
使用する言語やシステムによってできることが異なるため、エンジニアの採用や開発会社に業務委託したい方、システム開発をしたいが何から手を付ければよいかわからない方は、まずシステム開発それぞれの特徴を理解することが重要です。
この記事では、システム開発の種類として、オープン系・Web系・汎用系・組み込み系・パッケージ系の特徴と将来性を解説します。
便利な比較表もまとめていますので、システム開発の違いを理解するための参考情報として役立ててください。
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1.そもそもシステム開発とは
システム開発は、企業や組織の業務プロセスを効率化し、最適化するための「仕組み」をIT技術を活用して作り上げるプロセスです。
もっとわかりやすく表現すると、システム開発とは、「業務を改善するためのツール作り」とも言えます。たとえば、企業における財務会計システムや販売管理、在庫管理などは、手作業で行っていた業務を自動化・効率化するためのシステムの一例です。
こうしたツールを活用することで、業務時間の短縮やミスの抑制、データの一元管理が可能になり、より効率的な運用体制を構築することができます。
また、システム開発においては、大きく分けてシステムエンジニア(SE)とプログラマーの2つの役割が連携を取りながらプロジェクトを推進させていきます。SEは、システム全体の設計図を作成し、システムがどのように動作するかを明確にし、最適なシステムアーキテクチャを設計するための役割を担っています。一方で、プログラマーはその設計図と自身の技術的な知識をもとにコードを書き、システムを構築する役割を担っています。
システム開発は、業務の「最適化」を目指しているため、業務運用に対する理解を踏まえた上で、SEとプログラマーが連携を図りながらプロジェクトを推進することが重要となります。
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2.システム開発は一般的に5種類ある

システム開発には、用途や技術によって5つの種類に分けられます。
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・オープン系
・Web系
・汎用系
・組み込み系
・パッケージ系
各種類にはそれぞれ特有の利点があるため、ビジネス上のニーズに応じて開発方法を選択することが重要です。ここからはそれぞれの種類の特徴、具体例、使用する言語や技術的な知識について解説します。
オープン系の特徴
オープン系システムは、多数のオープンソース技術を活用して構築されるシステムの総称です。以下のような特徴があります。
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・環境への依存が少なく、非常に柔軟性が高い
・コストが抑えやすく、リーズナブルな開発が可能
・他のシステムと容易に統合でき、拡張性が高い
オープン系システムは、柔軟性の高い開発ができ、コストを抑えられるメリットがあります。オープンソースに関するコミュニティが活発に活動していて、新しい技術やセキュリティパッチに関する情報流通量が豊富なため、テクノロジーの進歩に応じた柔軟性の高い開発を行うことができます。また、オープン系システムでは、ソフトウェアのソースコードがオープンにされており、無料でダウンロード可能なところも特徴的です。
オープン系システムの具体例としては、下記のようなシステムが挙げられます。
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・Trelloなどのプロジェクト管理システム
・JPiereなどの契約管理システム
・Odooなどの会計管理システム
代表的な言語は下記の通りです。
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・サーバOS:Linux (Ubuntu、CentOS、Red Hat)、Windows Server
・ミドルウェア:Apache HTTP Server、Nginx、Tomcat、WebLogic
・データベース:MySQL、PostgreSQL、Oracle Database、Microsoft SQL Server
・開発言語:Java、Python、PHP、JavaScript、Ruby、C#
オープン系システム開発では、無償または安価に手に入るソフトウェアと、一般的に広く流通しているハードウェア(macOS、Windows PC、サーバ、ネットワーク機器など)を組み合わせて使用します。
システム開発のプロジェクトでは、既存のサーバ環境にアプリケーションを構築する手法が一般的かつ、ゼロからシステムを作り上げる場合でも、すでに確立されたソフトウェアをベースにすることがほとんどです。
Web系の特徴
Web系システムは、主にインターネット上で利用されるアプリケーションやサービスを指します。Web系システムは下記のような特徴があります。
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・ブラウザベースでアクセスが簡単
・多様なデバイスから利用可能
・リアルタイムでの更新やコミュニケーションに関する仕組み作りに有効
Web系システムは、普段利用しているWebアプリやWebサービスを想像していただくとわかりやすいと思います。
下記はWeb系システムの具体例です。
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・Amazonなどのネットショッピングサービス
・Twitterなどのソーシャルメディア
・Slackなどのオンラインコミュニケーションツール
Web系システムは、ユーザーがアプリをインストールする必要がなく、インターネット経由で自由に利用することができます。また利用するユーザーは、不特定多数のユーザーを想定することが一般的です。
使用する言語としては、下記が挙げられます。
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・サーバOS:Linux (Ubuntu、CentOS)、Windows Server
・ミドルウェア:Apache HTTP Server、Nginx
・データベース:MySQL、PostgreSQL、MongoDB
・開発言語:JavaScript (Node.js、React、Vue.js)、Python (Django、Flask)、PHP、Ruby (Rails)、Java (Spring)、HTML、CSS
Web系システムでは、フロントエンドのコードがクラウドやホスティングサービスを通じてインターネット上に公開され、ユーザーに届けられるという点が技術的な特徴の一つです。
フロントエンドのコード(HTML、CSS、JavaScript)がインターネット上のクラウドやホスティングサービスにアップロード(デプロイ)され、どこからでもアクセスできるようになります。
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汎用系の特徴
汎用系システムは、主にメインフレームと呼ばれる高性能なコンピューターを使用して構築されるシステムのことです。以下の特徴があります。
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・大規模で高性能な専用機(メインフレーム)の利用
・重要な基幹業務を支えるシステム開発に最適
・高速な並列処理能力を持ち、膨大なトランザクションの効率的な処理が可能
汎用系システムは、メインフレームを活用し大規模なデータを安定して処理することができます。メインフレームとは、大型で高性能なコンピュータシステムのことを指します。主に企業や官公庁の基幹業務を支えるために使用されるもので、非常に高い処理能力と安定性を持っています。
汎用系システムでは、特定のメインフレームに特化した開発が行われ、一般的にクローズドな環境での運用が基本となります。メインフレームを活用する分、開発には時間とコストがかかることが多いですが、非常に高度なパフォーマンスを発揮します。
汎用系システムの具体例としては、以下のようなシステムが挙げられます。
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・自治体の住基システムや税務システム
・大企業の業務システム
・鉄道や航空会社の予約・運行管理システム
汎用系システム開発で利用される言語や技術は以下の通りです。
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・データベース:DB2、Oracle Database、IMS DB、Adabas
・開発言語:COBOL、FORTRAN、PL/SQL、Java、C、RPG(Report Program Generator)、Assembler(アセンブリ言語)
・ハードウェア:IBMメインフレーム(Zシリーズ)、NEC汎用機、富士通汎用機(GSシリーズ)、日立汎用機(VOS3)
汎用系システムでは、専用のメインフレームとメーカー独自のOSを使用します。そのため、要件に合わせたフルスクラッチの開発が必要です。
汎用系システムでは、COBOLが広く使用されており、運用・保守の段階で重要な役割を果たしますが、新規開発はほとんど行われていないのが現状です。
組み込み系の特徴
組み込み系システムは、特定のハードウェアに組み込まれたシステムです。以下のような特徴があります。
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・特定のハードウェアに対するリアルタイム処理に強い
・軽量なシステムを開発することが求められる
・ハードウェアとソフトウェアが密接に連携して動作する仕組み
組み込み系システムは、名称にもある通り、特定のハードウェアに組み込んで使用することが特徴です。ハードウェアのリソース(メモリ、CPU、バッテリー)の制約があるため、専用のハードウェアに対して最適化された軽量なシステムを開発することが求められます。
組み込み系システムの具体例としては、以下のようなシステムが挙げられます。
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・エンジンやトランスミッションなどの制御を行う自動車のシステム
・冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電製品に組み込まれた制御システム
・内科や歯科など医療機関で使用される診断機器に組み込まれるシステム
代表的な技術や言語は下記の通りです。
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・開発言語:C、C++、Assembly、Python、Ada、Rust
・データベース:SQLite、Berkeley DB
・オペレーティングシステム:RTOS(Real-Time Operating System)、FreeRTOS、VxWorks、QNX、embOS
組み込み系でよく使用されるC言語は、仕組みが単純で開発しやすく、処理速度が速いという特性があります。組み込み系は、前述の通り、ハードウェアに対して組み込むシステムであるため、開発においては、ハードウェアに対する技術的な理解が欠かせません。
パッケージ系の特徴
パッケージ系システムは、汎用的に利用できるソフトウェアがパッケージとなり提供されるシステムの総称です。
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・基本的な機能が開発されているため迅速に導入可能
・使用期間中はライセンス料がかかることが多い
・あくまでパッケージであるため、拡張性や柔軟性が低い
パッケージ系システムは、既に完成されたソフトウェアを利用するため、迅速が導入できるメリットがあります。ただし、使用期間中はライセンス料がかかることが多く、またあくまでパッケージであるため、企業のニーズに合わせたカスタマイズが難しいという懸念点があります。
パッケージ系システムの具体例としては、下記のようなシステムが挙げられます。
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・SAPなどのERPシステム
・SalesforceなどのCRMシステム
・mcframe 7などのSCMシステム
パッケージ系システムは、出来上がったシステムを利用する形になるため、内製して開発を進めることはほとんどありません。
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3.システム開発の各種類の将来性

システム開発は技術の進化に伴って、その役割や構造が大きく変遷してきました。それぞれの種類で独自の変化を遂げています。
以下に、各システムの変遷と、そこから予想される将来の変化について解説します。
オープン系システムの将来性
オープン系システムは、オープンソースの普及と共に大きな進化を遂げてきました。かつて、プロプライエタリなシステム(使用権がその所有者に限定され、外部の開発者やユーザーが自由に変更したり再配布したりすることができないシステム)と比較して、オープン系技術は選択肢の一つに過ぎませんでしたが、今では業界標準となっています。
将来性においては、クラウドやコンテナ技術との連携が強化されるとともに、さらに軽量なシステム構築が可能になるものとの発展が予想されています。
Web系システムの将来性
Web系システムは、インターネットの急速な普及と共に発展しました。当初は基本的な情報提供の場としての役割を担っていましたが、今では複雑な業務処理やリアルタイムのコミュニケーションを可能にするプラットフォームとして進化しています。
5G との親和性が高く、今後もリアルタイム性を生かしたシステムを導入する際にはもっとも有力な開発手法となるはずです。
汎用系システムの将来性
汎用系システムは、大型機(メインフレーム)での相互運用性からスタートし、クライアントサーバーモデルの導入、そして現在ではクラウドコンピューティングを取り入れるレベルまで進化しました。
将来的には、既存のレガシーシステムを保ちつつ、新技術との親和性を取り入れた開発を行いながら、業務の一貫性と効率性の向上を目指すプロジェクトで頻繁に利用されることが予想されます。
組み込み系システムの将来性
組み込み系システムは、家電や工業製品にとどまらず、IoTデバイスなどの拡大に伴って非常に多様化してきました。リアルタイムでのデータ処理能力に強く、インターネット経由での更新・管理が標準化されつつあります。
今後は、AI技術の組み込みが進み、より高度な自動化や予測保守を実現することが期待されています。
パッケージ系システムの将来性
パッケージ系システムは、かつては企業の業務プロセスを最適化するためのツールとして位置付けられていましたが、クラウドベースでのサービス提供が進み、柔軟なカスタマイズが可能になっています。
将来的には、AIを活用したレコメンデーション機能の強化や、自動化されたビジネスインテリジェンスが一般化し、意思決定支援の高度化を目指した開発が進むことになるでしょう。
これらの展望も参考にしながら、自社にとって最適なシステムを選択してみてください。
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4.システム開発の各種類の比較
システム開発の種類は、それぞれ異なる特徴を持っています。そのため、最適なシステム開発の種類を選ぶためには、システム開発を通じて達成したい目的を念頭に置きながら、システムの特徴を理解することが重要です。
以下で、各システムの用途を一覧形式でまとめました。
種類 | 目的・用途 |
オープン系 | 自社独自の業務フローに対応させたい テクノロジーの進歩に応じて頻繁にシステムの開発を行っていきたい |
Web系 | インターネットを通じて不特定多数のユーザーにサービスを提供したい リアルタイムでの更新やコミュニケーションに関する仕組み作りを行いたい |
汎用機系 | 大量のデータ処理やトランザクション処理をしたい |
組み込み系 | 特定のハードウェアに特化した制御や処理をしたい |
パッケージ系 | 一般的な機能だけを使いたい 開発コストや時間を抑え、迅速にシステムの運用を始めたい |
そのうえで、こちらの比較表を参考にしながら、もっとも目的達成に適当なシステムがどれなのか検討してみてください。
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5.まとめ
企業運営の効率化を実現するためには、システム開発は避けては通ることはできません。技術進化が加速する中で、システム開発の重要性はますます重要になってくるでしょう。
そのなかで大切なことは、「各種類の特性を理解し、自社のニーズに合った選択をすること」です。
システム開発で悩んだ際は、まずは原点に立ち返りながら、システム開発を検討したきっかけを振り返ってみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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