
本記事ではネットワークスペシャリスト試験の試験内容や難易度・合格率、資格を活かして活躍できる職種などを解説します。最難関資格を効率的に取得するための勉強方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
- 1.ネットワークスペシャリスト試験とは?
- 2.ネットワークスペシャリスト試験の難易度・合格率
- 3.ネットワークスペシャリスト試験を受験するメリット
- 4.ネットワークスペシャリスト試験を活かせる職種
- 5.ネットワークスペシャリスト試験に受かるための勉強方法
- 6.まとめ
1.ネットワークスペシャリスト試験とは?
ネットワークスペシャリスト試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が運営するIT系の国家資格の一つです。就活対策で人気の「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」などの資格の上位に位置する「高度試験」の一種に含まれます。ネットワークエンジニアやインフラエンジニアを対象とした、ネットワーク社会を支える高度IT人材としての知識・スキルを証明できる資格となっており、業界での知名度も非常に高いのが特徴です。
実施方式・実施時期
ネットワークスペシャリスト試験は、記述式を含めた筆記試験により行われ、春期(4月)の年1回のみ試験が実施されます。下位に分類される基本情報技術者試験は通年受験が可能、応用情報技術者試験に関しては年2回の試験日程が設けられていますが、ネットワークスペシャリスト試験を含めた高度試験は受験機会が少なくなる点に注意が必要です。
試験内容
ネットワークスペシャリスト試験は、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4つの試験区分に分かれており、4つの試験を1日でクリアする体力・集中力が求められる資格でもあります。午前試験はマークシートによる多肢選択式、午後試験は出題されるテーマの中から2問または1問を選んで解答する記述式の試験内容となっています。
ネットワークスペシャリスト試験の各試験内容は、公式ホームページのシラバスや過去問から確認できますが、基礎的なIT知識を含めて非常に幅広い分野から出題される傾向にあります。多肢選択式だけではなく記述式の問題もあるので、知識だけを覚える暗記学習ではなく、応用力・実践力が試される点にも注意が必要です。
なお、午前Ⅰの試験は、過去2年以内に応用情報技術者試験または別の高度試験を受けて合格点を超えた実績がある方なら、科目免除の申請を行うことができます。ネットワークスペシャリスト試験は科目数が多く試験時間も長くなる傾向にあるため、科目免除を活用すると試験合格のハードルを下げることができるでしょう。
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2.ネットワークスペシャリスト試験の難易度・合格率
ネットワークスペシャリスト試験は、IT系の国家資格の中では最も難易度が高い資格に分類されます。合格率も低水準で容易に合格できる資格ではなく、現役のネットワークエンジニアやインフラエンジニアであっても、一発合格を果たすのは困難です。ここではネットワークスペシャリスト試験の難易度について、具体的な合格率の数字や別の資格との比較を紹介しながら解説します。
IPAではレベル4に相当する難易度
ネットワークスペシャリスト試験は、IPAが設けている4段階の難易度のうちレベル4、つまり最難関の資格に分類されています。なお、レベル3までの試験には下記が挙げられます。
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・レベル1:ITパスポート試験
・レベル2:情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験
・レベル3:応用情報技術者試験
基本情報技術者試験・応用情報技術者試験を受けたことがある方なら、これらの資格を上回る難易度設定になっていると理解すると良いでしょう。ネットワークスペシャリスト試験は、1日に4つの科目で合格点をクリアする必要がある点や、年1回しか受験機会が設けられていない点も、難易度が上昇する一因となっています。
ネットワークに関する専門的な知識に加えて、記述式試験に回答するための国語力が要求されるので、幅広い分野の試験対策が必要とされます。そのためIT系未経験・初心者の方が一発合格を果たすのは非常に困難であり、原則としてネットワークエンジニア・インフラエンジニアなどの実務経験を持つ方を対象とした資格となっています。
合格率は15%前後
ネットワークスペシャリスト試験の合格率は、約15%前後を推移しています。令和6年度の春期試験では、15.4%の合格率となっていました。応募者10人のうち1人〜2人しか合格できないという非常にハードルの高い資格であり、十分な資格対策が要求されます。
IPAが実施する国家資格には受験資格が設けられておらず、実務未経験の学生も受験することは可能です。しかし前述の通り、応用情報技術者試験に合格すると午前Ⅰの科目免除が受けられることから、応用情報技術者試験を取得してからステップアップを目指すのが一般的です。
ほかの資格との難易度の違い
ネットワークスペシャリスト試験と同様にIT系の国家資格に分類される資格には、レベル1のITパスポート試験、レベル2の基本情報技術者試験、レベル3の応用情報技術者試験などがあります。レベル4に分類される資格には、「ITストラテジスト試験」「データベーススペシャリスト試験」など、各専門分野の知識・スキルが問われる「高度試験」が挙げられます。「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」としての資格を得るための、情報処理安全確保支援士試験もレベル4に分類される試験です。
国家資格以外では、シスコ技術者認定であるCCNAやCCNP、Linux技術者認定のLPICやLinuCが挙げられます。異なる団体が行う資格なので単純な難易度比較は難しいですが、ネットワークスペシャリスト試験はシスコ技術者認定試験におけるCCIE相当、Linux技術者認定におけるLevel 3を超える難易度に位置付けられます。
シスコ技術者認定・Linux技術者認定は、いずれもネットワークスペシャリスト試験との相性が良く、ネットワークエンジニア・インフラエンジニアとして活躍する上では有利に働くベンダー資格でもあります。業界内での知名度も高いので、ネットワークスペシャリスト試験とともに取得を目指したい資格です。
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3.ネットワークスペシャリスト試験を受験するメリット
続いて、ネットワークスペシャリスト試験を勉強するメリットについて、下記の5つの観点からご紹介します。
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・未経験から効率的に専門知識を学べる
・インフラエンジニアとして高いスキルを証明できる
・就職・転職で有利に働く
・大規模プロジェクトを任される可能性が高まる
・資格手当・報奨金を受け取れる
これらのメリットも踏まえ、ネットワークスペシャリスト試験を受験するかどうかを検討してみてください。
未経験から効率的に専門知識を学べる
未経験からネットワークスペシャリスト試験の取得を目指す場合、実務経験がなくとも効率的に専門知識を学べるメリットがあります。高度なスキルを持ったネットワークエンジニアとして活躍するために必要な知識・スキルを、体系的にまとめたシラバスをベースとして実施される国家資格なので、ゼロから独学でネットワーク技術について学ぶよりも効率的に学習できるのがメリットです。
ネットワーク技術の専門家を目指すなら、ネットワークエンジニアとしての実務経験を積むことも効果的ですが、大学生・大学院生で実務経験を積める環境がない場合には、ネットワークスペシャリスト試験のテキストや過去問は最適な教材となるでしょう。
インフラエンジニアとして高いスキルを証明できる
ネットワークスペシャリスト試験を取得することは、インフラエンジニアとして高い専門性を持った人材であることをアピールする際にも役立ちます。ネットワークスペシャリスト試験は、IT系では最難関レベルの国家資格として、非常に幅広い試験範囲から問題が出題されます。ネットワークスペシャリスト試験に合格できるだけの実力があるということは、業界でもトップクラスの技術力を持っていることの証明となり、さまざまな場面で有利に働くのです。
近年では官公庁や教育機関におけるDX化が推進されており、国家資格であるネットワークスペシャリスト試験が高く評価される傾向にあります。ネットワーク技術は今後どれだけAIが発達し、クラウド化が進んだとしても必要とされ続ける技術なので、将来性の高いスキルを磨きたい方にも適しています。
就職・転職で有利に働く
ネットワークスペシャリスト試験は、IT業界の中でもインフラを扱う分野では知名度が高く、IPAの最難関資格であることも有名なので、就職・転職で有利に働くメリットもあります。現役のネットワークエンジニア・インフラエンジニアが取得した場合には社内での評価が上がり、転職活動を有利に進めることができます。実務未経験の方がネットワークスペシャリスト試験に合格できると、インフラエンジニアとして高い資質があることの証明になり、IT業界を目指す高い志望意欲を持っていることをアピールするのにも役立ちます。
IT系では最難関の資格として合格のハードルは非常に高いですが、それに見合った評価を受けられるのがネットワークスペシャリスト試験のメリットの一つです。
大規模プロジェクトを任される可能性が高まる
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク技術に関する高度な知見を持っていることの証明になる資格であり、官公庁や大手企業が関わる大規模プロジェクトでは、ネットワークスペシャリスト試験を保有するエンジニアを一定数確保するように要請されることがあります。ネットワークスペシャリスト試験には独占業務が設けられているわけではありませんが、実質的には独占業務が期待できる資格となっているのです。
大規模プロジェクトにおけるインフラ構築を請け負う企業側は、高いコストをかけてでもネットワークスペシャリスト試験の資格保有者を確保しようと考えるため、転職市場における需要が高く、高収入・好待遇を目指しやすい傾向もあります。
資格手当・報奨金を受け取れる
ネットワークスペシャリスト試験は業界での知名度が高く、難易度の高い国家資格として、資格手当・報奨金を支給しているIT企業が多い傾向にあります。試験に合格して資格を取得できると、毎月の給料がアップして一時的なお祝い金を受け取れる可能性が高いのです。ネットワークスペシャリスト試験の受験料は7,500円(税込)と、最難関の国家資格の中では安価な金額設定となっており、市販のテキストや問題集を使って費用を抑えて合格できれば、非常にコストパフォーマンスの良い資格にもなりえます。
事前に第一志望の企業で資格手当が用意されているかどうかを調べておく必要があるものの、インフラエンジニアとしての収入アップを目指したい方には最適な資格の一つなので、ぜひ試験対策に取り組んでみてください。
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4.ネットワークスペシャリスト試験を活かせる職種
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク技術についての専門知識・スキルを証明できる資格なので、次のような職種で活かしやすい傾向にあります。
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・インフラエンジニア
・クラウドエンジニア
・システムエンジニア
それぞれの仕事内容について詳しくご紹介しましょう。
インフラエンジニア
ネットワークスペシャリスト試験と最も相性が良い職種が、企業のサーバー・ネットワークの設計・構築・保守を手掛けるインフラエンジニアです。「ネットワークエンジニア」「サーバーエンジニア」もインフラエンジニアの一種に含まれ、ITインフラを支えるIT社会に不可欠な存在であることから、高い将来性が見込まれている職種でもあります。未経験からインフラエンジニアを目指す際には非常に強力なアピールポイントとなるほか、インフラエンジニアとしてのキャリアアップにも役立つ資格です。
クラウドエンジニア
ネットワークスペシャリスト試験は、クラウド環境のITインフラを手掛けるクラウドエンジニアとも相性が良い資格です。物理的なサーバー機器・ネットワーク機器を扱う従来のITインフラではなく、クラウド環境でITインフラを設計・構築・保守するのがクラウドエンジニアの役割で、利便性やコスト削減の観点から近年需要が高まっている職種でもあります。しかし実際の業務で必要とされるのは、物理的な環境下でのネットワーク技術であることに変わりないため、ネットワークスペシャリスト試験があると就職・転職を有利に進めることができます。
システムエンジニア
システムエンジニアはITインフラを専門的に手掛ける職種ではありませんが、システム開発に取り組む上でネットワーク技術を扱う場面は少なくないため、ネットワークスペシャリスト試験を活かしやすい職種の一つです。現在システムエンジニアとして働いている方が、インフラエンジニアへのキャリアチェンジを果たすために取得する資格としてもおすすめできます。今後歩みたいキャリアパスに合わせて、同じ高度試験に分類されるITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験なども視野に入れながら、取得する資格を選ぶと良いでしょう。
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5.ネットワークスペシャリスト試験に受かるための勉強方法
最後に、ネットワークスペシャリスト試験に合格するためのおすすめ勉強方法について3つご紹介しましょう。
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・応用情報技術者試験を取得してからステップアップを目指す
・過去問を解きながら午後試験の対策に力を入れる
・資格講座も積極的に活用する
これらのポイントも踏まえつつ、ネットワークスペシャリスト試験の資格対策に取り組んでみてください。
応用情報技術者試験を取得してからステップアップを目指す
ネットワークスペシャリスト試験の最短合格を果たすために、下位資格である応用情報技術者試験を取得してからステップアップを目指すのがおすすめです。応用情報技術者試験に合格できれば、ネットワークスペシャリスト試験の午前Ⅰの科目免除を申請できるため、一度に受ける試験科目を減らして合格のハードルを下げることができます。徐々に難易度の高い資格を取得することで効率的に知識を身につけられるメリットがあるので、ぜひ実践してみてください。
過去問を解きながら午後試験の対策に力を入れる
ネットワークスペシャリスト試験の中でも難易度が高い午後試験の対策に力を入れることが、最短合格のためのコツです。記述式で出題される午後試験をクリアすることができれば、ネットワークスペシャリスト試験の合格に大きく近づきます。午後試験はこれまでの過去問を活用することで対策することができるほか、資格講座の模試や予想問題集などを活用するのも有効です。すべての分野を満遍なく勉強するというよりも、難易度が高い科目に注力しながら効率的な資格取得を目指しましょう。
資格講座も積極的に活用する
ネットワークスペシャリスト試験はIT系では最難関の資格なので、独学だけにこだわるよりも、資格講座を活用しながら勉強した方が合格しやすくなります。プロの講師が在籍する資格スクールのコースを受講することで、途中で挫折しにくく、高いモチベーションを維持しながら試験対策に取り組むことができるでしょう。資格講座は独学とは異なり、講師に相談しながら疑問を解決できることが大きなメリットですので、ぜひ活用してみてください。
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6.まとめ
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアに求められる高度な知識・スキルが問われる資格です。IPAの国家資格では最難関のレベル4に分類されており、合格率は15%前後と容易に取得できる資格ではありません。しかしネットワーク技術について効率的に専門知識を学べることや、就職・転職で有利に働くことから、インフラ分野を目指す方からの高い人気がある資格でもあります。
ネットワークスペシャリスト試験の資格は、インフラエンジニアやクラウドエンジニア、システムエンジニアの就職でも活かすことができます。本記事で解説してきたおすすめの試験対策も取り入れながら、ネットワークスペシャリスト試験の一発合格を目指してみてください。
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