組み込みエンジニアに新卒で就職するには?仕事内容や年収も紹介
- 1. 組み込みシステムとは
- 2. 組み込みエンジニアとは
- 3. 新卒で組み込みエンジニアになるには
- 4. 組み込みエンジニアに向いている人
- 5. 組み込みエンジニアに向いていない人
- 6. 組み込みエンジニアになるための勉強法
- 7. まとめ
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1. 組み込みシステムとは
はじめに、組み込みシステムとIoT(Internet of Things)、IoTとの親和性の高いAIについて説明します。
組み込みシステムについて
組み込みシステムとは、機械や装置に搭載するコンピュータシステムを指します。他のシステムが汎用的なのに比べ、特定の機能を実現することに特化しているのが特徴です。
組み込みシステムを利用した製品には、デジタル家電、医療用機器、および制御系機器などがあります。DVDレコーダーの自動録画機能やエアコンの自動温度調節などが身近な機能例です。
IoTについて
IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」と訳されます。家電などの製品をインターネットに接続することで、生活や仕事をより便利で豊かにする機能です。
IoT技術が登場するまでは、搭載機器を制御することだけを考えてシステムを設計していました。しかし、IoTの出現で、機器とインターネットを接続し、データ連携などを実現する設計が求められるようになったのです。そのため、組み込みエンジニアにはIoTの知識も必要になりました。
AIについて
AIとは、Artificial(アーティフィシャル)、Intelligence(インテリジェンス)の頭文字を取った略語です。人工的な知能という意味を持っていますが、AIには明確な定義はなく、とらえ方は時代や研究者により異なります。
共通するのは、AIが人間のような情報処理を実現するソフトウェア・プログラムであることです。
AIには単純な制御プログラムであるマイコン制御の家電製品などを指すレベル1から、ディープラーニングを取り入れたレベル4まであるといわれています。
AIの技術はIoTと非常に親和性が高く、組み合わせることでさらなる価値を発揮できると言われています。
たとえば、製造業において電子機器や装置にセンサーとAIを組み込んで稼働データを常時監視し、機器の故障を自動で検知する、といった使い方がされています。
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2. 組み込みエンジニアとは
組み込みエンジニアとは、デジタル家電、自動車、および制御機器などの製品に組み込むソフトウェアを開発する職種です。ここでは、組み込みエンジニアの仕事内容や年収、キャリアパス(企業が想定する社員の道筋)などについて説明します。
組み込みエンジニアの仕事内容
基本的には他のITエンジニアと似ている部分が多く、ソフトウェア開発における要件定義から基本設計、詳細設計、開発、テストなどを行います。主な違いは、ハードウェアを使用する点です。ハードウェアの仕様に合わせたソフトウェアの設計・開発、ハードウェアと連結させた上での結合テストなどの業務が発生します。
新卒のうちは、仕様書に沿ったテストの実施や軽微なバグの修正など、比較的簡単な業務からスタートすることが多いと考えられます。経験を積むにつれて、要件定義や設計などの上流工程を任されるようになるでしょう。
組み込みエンジニアの年収
厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、全国の組み込みエンジニアの平均年収は523万円です(2023年1月23日参照)。また、新卒の組み込みエンジニアの年収は、約300~400万円が目安となります。
組み込みエンジニアのキャリアパス
新卒での入社後は他のITエンジニアと同様、プログラマーからキャリアをスタートさせるのが一般的です。テストや軽微なバグ修正などの作業を通じて、技術力と現場経験を身につけていきます。
その人自身のスキルにもよりますが、3年目~5年目になると要件定義や設計といった上流工程を任されることになります。
さらに経験を積むと、マネージャーのような管理職、または技術スペシャリストのような専門職の道に分かれることが多いようです。自分のスキルに合ったキャリアパスを選ぶと良いでしょう。
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組み込みエンジニアの将来性
組み込みエンジニアは、需要が高まる一方で、人材の数がそれほど多くないため、将来性のある職種だといえるでしょう。
組み込み開発を進めるにあたって、複数のスレッドを並行して動作させられるOS(RTOS)や、電子回路などハードウェアの知識が求められます。
また、習得が難しいといわれているC言語が使われているため難易度が高いことから、組み込みエンジニアは比較的人材が少なく、希少性が高まっている傾向にあります。
その一方で、IoTは今後さらに社会に普及していくと推測されており、組み込み開発の需要も高まると考えられます。
社会的なニーズの高まりにより、組み込みエンジニアの将来性は明るいと言えそうです。
組み込みエンジニアが活躍する業界
組み込みエンジニアの活躍分野は多岐にわたります。ここからは、組み込みエンジニアが活躍する業界を3つ見ていきましょう。
家電業界
組み込みエンジニアの仕事として特にイメージしやすい分野は、家電業界でしょう。
家電業界での組み込みエンジニアは、洗濯機や冷蔵庫、AV機器などの身近な家電や、カーナビを含む車載機器などを制御するシステムを開発します。
消費者にとって身近な製品をインターネットとつなげるIoT技術により、遠隔操作や家電同士の連携などが可能になります。また、センサーを活用して機器を自動で制御することも可能です。
情報・通信機業界
情報・通信機業界の組み込みエンジニアは、インターネットに接続する携帯電話やルーターなどの通信機器の高速化を図ります。5Gの通信規格高速化につながるシステムを開発するのも特徴です。安定した通信を実現するための信頼性が求められるでしょう。
産業機械業界
産業機械業界での組み込みエンジニアの主な仕事は、産業機器や工作機械、ロボットを制御するシステムを開発すること。
家電や自動車など身近なものからロケットまで、あらゆる製品は工作機械で作られており、近年ではスマホの需要拡大により勢いを増しています。製品の品質を保ちつつ安定化を図るため、汎用性と堅牢性の高さが求められるのがポイントです。
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3. 新卒で組み込みエンジニアになるには
ここでは、企業が求める入社時のスキルや、新卒で組み込みエンジニアになるための戦略を紹介します。
入社時に求められるスキル
一般社団法人「組込みシステム技術協会(JASA)」が、組み込みシステムの開発業者にアンケートした「新卒社員に求める技術知識と人物像」の調査結果から、入社時に求められるスキルを紹介します。
以下のスキルすべてを習得する必要はありませんが、就活を有利に進めるためにも、可能な限り学生のうちに習得しておくと良いでしょう。
言語スキル
企業が新卒社員に求めるプログラミング言語のスキルで、最も重要な言語はC言語です。「必要なスキル」と回答した企業が約60%、「習得していればプラス」と回答した企業が約38%となり、合わせて約98%の企業が入社時にC言語を習得していることを求めています。
保有資格
企業が新卒社員に求める資格で、最も有用とされるのは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「基本情報技術者試験」です。「必要な資格」と回答した企業が約20%、「習得していればプラス」と回答した企業が約75%となり、合わせて約95%の企業が入社時にこの資格を求めています。
ハードウェア知識
企業が新卒社員に最も求めるハードウェア知識は、「回路図が読める」ことです。「必要な知識」と回答した企業が約25%、「知っていればプラス」と回答した企業が約65%となり、合わせて約90%の企業が入社時に「回路図が読める」知識を求めています。
組み込みエンジニアになるための戦略
求められるスキル全てを習得することが難しい場合、まずは「基本情報技術者試験」の資格を取得することをおすすめします。多くの企業が「取得しているとプラス」としている資格のため、就活時のアピールにつながるでしょう。試験勉強をすることで幅広い知識が身に付くため、就職後のスキルアップにも役立ちます。
また、組み込みソフトウェアはC言語で書かれていることが多いため、C言語のプログラミングは経験しておくと良いでしょう。学習方法は、本・Webサイトの活用や、プログラミングスクールの利用などさまざまです。独学では難しいという人は、基礎から丁寧に教えてもらえるプログラミングスクールへ通うことをおすすめします。
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4. 組み込みエンジニアに向いている人
組み込みエンジニアの仕事には難しい面もあるため、人によって向き・不向きがあります。ここからは、組み込みエンジニアに向いている人の特徴を3つ紹介します。
モノ作りが好きな人
組み込みエンジニアは、設計したシステムでモノを動かす仕事です。そのため、小さなころからプラモデル作りや工作が好きな人や、モノがどのように作られて動いているのか興味がある人、ものづくりが好きな人に向いています。
また、組み込み開発では、ハードウェアを動作させるためのソフトウェアの開発を行うため、電子回路やマイコンなどの知識が求められます。
そのため、ソフトウェアだけではなく、ハードウェアにも興味がある人に向くでしょう。
IoTの分野で働きたい人
家電業界では、IoTの技術を取り入れた商品が次々と誕生しています。そのため、組み込みエンジニアはIoTの分野や新しい技術に携わりたい人に向いているでしょう。
また、発想力のある人にも適しています。新しいモノを生み出す際には、ひらめきや気付きを得たり、分かりやすいシンプルなプログラムを書いたりするセンスが必要なためです。
協調性がある人
組み込みエンジニアは、プロジェクトメンバーやクライアントなど他者とコミュニケーションを取る機会が多い仕事です。円滑なコミュニケーションが取れる人や協調性のある人が向いています。
また、エンジニアは日々進歩するIT技術に遅れないため、継続的な学習とスキルアップが必要です。上司や先輩、同僚らのアドバイス・意見を素直に受け入れられる人は適性があります。
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5. 組み込みエンジニアに向いていない人
組み込みエンジニアに向いていない人の特徴は以下のとおりです。
地道な作業が苦手な人
組み込みエンジニアが担当する作業は、ハードウェアからソフトウェアまで幅広いのが特徴。地道な作業を求められることも多くあります。
コツコツとこなす作業には、忍耐と集中力が求められます。地道な作業が苦手な人は、組み込みエンジニアに向いていないでしょう。
論理的思考が苦手な人
論理的思考は目的達成に向けて筋道の通った手順を組み立てる思考法です。プログラミングは、目的の動作を行うために様々な要素や計算結果を論理的に組み立てる必要があるため、プログラミングを書くそして読む際も論理的思考が必要です。論理的思考が苦手な人は、プログラミング自体が理解できない、エラーの原因を突き止められない可能性があるため、組み込みエンジニアに向いていないでしょう。
ただし、論理的思考はプログラミング学習を通じて、習得することが可能です。学習初期段階は苦労するかもしれませんが、プログラミングの上達に比例して論理的思考が身に付きます。
関連記事:ロジカルシンキングとは?身につけるメリットや鍛え方を簡単に解説
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6. 組み込みエンジニアになるための勉強法
組み込みエンジニアになるためには、ハードウェアやソフトウェアの知識だけではなく、習得が難しいと言われるC言語の知識が必要です。ここからは、組み込みエンジニアになるための勉強法を4つ紹介します。
書籍を活用する
書籍を利用することは、独学でプログラミングを学ぶ最も手軽な方法です。
プログラミング関連の書籍には、体系的に情報がまとめられているため、プログラミングに関する知識を網羅的に理解することができます。本に掲載されている情報はインターネット上の情報よりも信頼度が高いため、より確実な情報に基づいて学習できます。
また、書籍ごとにテーマが絞られているため、特定の分野に特化した知識を得ることが可能です。読者のプログラミングスキルに応じてレベル分けされた書籍もあるため、自分のペースに合わせて初心者向けから徐々にステップアップすることもできます。
ただし、デメリットとして、書籍を読んで理解できないことがあった場合に、誰にも相談できず挫折しやすいことが挙げられます。一緒に勉強できる仲間を見つけたり、teratailなどのWebの質問サイトを活用したりして、疑問を解消できるようにしておくことがおすすめです。
プログラミング学習サイトを活用する
プログラミングのスキルが身につくまでには時間がかかったり、思った通りの成果が出なかったりします。スクールに通う時間や予算がない場合は、プログラミング学習サイトの利用がおすすめです。
学習サイトのメリットは、組み込みエンジニアに必要なC言語やPython、Javaなどのプログラミング言語をコードを書きながら学べること。無料で利用できるサイトもあるので、チェックしてみることをおすすめします。
マイコンを活用する
実際にプログラムを書き、マイコンを動作させるのも良い勉強方法です。マイコンとは、マイクロコントローラ(Microcontroller)の略語で、1つのICチップにコンピュータの基本的な機能を搭載した電子部品のことです。
マイコンメーカーは、初心者向けのマイコン入門セットも販売しています。ただし、そうした製品の活用にあたっては、プログラム言語の知識やツールが揃っていることが前提となるでしょう。
プログラミングスクールに通う
具体的にどのような勉強をしたら良いか分からない、独学で学んでみたけど挫折してしまったという方には、プログラミングスクールでの学習がおすすめです。プログラミングスクールでは、サポート体制が充実しているだけでなく、同じ目標をもつ仲間がいるため、挫折しにくくなります。
通学が難しい方は、通信制コースがあるスクールを選ぶと良いでしょう。
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7. まとめ
組み込みエンジニアは専門性が高いことから、「理系学生にしかなれない」というイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、IoTの普及で組み込みシステムの需要が高まっている今、文系や未経験の学生も組み込みエンジニアになれる可能性はあると考えられます。
組み込みエンジニアとしての就職を検討中の学生は、仕事内容やキャリアパスを正しく理解し、本当に自分がなりたい職種なのか判断することが重要です。
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