セールスエンジニアとはどんな職種？仕事内容・必要スキルと就活のポイント

• 1.セールスエンジニアとは？
• 2.セールスエンジニアの仕事内容
• 3.セールスエンジニアと営業職の違い
• 4.セールスエンジニアの年収・初任給
• 5.セールスエンジニアの将来性
• 6.セールスエンジニアに求められるスキル・資格
• 7.セールスエンジニアのキャリアパス
• 8.セールスエンジニアに未経験から新卒入社するポイント
• 9.まとめ

1.セールスエンジニアとは？

セールスエンジニアとは、技術職としての知識・スキルを活用しながら、IT企業の営業職をサポートする職種です。クライアント企業を訪問する営業職に同行し、自社製品についてデモ実演したり技術的な質問に答えたりすることで、エンジニアの立場から説明・提案を行います。

エンジニアとしての知識や経験をもとにクライアント企業に対応するため、技術的な質問にも素早く答えられるほか、実現不可能な納期や仕様を求められて開発チームに負担をかけることも少なくなります。クライアント企業からの信頼も得やすく、業績アップを目指すIT企業からは重宝される存在となっています。

2.セールスエンジニアの仕事内容

セールスエンジニアが担当する仕事内容には、クライアント企業に依頼されるプロジェクトの進行段階に応じて、次の3つの業務が含まれます。
 

• ・自社製品の技術的な説明・提案

  ・成約後の営業部門・技術部門との連携

  ・納品後の技術的なフォロー

それぞれ順番にご紹介しましょう。

自社製品の技術的な説明・提案

クライアント企業に自社製品を購入・契約してもらう段階では、セールスエンジニアは自社製品についての技術的な説明・提案を担当します。営業担当者だけでは回答できない質問に対応するほか、技術的な視点からクライアント企業へのヒアリングを行い、求める要件や希望についても深掘りするのが役割です。

細かな契約締結については営業職が担当することが多く、セールスエンジニアはデモ実演などを活用しながら商品説明についてのフォローを行います。営業職だけでは判断しにくい、納期設定や仕様の要望などに関しても、自社で対応できるかどうかを判断しながら回答します。

成約後の営業部門・技術部門との連携

自社製品の成約後には、営業部門・技術部門の双方に位置する存在として、橋渡し役として立ち回るのもセールスエンジニアの業務です。商談成立後にクライアントから追加の要望があった際にも対応を担当したり、技術部門から質問・相談があった時に対応したりするのもセールスエンジニアの役割です。商談が成立したら終わりではなく、システムの開発中にもセールスエンジニアとしての仕事は多く発生するのです。

納品後の技術的なフォロー

開発したシステムやITサービスの納品後には、クライアント企業からの導入後の質問や相談に対応し、技術的な側面からのアフターフォローを行います。不具合やトラブルへの対処や使用方法についての問い合わせなども担当し、納品したシステムがスムーズに使えるようにサポートするのが役割です。

納品後のアフターフォローが手薄になってしまうと、業界での信頼性が下がり企業としての業績低下にもつながってしまうため、セールスエンジニアとして特に責任が大きな業務でもあります。

3.セールスエンジニアと営業職の違い

セールスエンジニアは一般的な営業職と仕事内容が似ていますが、求められる役割にはいくつかの違いがあります。

大きな区別としては、企業の看板を背負って顧客の新規開拓と関係性の構築を目指すのが営業職の仕事、そして営業職の補佐として技術的な説明・提案を行いつつ、導入後のアフターフォローも担当して顧客との長期的な関係性を築くのがセールスエンジニアの仕事です。

逆に言えば、セールスエンジニアが顧客の新規開拓を担当することは少なく、営業職が商品導入後のアフターフォローを担当することは少ないです。どちらも自社製品の成約を目指し、自社の売上アップに貢献するという同じ目的を持っています。

4.セールスエンジニアの年収・初任給

セールスエンジニアは技術職・営業職のどちらのスキルも必要となる職種であることから、IT系エンジニアの平均年収よりもやや高めに設定されることが多いです。多くの求人では500万円〜800万円前後の想定年収が設けられていることが多く、一人ひとりのスキルレベルに合わせて年収は変動します。歩合制を導入している企業の場合には、成約件数に応じたインセンティブも得られるでしょう。

セールスエンジニアは専門的なスキルが求められるため、新卒採用を行っている企業はあまり多くありませんが、初年度の年収は300万円〜400万円ほどが目安になるでしょう。入社後数年間は、営業職もしくはシステムエンジニアとしての採用になるケースも考えられます。

5.セールスエンジニアの将来性

どの業界・いつの時代であっても営業職は欠かせない存在であり、セールスエンジニアは技術職の側面も持った専門性の高い職種です。そのため将来性も明るく、営業・技術両面で豊富なスキルと経験をアピールできれば、どの企業からも高く評価されやすくなるでしょう。

また、クライアント企業へのシステム導入の説明・提案だけでなく、自分自身でも開発を担当できるセールスエンジニアは、起業・独立してフリーランスとしても働きやすい職種です。将来は起業して自分の会社を立ち上げたり、フリーランスエンジニアとして自由な働き方を実現したいと考えている方は、セールスエンジニアを目指してキャリアプランを描くのもおすすめです。

6.セールスエンジニアに求められるスキル・資格

セールスエンジニアとして採用されるためには、次のような幅広いスキル・資格を習得しておく必要があります。
 

• ・自社製品やITに関する豊富な知識

  ・プレゼンスキル・ヒアリングスキル

  ・ITパスポート試験・基本情報技術者試験

それぞれ詳しく解説します。

自社製品やITに関する豊富な知識

セールスエンジニアは技術職としての側面も求められるため、自社製品についての深い理解やITに関する豊富な知識が必要となります。自社製品の特徴や性質を理解し、どのようなクライアント企業に適しているのか、競合他社と比べた時の強みはどこにあるのかを分析し、提案の際に効果的にアピールするスキルが求められます。これまでの導入事例を伝えたり、デモ実演するための準備を整えておくことも大切です。

また、IT業界の専門用語をわかりやすく言い換えて伝えたり、クライアント企業からの技術的な質問にスムーズに答えたりできるように、システム開発・Web・インフラ・通信技術などの幅広いジャンルのIT知識を身につけておくことも欠かせません。

プレゼンスキル・ヒアリングスキル

セールスエンジニアの営業職としての側面をアピールするためには、高いプレゼンスキル・ヒアリングスキルを持った人材であることを伝えると良いでしょう。セールスエンジニアは、クライアント企業が自社製品を購入・導入したいと思わせられる対応が求められるため、クライアント企業がどんな課題・悩みを持っているのかを深掘りし、自社製品の導入後にはどのような未来が得られるのかを効果的に伝えることが重要です。

そのため学生時代に人前でプレゼンした経験や、接客業のアルバイトでお客様対応してきた経験をアピールできると、セールスエンジニアとしてポテンシャル採用されるチャンスが高まるでしょう。

ITパスポート試験・基本情報技術者試験

セールスエンジニアとして必須の資格・免許などは多くありませんが、IT業界への高い志望度を示し、自社製品や専門技術をスムーズに学習する土台があることを伝えるためにも、「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」などの資格を取得しておくのがおすすめです。

いずれもIT業界を目指す方向けの基礎的な資格として位置付けられており、難易度は低めで実務経験がなくても取得しやすいので、就活と並行して資格取得のための勉強に取り組むと良いでしょう。入社後のキャリアアップのためには、「応用情報技術者試験」「ITストラテジスト試験」などの資格取得を目指すのもおすすめです。

7.セールスエンジニアのキャリアパス

一般にセールスエンジニアになるためには、営業職からセールスエンジニア、もしくはエンジニア職からセールスエンジニアを目指すことが多いです。まずは営業経験を積み、社内研修や資格取得によって技術的なスキルも身につけてセールスエンジニアになる、もしくは現場での開発経験を積んだエンジニアのプレゼンスキル・ヒアリングスキルが評価されて、セールスエンジニアに配置換えとなることが多いです。

では、セールスエンジニアとして経験を積んだ後は、どのようなキャリアパスを選ぶことができるのでしょうか。
 

• ・システムエンジニア（SE）・プログラマー

  ・セールスマネージャー

  ・ITコンサルタント

ここでは上記3つのキャリアパスについてそれぞれ解説します。

システムエンジニア（SE）・プログラマー

セールスエンジニアの技術職としての側面を磨くことで、システムエンジニア（SE）やプログラマーへのジョブチェンジを目指す道があります。システムエンジニアとは、クライアント企業とのやり取りを担当しながら仕様書・設計書を作成し、開発プロジェクト全体の管理・マネジメントを行いながら、開発チームと連携してシステム開発を行う職種です。セールスエンジニアの営業職としての役割を減らし、技術職の役割を増やしたイメージを持つとわかりやすいでしょう。

一方のプログラマーは、クライアント企業とのやり取りは少なく、現場での開発業務に専念する職種です。セールスエンジニアとして働く中で、より現場での開発に携わりたいという意欲が出てきた場合には、プログラマーとしての採用を目指すのも良いでしょう。ベンチャー企業など少人数で開発を手掛けている場合には、システムエンジニアがプログラマーを兼任していることもあります。

セールスマネージャー

セールスマネージャーは、セールスエンジニアチームの管理職として、チーム全体のマネジメントを行う職種です。セールスエンジニアとしての経験を積んだ後にステップアップすることが多く、より俯瞰的な立場からチーム一人ひとりの成績向上を支援し、社員の教育・研修なども担当します。

セールスエンジニアは自分自身の成績アップを目指す立場ですが、セールスマネージャーはチーム全体の成績アップを目指す必要があります。リーダーシップやマネジメントスキルが求められて大きな責任を伴う分、高年収・好待遇が期待できる職種ですが、セールスエンジニアとして直接クライアント企業と接する機会は少なくなるため、顧客に喜んでもらえるやりがいや感謝される充実感を求める方には不向きかもしれません。

ITコンサルタント

ITコンサルタントとは、セールスエンジニアの営業職としての側面を強め、経営戦略やITを活用したビジネスモデルの提案なども手掛ける職種です。ITを使った課題解決だけではなく、クライアント企業の事業経営により深く介入したいと考える方に適した職種です。

クライアント企業の業績を伸ばすためにITの専門家の立場からコンサルティング・アドバイスを行い、経営戦略を決めるパートナーとして活躍します。クライアント企業の業績に直接貢献することが求められるため、セールスエンジニア以上に実力主義で成果が重視される職種ですが、起業・独立して年収1,000万円以上を目指すことも可能になります。

8.セールスエンジニアに未経験から新卒入社するポイント

最後に、未経験からセールスエンジニアに新卒入社するためのポイントについてもご紹介しましょう。
 

• ・まずは営業職・エンジニア職を目指す

  ・アルバイト・インターン経験を積む

  ・セールスエンジニアに役立つ資格・スキルをアピールする

上から順番に解説していきます。

まずは営業職・エンジニア職を目指す

セールスエンジニアの新卒採用を行っている企業は少なく、未経験からセールスエンジニアを目指すのはハードルが高いため、まずはIT企業の営業職・エンジニア職を目指すのがおすすめです。その企業の中途採用でセールスエンジニアを募集しており、セールスエンジニアが求められている職場を選ぶことで、将来はセールスエンジニアの仕事を任せてもらえる可能性もアップします。

また、セールスエンジニアを目指してシステムエンジニアやプログラマーとして入社したが、実際に開発業務を経験してみるとセールスエンジニアよりも現場での開発業務を続けたい、と考えが変わるケースもあります。自分自身の適性や理想の働き方を見極めるためにも、まずは一度IT企業の営業職やエンジニア職を経験しておくのもおすすめです。

アルバイト・インターン経験を積む

セールスエンジニアとして採用されるためには、アルバイト・インターンで少しでも実務経験が豊富な学生のほうが有利になります。アルバイトとしてIT企業のテスター・デバッガーの仕事を経験している方や、インターンとしてIT企業の営業職を経験している方であれば、セールスエンジニアの新卒採用でも内定をもらえる可能性がアップします。

セールスエンジニアではコミュニケーション力が重視されやすいため、接客業でのアルバイト経験なども評価されやすいでしょう。ただしIT企業でのインターンに参加する際には、職業体験的な意味合いが強い短期インターンではなく、実務経験に携わる長期インターンでなければ選考ではプラスに働きにくいため注意しましょう。

セールスエンジニアに役立つ資格・スキルをアピールする

セールスエンジニアとして内定を獲得するためには、セールスエンジニアに求められるスキルや入社後の業務内容を理解していることを示すためにも、本記事で挙げた必要スキル・資格を積極的にアピールするのも効果的です。どの企業に応募する場合にも、職種への理解や事業内容への理解が深く、徹底した企業研究に取り組んだ様子が伝わる学生は、好印象を抱かれやすくなります。

エントリー先の企業の製品をリサーチして、「自分がセールスエンジニアだったら、どのような企業にどう提案するか？」というシミュレーションを重ね、面接やエントリーシートでアピールしてみるのも良いでしょう。未経験からセールスエンジニアの新卒募集に受かるのは狭き門ですが、こうしたアピールでライバルの学生との差別化ができると、採用されるチャンスが大きく高まるでしょう。

9.まとめ

セールスエンジニアは、IT企業の営業職・技術職の両方の側面を持った職種で、営業職に同行して技術的な説明・提案を手掛けるのが主な仕事です。自社製品や競合製品、IT知識全般について理解を深め、クライアント企業からの相談や質問にもスムーズに対応できると、セールスエンジニアとして高く評価されるでしょう。ただしセールスエンジニアと営業職には担当する仕事内容に違いがあり、セールスエンジニアが新規営業を担当することは少なく、営業職は納品後の技術的なサポートを担当することは少ないです。

セールスエンジニアとして活躍するために求められるスキルとして、現場での開発経験を活かした豊富な知識に加え、プレゼンスキル・ヒアリングスキルが挙げられます。新卒採用を目指す場合には、ポテンシャル採用されるために「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」などの資格を取得しておくと良いでしょう。

新卒採用でセールスエンジニアを募集している企業は少なく、内定を獲得するハードルは高いですが、本記事で解説してきた必要スキル・資格や就活のポイントも参考にしながら就活に臨んでみてください。

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