SIerとは?仕事内容やSESとの違い、新卒入社するメリットを解説

SIerとは?仕事内容やSESとの違い、新卒入社するメリットを解説
SIerは「System Integrator」の略称で、主にシステムの受託開発を手掛ける企業のことを指します。自社開発を行うノウハウやリソースがない企業から案件を受注し、対価を受け取ることで利益を得るビジネスモデルです。SIerでは大手企業が参画する大規模なプロジェクトに携われることが多く、安定した高収入を得られる環境も整っています。そのため就活でも人気の応募先の一つですが、一方で開発業務が少なくプログラミングスキルを伸ばしにくい面もあります。 しかし、SI業界の将来性に不安を感じる方や、「SIerはやめとけ」という意見を耳にして心配になっている方も多いかもしれません。そこで本記事では、SIerの特徴や仕事内容について、新卒入社するメリット・デメリットとともにご紹介します。SI業界の将来性についても解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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1.SIer(System Integrator)とは?

SIerは「エスアイヤー」と読み、システム開発・構築を意味する「System Integration」の略称「SI」に、「〜する者」という接尾辞「-er」をつけた和製英語です。IT業界では、主に受託開発を手掛ける企業のことをSIerと呼ぶことが多いです。企業によってはシステム開発だけではなく、開発後の運用・保守や、コンサルティングといった業務に携わることも多く、システム開発に関わるさまざまなサービスを提供する企業というニュアンスで使われます。

エンジニアやメディアによっては、SIerは「ITベンダー」「SIベンダー」と表記していることもあります。「ベンダー(Vendor)」は販売業者という意味の英単語で、どちらの表記でも同じ業種を指しています。

SIerの4つの分類

日本国内ではSIerにもさまざまな種類が存在しており、主に以下の4つの分類が使われます。
 

  • ・メーカー系SIer

    ・ユーザー系SIer

    ・独立系SIer

    ・外資系SIer


「メーカー系SIer」は、もともとパソコン・周辺機器などのハードウェア開発を行っていた企業が、システム開発部門を独立させて設立した企業です。親会社のハードウェアを用いた開発に強みを持っており、代表的な企業には富士通・NEC・日立製作所などが挙げられます。

「ユーザー系SIer」とは、IT業界ではない企業がシステム開発部門を独立させた企業を指します。親会社の業界によって、金融系・商社系・通信系などと細かく分類されることもあります。親会社のシステム開発・運用を手掛けることに加え、過去の実績を活かして外部企業のシステム開発を受注するケースもあります。主な企業には、NTTデータ・SCSK・野村総合研究所が挙げられます。

「独立系SIer」は、上記2つとは異なり親会社が存在せず、システム開発や運用の受注を目的に設立した企業です。特定の親会社に縛られることなく、さまざまな技術やサービスを提供できるのが特徴です。ほかのSIerからの下請けで開発業務に携わることもあります。主な企業として、大塚商会・TIS・富士ソフトなどが挙げられます。

「外資系SIer」には、外資系企業によるSIerが分類されます。グローバル展開しているシステムを日本企業へ導入し、国内でのシェアを伸ばすことが目的です。ITコンサルティングに強い企業が多く、世界規模のプロジェクトに携われたり、実力主義で成果が評価されやすい土壌があるのが特徴です。主な企業には、Microsoft・Oracle・IBMの日本法人が挙げられます。

SIerとSESの違い

SIerと混同されやすく、区別しにくい言葉として「SES」が挙げられます。SESは「System Engineering Service」の略称で、クライアント企業にシステム開発に必要な技術力・労働力を提供するビジネスモデルです。自社に在籍するエンジニアをクライアント企業に出向させる「客先常駐」が主流で、労働時間や仕事内容はSES契約で決まっているため、残業が発生しにくく成果物への責任も負わないのが特徴です。

就活での企業選びのポイントとして、SIerは上流工程に位置することが多く、SESは下流工程に携わることが多い点を押さえておくと良いでしょう。上流工程とは、要件定義やシステム設計などの重要度の高い業務、下流工程はプログラミングをはじめとする現場作業を指します。

SIerであれば上流工程がメインで年収や待遇も良い傾向にありますが、現場でプログラミングを行う機会が少なく、エンジニアとしてのスキルを伸ばしたい場合には不向きです。一方でSESでは、開発経験を積める機会は多いですが、上流工程に携わる機会が少なく入念なキャリアプランを形成しておく必要があります。

それぞれの特徴や違いを踏まえ、自分の興味・適性やキャリアビジョンに合わせて企業選びを進めると良いでしょう。

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2.SIerのエンジニアの仕事内容・働き方

SIerで働くエンジニアの仕事内容には、システム・アプリの開発・運用、サーバー構築やホームページ制作などが含まれます。ITの導入・活用についてのコンサルティングや、セキュリティ対策のアドバイスを手掛けることもあります。SIer自体がシステム開発にまつわる事業に幅広く携わる企業なので、エンジニアの仕事内容も幅広いのが特徴です。

なお、SIerは自社でシステム開発を行うノウハウ・リソースを持たない企業が顧客となるため、BtoCではなく、BtoBの取引が中心となります。そのためシステム・アプリを使うユーザーに感謝されながらエンジニアとして働きたい方には不向きなので注意しましょう。

また、SIerが受注したプロジェクトは、別のSIerもしくはSESに外注・下請けを依頼することも珍しくありません。SIerに在籍するエンジニアは、自社勤務で働く割合が多いですが、グループ企業またはクライアント企業に出向して働く「客先常駐」を行うこともあります。

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3.SIerに新卒入社するメリット

続いて、就活でSIerを応募先に選ぶメリットについて、以下の5つをご紹介します。
 

  • ・大規模なプロジェクトを経験できる

    ・高収入・好待遇を得られる

    ・さまざまな種類のプロジェクトに携われる

    ・上流工程・上位職を目指せる

    ・IT以外のスキルが身につく


それぞれ順番に解説していきます。

大規模なプロジェクトを経験できる

大手・中小を問わず、SIerに入社することによって大規模なプロジェクトを経験できることが大きなメリットです。大手SIerであれば、国や地方自治体が携わる大型プロジェクトに参加し、エンジニアとしての実績を作ることも可能です。中小のSIerの場合にも、大手SIerからの下請けで大型案件を手掛けることは珍しくありません。

多くの人員が関わる大規模プロジェクトは、SIer以外で働く時にはあまり経験できない体験です。こうした仕事がやりがいにつながるほか、エンジニアとしての経歴・実績を華やかなものにしてくれるでしょう。

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高収入・好待遇を得られる

SIerは下請けが多いIT業界の中でも、一次請け・二次請けに位置することが多く、安定した業績を残す企業が多くあります。大手の安定したSIerであれば、同じ業務に携わるエンジニアの中でも、高収入・好待遇で働けるメリットが生まれます。上流工程を担当することから大きな責任を伴うことになりますが、収入面を重視して企業を選びたい方に適しています。

より条件の良い企業を選びたい場合には、独立系SIerよりもメーカー系・ユーザー系SIerの方が、より良い条件で働ける可能性が高いです。外資系SIerであれば、年齢や学歴に関係なく、成果主義で高収入を得ることもできるので、スキルに自信がある方は積極的に面接を受けてみると良いでしょう。

さまざまな種類のプロジェクトに携われる

SIerで働くエンジニアは、プロジェクトごとに仕事が割り振られ、プロジェクトが完了した際には別のプロジェクトへの配属が決まります。この繰り返しで働き続けることになるため、一つのプロジェクトに縛られることなくさまざまな種類のプロジェクトに携われるメリットがあります。クライアント企業に合わせて異なる技術を使用したり、幅広く開発支援ツールを活用したりすることで、ジャンルを問わず経験を積めるのがメリットです。

自社開発を行う企業の場合には、効率的に開発ができるよう、決まった技術やツールを使って開発することが多いです。一方のSIerでは、プロジェクトに合わせて開発方法を柔軟に切り替えながら働くことになるため、自分の興味や適性を見極めるための貴重な経験にもなるでしょう。

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上流工程・上位職を目指せる

SIerはIT業界における上流工程を担当することが多く、要件定義やシステム設計といった一般的にはあまり経験できない業務にも携わることができます。上流工程の仕事は責任が重く、スキルや経験が求められるため、高収入や好待遇が用意されていることも多いです。将来の転職の際にも上流工程の経験があることが強みになり、より良い条件の職場を見つけやすくなるメリットがあります。将来はPM(プロジェクトマネージャー)など、上位職を目指したい方にも適しています。

ただし、入社するSIerが上流工程ではなく、下流工程を担当することが多い企業の場合には、入社後にミスマッチを感じる可能性も高くなります。応募する企業がIT業界において、どのような立ち位置のSIerなのかは事前に企業研究しておくことが重要です。

IT以外のスキルが身につく

SIerでの業務では、システム開発を通じてクライアント企業の課題を解決するために、経営層を含めたさまざまな立場の人物と打ち合わせを行い、コミュニケーションを取ることになります。その過程で対人折衝力が身についたり、経営層のコネクションが生まれたりと、IT以外のスキルが身につくこともメリットです。

将来性のあるIT業界に興味があるが、プログラミングに苦手意識がある場合や、人とコミュニケーションを取ることが得意な場合には、SIerからの内定を目指してみることをおすすめします。

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4.SIerはブラック?やめとけと言われる理由

SIerで働くエンジニアには上記のようなメリットがある一方で、IT業界では「SIerはやめとけ」と言われるほどデメリットが強調されることもあります。なぜ「SIerはやめとけ」と言われるのか、その理由として次の5つをご紹介します。
 

  • ・プログラミング経験を積みにくい

    ・先端技術に触れる機会が少ない

    ・スキルアップしても収入が伸びにくい

    ・年功序列が残る企業が多い

    ・一つのプロジェクトだけに長期間携わることも


上から順番に解説していきます。

プログラミング経験を積みにくい

SIerは自分の手を動かしてプログラミングを行い、プロダクトやサービスを開発する機会が少ないため、現場経験を積みたい方には不向きです。エンジニアやプログラマーとしてのキャリアを積むよりも、なるべく早くIT業界の上位職を目指したい方に適しています。

プログラミング経験を積み、将来はフリーランスのエンジニアや個人開発を目指したい場合には、SIerよりもSES企業を選ぶのもおすすめです。SES企業は主に下流工程を担当し、クライアント企業のニーズに合わせて現場での開発を行うため、幅広い経験を積める企業だからです。

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先端技術に触れる機会が少ない

SIerが手掛けるプロジェクトの多くは、最新技術ではなく使い慣れた安定した技術を用いるため、先端技術を用いた開発はほとんど発生しません。安定性を重視した一世代前の手法や言語を使って開発するので、転職で評価されやすいスキルや業界のトレンドにフォローアップするのは難しいでしょう。

独学で先端技術を学ぶという選択肢もありますが、SIerでは常に納期に追われながら働くことが多く、日々の業務以外でスキルアップの時間を確保するのが難しいと感じるエンジニアも少なくありません。

スキルアップしても収入が伸びにくい

SIerで働くエンジニアが独学で新たなスキルや言語を身につけたとしても、収入アップには結びつきづらいというデメリットもあります。これはプロジェクトで使用するスキルや言語が固定化されており、それとは別のスキルを身につけても業務に活かしにくいからです。

エンジニアとして労働市場で評価されるためには、常に新しいスキルや言語を身につけることが重要です。しかしSIerで働くにあたっては、必要とされるスキル・言語を的確に用いることが求められるため、上昇志向が強い方は不満につながるかもしれません。

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年功序列が残る企業が多い

SIerはIT業界の中でも、古い慣習が残る体質の企業が多いです。成果主義で評価される企業は少なく、多くの場合は年功序列で給料や役職が決まります。そのため上位職を目指したいと思っても、社内でステップアップするには現在の先輩社員が転職するか、定年退職してポストが空くのを待つしかありません。

そのため自分のスキルでどんどんステップアップしたい方や、成果主義で評価される環境で働きたい方にはおすすめできません。

一つのプロジェクトだけに長期間携わることも

SIerで働くエンジニアの中には、新たなシステム開発だけではなく、すでにあるシステムの保守・運用を担当するエンジニアもいます。保守・運用を含めたプロジェクトを担当する場合、一つのプロジェクトに長期にわたって携わることもあります。保守・運用はシステムの安定稼働のために欠かせない業務ですが、毎日同じ作業を繰り返すことが多く、やりがいが感じられない方も少なくありません。

より刺激のある働き方を実現したい場合には、なるべくプロジェクトの切り替わりが多く、さまざまな案件に挑戦できるSIerを選ぶことをおすすめします。

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5.SI業界の将来性は低いのか?

SIerに応募・入社するにあたって気になるのが、SI業界の将来性についてでしょう。SIerが今後も伸び続ける業種なのか、SIerに入社して後悔する可能性がないのかを詳しく解説します。

SIer出身エンジニアの需要は高い

SIer出身のエンジニアは、IT業界全体の中で高い需要があります。システム開発における上流工程を経験するエンジニアや、大規模なプロジェクト管理を経験したエンジニアは数が少ないため、同業のSIerをはじめ業種を問わず高く評価される人材です。そのためスキル・経験を身につけて、より良い条件の企業に転職したいと思った時にも、好条件のオファーを受け取れる可能性が高いです。

特に要件定義やシステム設計、プロジェクトマネジメントといったスキルを持った人材は、転職先に困ることはないでしょう。SIerでの経験を活かしてフリーランスのエンジニアを目指すことも可能なので、将来のキャリアプランに組み込むのに最適な業種と言えます。

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SaaSの普及により市場は縮小傾向

一方でSI業界全体としては、市場は縮小傾向にあります。というのも、従来のSIerが携わっていた「スクラッチ開発」の需要が減少し、クラウドの普及が進んでいるからです。スクラッチ開発とは新たなシステムをゼロから開発する手法を指し、一昔前までは主流でしたが、SaaSと呼ばれるクラウドサービスが普及したことで、スクラッチ開発の必要性が下がっているのが現状です。

今後も一定の需要は残り続けると考えられますが、クラウド開発の技術が進歩することで、スクラッチ開発やSIerの業務が時代遅れとなる可能性も否めません。そのためSIerで長く働き続けたいと考えている方は注意が必要です。

多重下請け構造は大きな課題

SIerが携わるIT業界の一部では、「多重下請け構造」が大きな課題となっています。多重下請け構造は、一次請け・二次請けだけではなく、三次請け・四次請けなども発生し、下請けになるほど薄利になってしまう性質があります。これはプロジェクトを受注した企業が別の企業に発注する際に、中間マージンが発生するのが理由です。

孫請け・ひ孫請けなど、下請け構造が厚くなるにつれて現場で働くエンジニアの負担が増え、報酬も減少してしまいます。発注者であるクライアント企業とのコミュニケーションが取りにくくなり、開発効率が低下するデメリットもあります。

こうしたIT業界の課題を解決できなければ、今後も人手不足が解消せず、将来性にも期待できなくなるでしょう。

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6.まとめ

SIerとは「System Integrator」の略称で、クライアント企業からシステム開発・運用を受注する企業を指します。

下流工程を担当することが多いSESと比べて、SIerでは上流工程に携わることが多いという違いがあります。SIerで働くエンジニアにとっては、大規模なプロジェクトに携われる点や高収入・好待遇を期待できるメリットがありますが、一方でプログラミング経験を積みにくくなるのがSIerのデメリットです。スキルアップしても年収が伸びにくく、年功序列が残る古い体質の企業も少なくありません。

また、SIerの将来性として、SIer出身のエンジニアは評価されやすい一方で、SI業界は市場規模が縮小傾向にあることに注意しましょう。IT業界全体として多重下請け構造という課題にも直面しているので、就活で企業を選ぶ時にはどのような業務内容を担当しているのかをじっくりと企業研究することが大切です。

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