
MOSの試験は毎日実施されており、再受験に挑むのも容易で、ほかの資格と比べても合格しやすい利点があります。一方で合格率の高さから「就活では役に立たない」と言われることも珍しくありません。そのためMOS資格を取得するかどうか迷っている方も多いでしょう。
本記事では、MOSの受験を考える方に向けて、試験の基本情報や合格率・難易度、おすすめ勉強方法などをご紹介します。
1.MOSとは
MOSとは、"Microsoft Office Specialist"の頭文字を取った言葉で、Microsoft社が提供するExcel・Word・PowerPointなどのOfficeソフトを扱うスキルを証明する資格です。Microsoft社によって認定される国際資格の一つであり、民間資格ながら国内外を問わず高い知名度を誇るのが特徴です。
MOS資格は一種類ではなく、バージョンやソフトごとに複数の科目が用意されています。MOS 365やMOS 2019などのバージョンとExcel・Wordなどのソフトの組み合わせによって試験内容は異なり、一般レベル・上級レベルの2つの難易度が用意されています。たとえば「MOS 365のExcelの一般レベル」「MOS 2019のWordの上級レベル」のように受験することが可能です。
MOSを受験するためには一つの科目ごとに受験料を支払う必要がありますが、就活対策として人気の資格なだけあってMOSには学割制度も用意されています。そのためMOS資格の取得を目指すなら、高校生・大学生のうちに受験すると割安になることを押さえておきましょう。
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2.MOSの種類
ここからはMOS資格の種類について順番にご紹介しましょう。
MOSのバージョンごとの種類
MOS資格には、「Microsoft 365」「Microsoft Office 2019」など、Officeソフトのバージョンごとに資格が用意されています。Microsoft 365に対応したMOS 365、Microsoft Office 2019に対応したMOS 2019が、それぞれExcel・Word・PowerPointなどのソフトごとに一科目ずつ用意されている資格です。最新のバージョンのMOS 365でExcelとWordのMOS資格を取得したいと思った場合には、二科目の試験を受けて合格する必要があります。
MOS 365やMOS 2019などのバージョンによって試験内容が大きく変わるわけではなく、原則としてどのバージョンを選んでも問題ありません。学校や自宅で使っているバージョンに合わせてMOS試験を受ける、もしくは応募したいと考えている企業の求人で指定されているバージョンのMOS試験を受けることをおすすめします。
なお、履歴書にMOS資格を記載する際には、バージョン・ソフト・難易度を含めた正式名称を記載するように注意しましょう。
MOSのソフトごとの種類
MOS資格で認定を受けられるのは、Microsoft社が提供するOfficeソフトである以下5つの製品です。
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・Excel
・Word
・PowerPoint
・Access
・Outlook
表計算ソフトのExcel、文書作成ソフトのWord、プレゼンテーションソフトのPowerPointについては学校の授業などで扱ったことがある方も多いでしょう。特にビジネスの現場で用いる機会が多いExcel・Wordには、一般レベルとさらに難易度の高い上級レベル(エキスパート)の2つの難易度が用意されています。PowerPointは一般レベルのみMOS資格が用意されていることに注意しましょう。
「Access」はデータベース管理に使われるOfficeソフトで、Excelを使うよりもデータの保存・整理に適しており、大規模なデータを扱うのに適した性質を持ちます。ただし最新バージョンであるMOS 365では試験を実施しておらず、「Access 2019 エキスパート」もしくは一般レベルの「Access 2016」のみの認定となっています。
「Outlook」は電子メール・情報管理に使われるOfficeソフトで、メールの送受信やタスク管理・スケジュール管理などの用途で使用されています。MOS試験では、Outlookの操作やメール作成、スケジュールやタスクの作成・管理などのスキルが問われます。Accessと同様にMOS 365では試験を実施しておらず、一般レベルの「Outlook 2019」「Outlook 2016」のみ受験できます。
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3.MOSの試験内容
次に、MOSの試験内容について、日程や受験料、受験ルールなどとともに解説します。
MOSの試験日程
MOSの試験は、全国一斉試験・随時試験の2つのタイプが用意されています。全国一斉試験は月に1回のペースで実施されており、全国30前後の試験会場で受験できます。随時試験は全国1,500の試験会場にて好きなタイミングで受験できるのが特徴です。全国一斉試験・随時試験のどちらを選んだとしても、出題される問題はランダムに決まるので難易度や合格率に差は生まれません。
全国一斉試験で周囲の受験生のタイピング音などが気になってしまう場合には、少人数のパソコン教室などで受験できる随時試験を選ぶと良いでしょう。一方で明確な試験日程が決まっていた方が学習スケジュールが立てやすい方、周囲の受験生が多いほど緊張感が高まって集中できるタイプの方なら、全国一斉試験を選ぶと良いでしょう。
MOSの受験料
MOSの受験料は、2025年5月以降の受験からは12,980円(税込)、学割価格で9,680円(税込)に改定されます。従来では一般レベルと上級レベルで受験料に差がありましたが、この改定により難易度を問わず同じ受験料を支払う仕組みとなりました。一般価格と学割価格の二種類しか存在しないため、料金体系で迷うことはないでしょう。
なお、MOS試験は1997年の開始以来、一度も値上げすることなく運営が行われてきましたが、上記の改定のように今後も受験料が変更される可能性がありますので、正確な受験料は公式ホームページをチェックして確認しておきましょう。
MOSの受験ルール
MOSは受験資格に指定はなく、学歴・年齢・経験を問わずに試験を受けることができます。短期間での再受験も認められており、1回目の試験で不合格となった場合には、24時間経過後に再受験が可能となります。3回目以降は48時間経過後、再受験が可能となるルールです。
最短で1日〜2日おきにMOS試験を受けられることを意味しますので、繰り返し受験して多くの問題に触れつつ、MOS資格取得を目指すことも可能です。ただし、再受験であっても受験料が免除・割引されたりすることはないため、受験を繰り返すほど受験料が高額になってしまうことに注意しましょう。
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4.MOSの合格率・難易度
MOS資格の合格率は比較的高めで、一般レベル・上級レベルを問わず資格全体で比較すると難易度は低くなっています。具体的にどのくらいの合格率・難易度なのかをデータを紹介しながら解説します。
MOSの合格基準
MOS試験では、合格点や合格ラインなどは公開されていませんが、約7割の正答率で合格になると考えられています。MOSは1000点満点で採点されるので、650点〜850点ほどが目標ラインとなります。受験するバージョンやソフト、難易度によって合格ラインが前後する可能性も考えられるため、できるだけ8割以上の得点を目指すと確実です。
得点・合格点は試験終了後に受験したパソコンの画面に表示され、試験終了後に受け取れる試験結果レポートでもチェックすることができます。
MOSの合格率
MOS試験は正確な合格率についても非公開ですが、一般レベルで80%、上級レベルで60%が目安となっています。資格試験の中では合格率は高めで、取得のハードルは低いと言えるでしょう。
ちなみに、IT系で初心者向けの国家資格として「ITパスポート試験」が有名ですが、ITパスポート試験の合格率は50%が目安です。MOSの一般レベル・上級レベルと比較してもITパスポート試験の方が難易度は上なので、ITパスポート試験に合格できる方であればMOS試験を取得できる可能性は高いです。
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5.MOSは役に立たない?恥ずかしいと言われる理由
MOSは難易度が低いことや短期間に再受験が可能なことなどを理由として、「就活では役に立たない」「履歴書に書くと恥ずかしい」と言われることもある資格です。ここではMOSにネガティブな意見が集まる理由について、下記の3つの観点からご紹介します。
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・取得するハードルが低いから
・Officeソフトが使えるスキルは前提だから
・IT業界では相対的に評価が下がるから
一つひとつ解説しますので、MOS資格を取るかどうかを考える参考にしてください。
取得するハードルが低いから
MOSが役に立たない・恥ずかしいと言われるのは、資格自体の難易度が低いことが最大の理由です。合格率の目安は60%〜80%となっており、一定の勉強に取り組めば誰でも簡単に取れる資格というイメージが持たれています。再受験のルールも厳しくないため、繰り返し受験して合格するのも容易で、高い専門性をアピールするには不向きな資格でもあります。
また、MOSは国内外で知名度の高い国際資格ではあるものの、ITパスポート試験のような国家資格ではなく、民間資格であることも評価が低い一因となっています。しかし就活でのアピール材料としてではなく、Officeソフトやパソコンの扱いに慣れるための勉強として活用するのであれば、MOSの受験は決して無駄にはなりません。
Officeソフトが使えるスキルは前提だから
MOSが役に立たないと言われる理由として、Excel・WordなどのOfficeソフトを扱えることは、就活の段階では当たり前のスキルとみなされることが挙げられます。MOSの有無に関わらず、学校などでExcel・Wordの操作に触れて、ビジネスレベルのスキルが身についていることが就活の前提条件とされているのです。
また、MOS試験で問われるようなOfficeソフトの扱いについての幅広い知識が求められる現場は多くなく、業務で必要となる一部の関数のみ、一部の機能のみが使えれば問題ないと判断する企業もあります。そうした企業では、入社後の研修でOfficeソフトの扱いを短時間で指導できるため、保有資格にMOSがあっても評価の対象にはならないことも多いのです。
IT業界では相対的に評価が下がるから
IT業界への就職を希望している場合には、MOS資格は相対的に評価が下がり、履歴書に書くのは恥ずかしいと言われることがあります。IT業界に応募するライバルの多くは、ITパスポート試験や基本情報技術者試験など、より難易度の高い国家資格を取得しているケースが多いです。そうした保有資格と比べると、合格率が高く民間資格のMOSは、相対的に評価が下がってしまうのです。
一方で、ExcelやWordの扱いに長けた人材を募集する事務職に応募する場合には、MOSが強力なアピール材料になることもあります。選考を受ける業界・企業・職種に合わせて、MOSを積極的にアピールするか、もしくは資格・免許欄の一番下に書いておくに留めるのかを調整すると、就活を有利に進めやすくなるでしょう。
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6.MOSのおすすめ勉強方法
最後に、MOS合格に向けたおすすめの勉強方法についてご紹介します。
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・事前に受験日を決めておく
・テキストよりも手を動かして学ぶ
・スクール・通信講座のサポートを受ける
MOS資格を短期間で取得し、コストを抑えながら効率よく勉強するためにも、これらの対策を実践してみてください。
事前に受験日を決めておく
MOS試験を受ける際には、ゴールを明確にしてモチベーションを高めるためにも、事前に受験日を決めてしまうのがおすすめです。全国一斉試験を受けるなら、指定の試験日の受験を先に申し込んでしまってから、MOSの勉強をスタートすると良いでしょう。試験を受けなければならない状況を作ってしまうことで、試験日を先送りにすることなく、受験に向けて高い集中力で勉強に取り組めるメリットがあります。
MOSの一般レベルであれば難易度は低く、1日2時間〜3時間ほどの勉強を1ヶ月続ければ、合格ラインを突破することは十分に可能です。受験日を決めてしまってから、試験までの1ヶ月で短期集中的に勉強する方法でも合格しやすいので、ぜひ実践してみてください。
テキストよりも手を動かして学ぶ
MOS試験の対策に取り組む時には、テキストを熟読して勉強するというよりも、パソコンでExcelやWordを立ち上げて、手を動かしながら学ぶのが有効です。インプット学習ではなくアウトプット学習に力を入れることで、MOS試験を突破するための知識が定着しやすくなるからです。
また、Officeソフトを扱う実践的なスキルを身につけて、就職後の仕事にも活かすためにも、手を動かしながらMOS対策に取り組むことをおすすめします。なるべくExcel・WordなどのOfficeソフトに触れる時間を増やすことが、就職後にも活かせる実践的なスキルを身につけるコツです。
スクール・通信講座のサポートを受ける
独学が苦手な方や上級レベルの一発合格を目指す方は、パソコンスクールやMOS対策の通信講座を受けるのも一つの選択肢です。わからないことが出てきた時にすぐ質問できる講師がいる環境なら、独学が苦手な方でも挫折しにくくなるメリットがあります。
ただし無理にスクール・通信講座を利用する必要はなく、独学が得意な方なら市販のテキストなどを使って独学で合格するのが最も費用対効果に優れています。再受験のハードルも低いので、まずは独学での合格を目指してみると良いでしょう。
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7.まとめ
MOSは、Excel・WordなどのOfficeソフトを扱うスキルが問われる資格で、Microsoft社による認定を受けられる民間資格です。バージョン・ソフト・難易度ごとの試験科目が用意されており、身につけたいスキルに合わせて受験できるのが特徴です。月1回ペースの全国一斉試験のほか、好きなタイミングで受験できる随時試験が用意されており、再受験のハードルも低いので気軽に受験できる魅力があります。
合格率は60%〜80%と見込まれており合格のハードルが低い一方で、難易度の低い資格として就活ではあまり役に立たないケースも考えられます。事務系の職種に応募する時のアピール材料として受験する、もしくはOfficeソフトの扱いについて勉強するために受験するなど、明確な目的を持って試験を受けることをおすすめします。
本記事で解説してきたおすすめ勉強法も参考にしながら、MOS取得を目指してみてください。
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