
そこで本記事では、MOSで実施される試験内容について、バージョン・ソフト(科目)・レベル(難易度)それぞれの観点からご紹介します。自分に合ったMOS資格を選んで受験するための参考にしてみてください。
1.MOSの科目と試験内容
まずはMOSで受験できるOfficeソフトの科目ごとに具体的な試験内容をご紹介します。
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・Excel
・Word
・PowerPoint
・Outlook
・Access
上から順番に解説しますので、それぞれの出題範囲を理解しておきましょう。
Excel
Excelは表計算ソフトと呼ばれるOfficeソフトで、データの整理・管理のために使う、もしくは数式・関数を用いた計算・集計作業などに使うのが特徴です。テーブル機能を使って表の見た目を整えたり、データを元にグラフを作成して挿入したりする使い方にも用いられます。
MOS Excelの試験内容には、Excel内のブック・ワークシートの管理、セルとデータの管理、テーブル・グラフの管理、そして数式や関数を使った計算などが含まれます。上級レベルになると、より高度な関数の扱いやデータ分析、ピボットテーブル・ピボットグラフの作成などが試験内容に含まれるようになります。
Word
文書作成ソフトのWordは、プリントアウトして使用する紙の書類やPDF形式のマニュアルなどの作成に用いられるOfficeソフトです。論文の執筆や原稿の下書きとして使用することも多いです。同じファイルを社内で共有し、リアルタイムで編集・修正しながら文書を作成することも可能な機能性を持っています。
MOS Wordの試験内容には、文書の管理から文字・段落・セクションの設定、図表・リスト・目次の作成などが挙げられます。文書の共同編集を行うためのコメントの追加・管理や、ほかのユーザーによって加えられた変更履歴を管理することも試験内容に含まれています。上級レベルでは、テンプレートの管理や図表一覧・文献目録の作成など、より専門的な文書を扱う現場で必要なスキルが問われるようになります。
PowerPoint
PowerPointはプレゼンテーションソフトとして使われるOfficeソフトで、プレゼンで用いるスライドやセミナーで使用する資料を作成するために使われます。テキスト・図表・リンクを挿入したスライドや、アニメーションを追加した資料を作成することも可能です。PowerPointには上級レベルは設けられておらず、学校でPowerPointを操作したことがある方なら、無理なく一般レベルの合格を目指せるでしょう。
MOS PowerPointの試験内容には、スライドの作成・挿入や、テキスト・図表・画像の追加・配置などの操作が含まれます。グラフ・SmartArt・3Dモデルの挿入操作も試験内容に含まれるので、これまで使ったことがない機能が出題されることもあるでしょう。
Outlook
Outlookは、主にメールの送受信で用いられるOfficeソフトです。タスク管理・スケジュール管理にも活用できる機能が備わっており、ビジネスシーンでは業務効率化に貢献するソフトとなっています。Outlookに関しても上級レベルは設けられておらず、一般レベルの試験のみ用意されています。
MOS Outlookの試験内容としては、ソフトの設定やメールの管理、スケジュール管理とタスク管理のための操作が挙げられます。MOS Outlookの最新バージョンは「MOS 2019」であり、MOS 365には対応していないことにも注意しましょう。
Access
Accessはデータベース管理に用いられるOfficeソフトで、Excelよりも大規模なデータを扱う時に用いられるのが特徴です。データベースを効率的に扱うためのテーブル・クエリの設定や、データベースをビジネスの現場で活かすためのレポートを出力することもできます。
MOS Accessの試験内容には、テーブルの作成・管理、クエリの作成・変更や、レポートの設定などが含まれます。MOS 2019バージョンでは一般レベルが用意されておらず、上級レベルのみ試験を受けることができます。
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2.MOSの難易度ごとの試験内容
続いて、MOSの難易度ごとの試験内容についても解説します。MOS資格には、一般レベル(スペシャリスト)と上級レベル(エキスパート)の2つの難易度が用意されており、それぞれで試験内容も異なります。難易度の違いを理解した上で、自分に合った科目の受験に取り組んでみましょう。
なお、一般レベル・上級レベルの2つが用意されているのは、ExcelとWordの2ソフトのみとなっています。PowerPointとOutlookは一般レベルのみ、Accessは2019バージョンで上級レベルのみの試験となっていることにご注意ください。
一般レベル(スペシャリスト)
MOSの一般レベルで問われるのは、ExcelやWordの基本的な操作スキルです。学校や職場でExcel・Wordを使ったことがある方であれば、短期間の勉強で十分合格ラインを目指せる試験内容となっています。高度な機能を使いこなすスキルが求められるわけではないため、ExcelやWordの操作に不安がある方がスキルアップの一環としてMOS試験を活用するのにも適しています。
なお、MOS 2016以前は、一般レベルは「MOS 2016 スペシャリスト」と呼ばれていましたが、MOS 2019以降は「MOS 2019(一般)」という名称に変更されています。スペシャリスト試験と一般試験で、難易度や試験内容は大きく変わらないのでご安心ください。
上級レベル(エキスパート)
MOSの上級レベルでは、Excelのピボットテーブルの扱いやマクロの作成、Wordでは長文の文書向けの目次・索引作成など、より専門的なビジネスシーンで求められるスキルが試験内容に含まれるようになります。実務でExcelやWordを使ったことがある方にとっても、初めて触れる機能が出題される可能性が高いので十分な対策が必要です。MOS試験はすべてCBT方式の実技試験となっていますので、知識を身につけるだけではなくパソコンで実際にExcel・Wordを使い、出題された操作を行わなければなりません。
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3.MOSのバージョンごとの試験内容
ここからはMOS 365やMOS 2019などのバージョンごとの違いや試験内容についてもご紹介します。原則としてどのバージョンを選んだとしても試験内容に大きな差はなく、難易度も共通しています。そのためどのバージョンを選べば良いか迷った時には、自分のパソコンにインストールされているバージョン、もしくは就職先で使用するバージョンに合わせて資格を取るのがおすすめです。
MOS 365
MOS 365は、「Microsoft 365」「Office 2021」に対応したバージョンのMOS試験です。最新のOfficeソフトで実装されている機能や操作画面を元にした試験内容なので、古いバージョンのOfficeソフトを使っている場合にはうまく試験対策ができない可能性があることに注意しましょう。難易度に関してはMOS 2019やMOS 2016などと共通しています。
MOS 365は2025年3月時点で最新バージョンのMOS試験ですが、Officeソフトは約3年ごとにバージョンアップされるのが通例であり、MOS試験もそれに合わせて新たなバージョンが新設される可能性が高いです。ただし、すでに「Office 2024」が発売されていますが、現行のMOS 365ではMicrosoft 365とOffice 2021の2つのバージョンにのみ対応している点に注意しましょう。
MOS 2019
MOS 2019は、「Office 2019」に対応したバージョンのMOS試験です。試験内容や難易度はMOS 365と変わらないものの、MOS 365で追加・削除された機能について出題されたり、Office 2019のExcelやWordの操作画面に合わせて出題される可能性があるため、就職先でOffice 2019を使う予定がある場合にはMOS 2019を優先的に取得すると良いでしょう。
MOS 2016
MOS 2016は、「Office 2016」に対応したMOS試験ですが、2026年3月に試験開催が終了することが公式ホームページで予告されています。全国一斉試験は2025年8月で終了することに注意しましょう。MOS 365やMOS 2019と試験内容・難易度に大きな差はないものの、Office 2016は2025年10月にサポート終了を迎えるバージョンのため、積極的に取得する必要はないでしょう。
参考:MOS 2016試験終了のお知らせ
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4.MOS試験の受験方法
MOS試験は、全国一斉試験と随時試験の2つの種類から受験方法を選ぶことができます。いずれもパソコンを使ったCBT方式による実技試験となっており、試験内容や難易度は試験会場や受験方法によらず共通しています。全国一斉試験の方が試験内容が易しいといった違いはないため、都合に合わせて受験方法を選択すると良いでしょう。
なお、MOS試験には受験資格は設けられておらず、学生・社会人を問わず試験を受けることができます。再受験のルールについても明確で、同一科目の2回目の再受験は24時間経過後、3回目以降の再受験は48時間経過後、試験を受けられるようになります。受験のたびに受験料は発生するものの、繰り返し受験してスキルアップや試験合格を目指すこともできるので、複数回の受験も視野に入れてみましょう。
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5.MOSの試験内容に合わせたおすすめ対策
最後に、MOSの試験内容を踏まえたおすすめ試験対策・勉強方法についてもご紹介しましょう。
就活を見据えて受験科目を選ぶ
受験日を決めて学習スケジュールを立てる
手を動かしながら独学で学ぶ
繰り返し試験を受ける
独学に挫折する場合にはスクール・通信講座を
これらのポイントを実践することで、必要な科目の一発合格を目指せるようになるので、ぜひ試してみてください。
就活を見据えて受験科目を選ぶ
MOS資格を効率的に取得するためのおすすめ対策として、就活を見据えて受験科目を選択することが挙げられます。最新バージョンや人気の科目というだけで受験科目を選ぶのではなく、就活でどのような企業・職種に就職したいのかを明確にした上で、就職後に必要なスキルが身につく科目を選ぶのが効果的です。
たとえば事務職への就職を見据えてMOS資格を取るなら、ExcelやWordの一般レベルの合格を目指すと良いでしょう。ITエンジニアとして就職を考えているなら、Excelの上級レベルやAccessの上級レベルの習得を目指す選択肢もあります。今後の就職を見据えて勉強する科目を選択することで、高いモチベーションを維持しながら試験対策に臨めるメリットがあるので、ぜひ実践してみてください。
受験日を決めて学習スケジュールを立てる
MOS資格を取るためのおすすめ対策として、まずは受験日を決めてしまってから学習スケジュールを立てることが挙げられます。MOSの試験は全国一斉試験・随時試験のどちらも好きなタイミングで受験を申し込むことができます。十分な準備ができてから試験を申し込むのではなく、最初に受験日を決めてしまってから学習に取り組む流れが非常に効果的です。
MOS試験は一般レベル・上級レベルを問わずどちらも難易度が低い資格なので、試験の約1ヶ月前から勉強に取り組んだとしても十分合格ラインに到達できます。先に試験を申し込んでしまえば、後に引けない状況になり、高い集中力を維持しながら勉強に取り組めるようになるでしょう。独学のモチベーションが続きにくいタイプの方は、こうした試験対策もぜひ取り入れてみてください。
手を動かしながら独学で学ぶ
MOS資格の合格を目指すなら、テキストを読み込みながらインプット学習するよりも、手を動かしながらアウトプット学習に取り組む方が効果的です。MOS試験がパソコンを使用した実技試験で行われることから、インプット学習で知識を増やしたとしても、実際にExcelやWordのソフトをうまく扱えなければ合格ラインを目指すことは難しくなるからです。
また、MOS試験対策のためのパソコン教室や通信講座も充実していますが、MOS資格は独学で十分合格を狙える難易度となっているので、まずは独学での合格を目指すことをおすすめします。MOS資格のように難易度の低い資格で独学に成功した経験を積んでおくと、今後の就活対策でより難易度の高い資格を目指す際にも、独学に挫折しにくくなるでしょう。
繰り返し試験を受ける
MOS試験は再受験のルールが厳しくなく、受験料を支払えば短期間に繰り返し試験を受けることも可能です。十分な試験対策ができていなかったとしても、まずは試験会場で試験を受けてみて、試験本番の会場の雰囲気や試験用パソコンの操作に慣れるという作戦も有効です。MOS試験の結果は、試験終了後にすぐに「試験結果レポート」として確認することができるので、前回の試験の反省を活かして弱点克服に取り組むこともできます。
なお、MOS試験は同じ科目に合格した後でも、繰り返し試験を受けることが可能です。資格取得だけではなく、就職後に活かせる実践的なスキルを身につけたいと考えている方は、MOS資格の再受験制度も活用してみてください。
独学に挫折する場合にはスクール・通信講座を
MOS資格は資格試験の中でも難易度が低く、実務経験を持たない学生であっても合格しやすい資格です。しかしパソコンを使った実技試験が含まれるため、これまでパソコン操作に慣れていない方にとっては難しく感じられる可能性もあります。ExcelやWordのインストールなど、パソコンの基礎的な操作に苦労してしまう場合には、MOS対策のパソコンスクールや通信講座を利用してみるのもおすすめです。
資格対策に強い専門学校の場合、MOS対策の授業を行っている学校で、そのまま随時試験を申し込めることもあります。初めて訪れる全国一斉試験の会場ではなく、通い慣れた専門学校の環境で試験を受けられるメリットもあるので、試験本番で最大限のパフォーマンスを発揮したい方にも適しています。
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6.まとめ
MOSの試験内容はExcelやWord、PowerPointなどのソフトごとに異なり、特にExcelとWordの2つの科目では、一般レベル・上級レベルの2つの難易度ごとに試験内容は異なります。MOS試験は、MOS 365やMOS 2019などのバージョンごとに科目が用意されていますが、各バージョンで試験内容・難易度に大きな違いはないため、自分が使用しているバージョンや就職後に使うことになるバージョンに合わせて受験する科目を選ぶと良いでしょう。
こうしたMOSの試験内容に合わせて対策に取り組むのであれば、まずは試験日を決めて受験手続きを済ませてしまってから学習スケジュールを立てたり、インプット学習ではなくアウトプット学習に力を入れたりするのが効果的です。独学に挫折してしまう場合には、パソコン教室や通信講座を利用するのも効果的なので、自分に合わせた勉強方法で合格を目指してみてください。
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