開発などに使用されるプログラミング言語です。Javaで利用されることが多いライブラリには以下のようなものがあります。

・JavaFX…GUIアプリケーションを作成する際に便利なライブラリです。GUIとは、Graphical User Interfaceの略語で、コンピュータへの指示をユーザーが画面上で視覚的に捉え、行動を指定できるもののことを指します。JavaFXを利用すれば、Webデザインのような感覚で、FXML・CSSを使用し、UIコンポーネントの配置やデザインのカスタマイズが可能です。

・OpenCV…インテルが開発し、オープンソースとして公開しているライブラリです。画像・動画に関する処理や画像解析、機械学習を行うことができます。

・JavaParser…ソースコードを構文解析するライブラリで、コードを抽象構文木に変換してくれます。解析結果の抽象構文木に、追加・削除したり、ソースコードに変換したりすることも可能です。

Javaの代表的なライブラリ例を紹介しましたが、上記以外にも多くのライブラリが存在します。Javaを使用した開発を効率的に行えるように、用途に合うライブラリを押さえておくと良いでしょう。

また、Javaの特徴やできることについては、下記の記事で紹介しています。Javaとは一体どのような言語なのかを知りたい方は、ぜひご参照ください。

関連記事:学生向け|Javaとは?就職で役立つ特徴や活用事例をチェック

JavScript

JavaScriptとは、主に動的なWebページを作成するために使用されるプログラミング言語です。汎用性が高く、Webサイトだけでなくアプリ開発も行えるほか、手軽に素早く開発を行えるという特徴があります。JavaScriptでの開発において利用頻度が高いライブラリは以下のとおりです。

・jQuery…JavaScriptでできることを、よりシンプルな記法で実現できるように設計されたライブラリです。CSSやHTMLの操作に関するコードが多く含まれているため、動的な表現も短いコードで実装することができます。

・React…Meta社が開発しオープンソースとして公開しているUIパーツを構築するためのライブラリです。UI・UXの設計と同様のイメージでWebサイト上のボタンやテキストなどを組み立てることができます。

・Node.js…非同期型の処理が可能なサーバー通信専用のライブラリです。Node.jsを利用することで、JavaScriptでサーバー処理の制御に関するすべてのプログラミングができます。少ないメモリ消費で、大量のアクセスを捌けるという特徴があり、リアルタイム性の高いWebサービスの構築に最適です。

上記以外にも、人気が高いJavaScriptのライブラリとして、Riot.jsやSocket.IOなどが挙げられます。

ライブラリの利用により、効率的な開発が可能になることは前述したとおり。初心者であれば、ライブラリのソースコードを読むことで、プログラミング言語そのものへの理解を深め、多くを学ぶこともできるでしょう。「難しそう」と尻込みせずに、気になるものは積極的に利用してみることをおすすめします。

2. ライブラリの種類とは

ライブラリは、その利用形態によっていくつかの種類に分類できます。ここでは、ライブラリの主な種類について確認しておきましょう。

動的リンクライブラリ(DLL)

動的リンクライブラリとは、プログラムの実行時にライブラリを読み込み、利用するライブラリのことです。プログラム本体とライブラリは別々のファイルに分かれており、利用時にリンクさせます。

ライブラリを動的リンクさせる場合、プログラムの利用者は実行時に別途ライブラリファイルを用意する必要がありますが、プログラム本体のサイズを小さくできる点がメリットです。

静的リンクライブラリ

静的リンクライブラリとは、プログラムのコンパイル時にライブラリを結合するライブラリの利用形式のことです。プログラムとライブラリは一つのファイルとして提供されます。

ライブラリを静的リンクさせる場合、プログラム本体のサイズは大きくなりますが、別途ライブラリファイルを必要としないため、利用者側は手軽に実行できるというメリットがあります。

共有ライブラリ

共有ライブラリとは、主にLinuxやUNIXで利用されるもので、メモリ上に保有され、複数のプログラムから読みだされるライブラリのことです。特に汎用的な機能を持ち、さまざまな種類のアプリケーションから読みだされるライブラリについては、共有ライブラリ形式で利用するメリットがあります。

共有ライブラリは、性質上、動的リンクライブラリとして提供されます。しかし、動的リンクライブラリのなかには、特定のプログラムとしか連結しないものもあるため、動的リンクライブラリ=共有ライブラリというわけではありません。
また、共有ライブラリと対比する言葉として、単一のプログラムから読み出されるライブラリを指す専用ライブラリがあります。

3. ライブラリを利用するメリットとは

ここでは、ライブラリを利用するメリットについて解説します。

プログラムの生産性向上

ライブラリを利用するメリットとして、プログラムの生産性向上が挙げられます。既存のライブラリを利用すれば、新たに作成するコード量を減らせるだけでなく、プログラムの動作確認においても、ライブラリの処理部分はテストの省略が可能です。そのため、作業工数の大幅な削減に繋がり、効率よく開発を行うことができます。

プログラムの品質向上

プログラムの品質が向上する点も、ライブラリを利用するメリットの一つです。一般的に、ライブラリは多数のアプリケーションで利用されるなかで、バグの修正が行われています。そのため、ライブラリを利用すれば、スクラッチで同等の機能を構築するよりも手間を掛けることなく品質の高いアプリケーションが作成可能です。

ただし、特に個人が作成しているようなライブラリの場合は、バグが放置されていることも少なくありません。ライブラリを利用する際には更新履歴をチェックし、開発が活発に行われているか確認すると良いでしょう。

プログラム配布時のサイズ圧縮

プログラム配布時のサイズを圧縮できることもライブラリを利用するメリットとして挙げられるでしょう。特に動的リンクライブラリを利用すれば、プログラムを配布する際にライブラリを外出しにすることができるので、プログラム単体のファイルサイズを小さくすることができます。

過去、インターネットの接続速度が低速であった時代には、プログラムのファイルサイズ圧縮は重要な技術でしたが、高速通信が可能になった現代、その重要性は下がりつつあります。それでも、モバイル環境下での通信においては依然として通信量の圧縮は重要なポイントです。ファイルサイズ圧縮の技術は身に付けておいて損はないでしょう。

4. ライブラリの利用方法とは

ここでは、ライブラリの利用方法について解説します。

ライブラリを選定する

ライブラリを利用する際にまず初めにすることは、ライブラリ探しです。現状では、数多く存在するライブラリを網羅的にまとめた「まとめサイト」のようなものはありません。大半は、個人や企業単位で配布されており、その中から開発に適した最適なライブラリを探し出す必要があります。

また、前述のとおり、どのプログラミング言語にも対応する万能なライブラリはないため、プログラムに使用する言語によって最適なライブラリが変わるという点にも留意して選びましょう。

マニュアルを読み動作確認をしてライブラリを読み込む

ライブラリの選定後にするべきことは、マニュアルの確認です。基本的に、ライブラリには利用するためのマニュアルが搭載されています。ライブラリを実際に組み込む前に、マニュアルを読み、動作の確認を行いましょう。動作させて初めて見えてくることもあるので、まずは最低限の実行環境で動作確認を行うのがおすすめです。もしも使いにくかったり、ほかにより適したライブラリが見つかったりした場合は、この段階で切り替えを検討するのも良いでしょう。動作確認が完了し、問題ないようであれば、実際にライブラリをプログラムに組み込み、利用します。

5. ライブラリを利用する際の注意点とは

最後に、ライブラリ利用時の注意事項について解説します。

品質が担保されたライブラリを利用する

ライブラリは誰でも作成し、公開・配布できるため、その品質は必ずしも担保されていません。ライブラリ中にバグがあったり、セキュリティ上の脆弱性が放置されていたりすることもあります。

多数の利用実績があるものや、評判が良いものなど、ライブラリの品質を確認したうえで利用することが大切です。また、上述のとおり、あまり更新されていないようなライブラリの利用には注意する必要があります。

ライセンス違反をしないように注意する

基本的に、ライブラリにはライセンスが付与されています。ライブラリに設定されているライセンスにより、商用利用に制限があったり、再配布を禁じていたりする場合もあるため、特に外部公開するアプリケーションを開発する際には、ライブラリのライセンスをよく確認することが大切です。

また、オープンソースのライブラリを利用する場合には、コピーレフトの有無についても確認しましょう。コピーレフトとは、「このライブラリを利用して開発したソフトウェアは、そのライブラリと同じ条件でソースコードを公開する必要がある」というものです。コピーレフトのライブラリを利用する場合、ソースコードの公開という強い制約がかかるため注意が必要です。

ライブラリのバージョンを確認する

ライブラリは作成者により日々アップデートが行われているため、使用するライブラリのバージョンを確認したうえで利用することが大切です。
ライブラリを利用する際には、できるだけ最新のバージョンのものを利用するべきですが、新しいバージョンには潜在的なバグがあったり、ほかのライブラリとの相性が悪かったりする可能性もあります。安定的に利用できるバージョンを選択すると良いでしょう。

また、プログラミング言語やOSのバージョンなど、ライブラリを利用する環境により利用できるライブラリのバージョンに制約がある場合も少なくありません。そのため、ライブラリを利用する前には、ライブラリの利用条件についてもしっかりと確認する必要があります。

6. まとめ

ライブラリとは、プログラムにおいてよく利用される機能を切り出して、再利用しやすいようにまとめたもののことです。ライブラリを利用することで、頻繁に利用する機能を1から作る必要がなくなり、効率的に開発を行うことができます。
ITエンジニアとして働くうえでは、ライブラリの使い方は必須の知識です。就職後、効率的に開発を行えるように、学生のうちからライブラリの利用に慣れておくことをおすすめします。

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