
システムに問題が発生した際には緊急対応が求められるなどの大変さがある一方で、未経験からでも就職しやすく、シフト制の現場なら残業・休日出勤が発生しにくいなどのメリットもあります。
本記事では、運用・保守業務を担当するSEの働き方や就職するメリット、開発SEとの違いなどをご紹介します。就活に役立つスキル・資格についても取り上げているので、就活対策の参考にしてみてください。
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- 1.SE(システムエンジニア)とは?
- 2.SEの運用・保守業務と開発SEとの違い
- 3.運用・保守SEとして就職するメリット
- 4.運用・保守SEになるための必要スキル
- 5.運用・保守SEの就職に役立つ資格
- 6.まとめ
1.SE(システムエンジニア)とは?
SE(システムエンジニア)とは、主にシステム開発の現場で要件定義やシステム設計などの業務を担当するITエンジニアのことを指します。システム開発を依頼されたクライアント企業の要望をヒアリングした上で、システム設計から実装、テスト、納品までを一貫して担当する職種です。
その中でも運用・保守を担当するSEは、すでに完成しているシステムの安定稼働を支え、トラブル発生時の対処や定期的なメンテナンスを行うのが特徴です。
開発SEがシステムの新規開発に重点を置くのに対し、運用・保守SEは既存システムを安定的に稼働させながら改善とアップデートを行うという違いがあります。日々の監視業務やシステムを利用する社員・ユーザーからの問い合わせ対応、障害発生時には素早く現場で復旧作業に取り組むことが主な仕事内容です。
運用・保守SEは、システム全体を俯瞰する視点に加えて、幅広い分野の知見が求められる、ITサービスの縁の下の力持ち的な存在と言えるでしょう。
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2.SEの運用・保守業務と開発SEとの違い
ここからは同じSEと呼ばれる職種の中でも、運用SE・保守SE、そして開発SEのそれぞれの違いについてご紹介します。
運用SEの仕事内容
運用SEは、既存のシステムが安定的に稼働するよう、日々の監視業務を担当する職種です。サーバーやネットワークの監視やバックアップ作業などが主な業務です。また、ユーザーからの問い合わせ対応や運用マニュアルの作成も重要な仕事内容となっています。
担当するシステムで異常やトラブルを検知した際には、素早く原因と解決策を検討し、できるだけシステムが停止する期間を短縮するための適切な対処を行う必要があります。障害時にスピーディに対応することに加えて、運用SEは障害発生を未然に防ぐための予防策の提案も行います。金融機関をはじめとして24時間365日稼働するシステムを担当する場合には、シフト制で夜勤・休日出勤が求められるケースもあります。
保守SEの仕事内容
保守SEが担当するのは、稼働中のシステムの機能改善・不具合修正などが中心です。システムの脆弱性に対応したり、最新のセキュリティパッチを適用したり、OSやミドルウェアのバージョンアップを手掛けたりすることもあります。ユーザーから機能追加の要望を受けた際には、小規模な改修作業を行うことも珍しくありません。
保守SEはプログラムコードの修正やITインフラの設定変更を行うため、プログラミング言語やサーバー・ネットワークに関する知識も必要とされます。長期間運用されているレガシーシステムと呼ばれる現場の場合、設計書が古かったり当時の開発者が不在だったりする場合もあるため、他者が書いたソースコードを読みながら問題解決に取り組むスキルも求められます。
開発SEとの違い
運用・保守SEと開発SEは、担当する業務のフェーズ(工程)に大きな違いがあります。
開発SEがゼロからシステムを構築するのに対し、運用・保守SEは完成したシステムの管理・メンテナンスに重点を置く仕事となっています。開発SEは要件定義からシステム設計、実装やテストまでの一連の流れを担当し、新たな製品を生み出す役割を担います。一方で運用・保守SEは、システムの安定稼働を支えるために定期的なアップデートを行い、日常的な監視や障害対応、小規模な機能追加なども担当します。
プロジェクト単位の短期的なスパンで働く開発SEと比較して、運用・保守SEは長期的な視点で一つのシステムと向き合うという特徴もあります。また、開発SEは担当する開発プロジェクトに必要な特定の言語・フレームワークに特化したスキルが求められるのに対して、運用・保守SEはサーバー・ネットワーク・セキュリティなど、幅広い分野の知識が要求されるという違いもあります。
こうした担当業務ごとの違いも踏まえながら、自分に合った職種選びやキャリアプランの作成に取り組むことが大切です。
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3.運用・保守SEとして就職するメリット
続いて、運用・保守SEとして新卒から就職するメリットについてご紹介します。
内定獲得のハードルが低い
シフト制の現場が多く残業が少ない
システムの全体像を把握しながら経験を積める
それぞれ順番に解説しますので、職種研究の参考にしてみてください。
内定獲得のハードルが低い
運用・保守SEは、就活においては内定獲得のハードルが低めの職種です。運用・保守SEを採用するIT企業では、数百人単位の大量採用を行う傾向にあり、文系出身の方やプログラミング未経験の方でも入社しやすい傾向にあるのです。開発SEと比較すると、専門的なプログラミングスキルよりも基本的なIT知識や学習意欲が重視されるので、個人開発の実績やインターンで大きな成果を出したエピソードなどがなくても、選考を通過できる可能性が高いです。
運用・保守SEを採用する企業側も、未経験者を採用してじっくりと育成しようとする姿勢であることが多いので、充実した研修制度や現場でのOJTにより、段階的にスキルを身につけられる環境が整っています。また、システム開発のフェーズと比べると稼働中のシステム運用は、簡単にはコストカットできない業務ということもあり、安定性に優れるというメリットもあります。その結果、いつの時代にも安定的な求人数があり、就活生にとっては自分の理想の職場を選びやすい条件が整っているのです。
シフト制の現場が多く残業が少ない
運用・保守SEが働く現場では、シフト制が採用されていることが多いです。金融機関の基幹システムなど、24時間365日の安定稼働が求められる現場では、交代制の有人監視を行っていることが一般的で、明確なシフトによって勤務時間がはっきりと区切られています。そのため過度な残業や休日出勤などが発生しにくく、プライベートを重視する方に最適な職種となっています。
システムトラブルや障害が発生した際には、緊急での対応が求められるケースはあるものの、それ以外の場面ではワークライフバランスを保ちながら働ける環境です。また、夜勤や土日・祝日のシフトで働く機会が多く、深夜手当・休日手当などが支給されるので給与面でのメリットも得られるでしょう。
システムの全体像を把握しながら経験を積める
運用・保守SEの大きなメリットとして、システムの全体像を俯瞰的に把握しながら、エンジニアとしての経験を積めることが挙げられます。開発SEが特定の言語を使った専門的なシステム開発に従事するのに対して、運用・保守SEはサーバー・ネットワークやセキュリティなど、システムを構成するさまざまな要素に触れながら働くことになります。障害対応や機能追加のためにシステムのソースコードに触れる機会も多く、大規模システムの内側を間近で見ることのできる立場でもあります。
担当するシステムがどのように稼働しているのかという視点から、日々の監視業務やトラブル対応に取り組むことにより、IT技術に関する幅広い知識を効率的に習得できる職種となっています。時にはユーザーからの問い合わせ対応を通じて、システムの利用実態や改善点をいち早く発見できるのも魅力です。こうした幅広い分野における経験・知見を活かすことで、長期的なキャリア形成を有利に進めることができるのです。
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4.運用・保守SEになるための必要スキル
次に、運用・保守SEとして就職するために欠かせないスキルについて、以下の3つをご紹介します。
問題解決スキル
コミュニケーションスキル
ITインフラを扱うスキル
一つひとつ順番に解説します。
問題解決スキル
運用・保守SEにとって最も重要なのが、問題解決スキルです。担当するシステムで障害・トラブルが発生した際、迅速に原因を特定して適切な対処を行うスキルが、運用・保守SEでは高く評価されます。トラブルが発生した際に素早く対応するだけではなく、起こりうるトラブルを想定して防止策を講じるなど、障害を未然に防ぐ姿勢も求められます。
問題解決スキルを磨くためには、論理的思考力や分析力、観察力が役立ちます。どれも一朝一夕で身につくスキルではありませんが、過去のトラブル事例・障害事例について勉強したり、その際に使われた解決策について理解を深めたりすることで、運用・保守SEとしての問題解決スキルを伸ばすことができます。就活では、アルバイトや部活動などを通じて、トラブル・問題を乗り越えたエピソードについて伝えると、運用・保守SEとしての適性をアピールできるでしょう。
コミュニケーションスキル
運用・保守SEの業務では、さまざまな立場の相手とのやり取りが求められるため、高いコミュニケーションスキルが評価されやすい傾向にあります。日常の監視業務では、次のシフトの担当者への要点を押さえた引き継ぎやわかりやすい運用マニュアルを作成できるスキルが重視されるのです。ユーザーからの問い合わせ対応では、専門的な内容を非エンジニアにもわかりやすく説明する能力が求められます。
特にシステム障害・トラブルが発生した緊急時には、リーダーや開発チームなどの関係者に迅速かつ的確に情報共有を行う必要に迫られるため、状況を簡潔にまとめて伝える技術も欠かせません。このように運用・保守SEに求められるコミュニケーションスキルとは、単にお喋りがうまいといった会話力ではなく、相手の立場や知識レベルに合わせて表現を工夫できる柔軟性や、必要な情報を端的に伝えられる要約力であることを押さえておきましょう。
ITインフラを扱うスキル
運用・保守SEには、サーバー・ネットワーク、データベースや情報セキュリティなど、ITインフラ全般に関する幅広い知識が求められます。LinuxやWindowsサーバーの基本操作、ネットワーク機器の扱い、データベースの管理など、実務レベルで身につけている人材ならどの現場でも高く評価されます。近年ではクラウドサービスを利用してITインフラを扱う現場も増えているため、AWSやAzureなどのクラウドサービスを扱うスキルも高く評価されています。
これらのスキルは実務経験を通じて身につけていくのが一般的ですが、「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」などを通じて、ITインフラについての基礎知識を身につけておくのが有効です。こうした基礎知識があると、入社後の研修でもスムーズに理解が深まりやすくなるので、ぜひ実践してみてください。
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5.運用・保守SEの就職に役立つ資格
ここからは運用・保守SEの就活で役立つIT資格について、下記の3つを解説します。
-
・基本情報技術者試験
・CCNA/CCNP
・LinuC/LPIC
これらの資格取得も視野に入れながら、就活対策に取り組んでみてください。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門とも言われる国家資格であり、IT全般に関する基礎知識を網羅的に習得できるのが特徴です。サーバー・ネットワークなどのITインフラの基礎知識に加えて、擬似言語を用いたプログラミングスキル、情報セキュリティの基本など、運用・保守SEの業務に直接関連する知識を身につけられるメリットがあります。
試験はパソコンを使ったCBT方式によって行われ、通年で受験できる仕組みとなっています。そのため受験のハードルが低く、忙しい就活中でも自分のペースで試験を受けられるでしょう。
CCNA/CCNP
CCNA/CCNPは、世界最大手のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズ社が認定する、ネットワーク技術についての知識が問われる民間資格です。基礎レベルのCCNA、中級レベルのCCNPなどの難易度が用意されており、これらの2つは就活でも人気が高く、業界での知名度も高い傾向にあります。運用・保守SEの業務との関連性が高く就活で有利に働くほか、ネットワークエンジニアをはじめとするインフラエンジニアとしての就職も視野に入れている方におすすめです
ネットワーク技術について独学で学ぶのは少しハードルが高いので、基礎レベルであるCCNAの参考書や問題集、学習サイトなどを活用して、資格取得を目指しながらネットワーク関連の基礎知識を身につけると良いでしょう。
LinuC/LPIC
LinuC/LPICは、サーバーOSとして広く普及している「Linux」に関する知識・スキルを証明する民間資格です。LinuCは日本の市場に特化した内容、LPICは国際標準の認定資格という違いがあり、国内での就活のために取得するなら、自然な日本語で勉強・受験できるLinuCを優先的に受験するのがおすすめです。
運用・保守SEは、Linuxサーバーの操作や設定を行う場面が非常に多いため、就活の時点でこれらの資格があると、即戦力の人材として高い評価を受けられるでしょう。LinuCはレベル1〜3の3つのレベルに分かれており、まずは最も難易度が低いレベル1からスタートすることをおすすめします。
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6.まとめ
運用・保守SEは、既存のシステムの安定稼働を支えるために、メンテナンスやアップデート、障害時にはいち早く現場に駆けつけて復旧対応に取り組む職種です。開発SEと比べるとシステム開発のフェーズに大きな違いがあるほか、開発SEは短期的なプロジェクト、運用・保守SEは長期的なシステム運用の現場に携わるのが特徴です。
運用・保守SEに求められるスキルとして、問題解決スキルとコミュニケーションスキル、ITインフラを扱うスキルの3つが挙げられます。就活対策として資格を取得するなら、基本情報技術者試験やCCNA/CCNP、LinuC/LPICといった資格を勉強しておくと有利に働きます。
本記事で紹介してきた運用・保守SEの働き方や必要スキル・資格を参考にしながら、理想のキャリアの第一歩を踏み出してみてください。
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