応用情報技術者試験とは?基本試験との違いや難易度・合格率を解説

応用情報技術者試験とは?基本試験との違いや難易度・合格率を解説
応用情報技術者試験とは、IT業界でワンランク上のITエンジニアになるための知識・スキルが問われる国家資格であり、現役エンジニアであっても簡単に合格するのは難しい資格として知られています。下位資格にあたる基本情報技術者試験などと比較して、年2回の試験日程しか用意されておらず、筆記試験で行われることが大きな特徴です。

合格率は20%台と低めで、IT系が初心者・未経験の方が合格を目指すなら、500時間ほどの勉強時間が必要となるケースもあります。難関資格の一種であることから取得するメリットは大きく、就職・転職で有利に働くほか、国家資格の一部科目免除が受けられる制度もあります。

本記事では、応用情報技術者試験の試験内容や難易度、基本情報技術者試験との違いやおすすめ勉強方法などを解説します。

1.応用情報技術者試験とは

応用情報技術者試験とは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格です。就活で人気の資格である「ITパスポート試験」や「基本情報技術者試験」の上位に位置付けられており、就活でライバルと差別化するために取得する方や、エンジニアとしてレベルアップするために取得する方が多いです。

応用情報技術者試験を含め、IPAの国家資格には受験資格が設けられておらず、年齢・経歴を問わず誰でも受験することができます。なお、資格の正式名称は『応用情報技術者試験』であり、「応用情報技術者」「応用情報技術者資格」などの表記は誤りなので、履歴書に書く時には十分に注意しましょう。

IPAでレベル3に位置する国家資格

応用情報技術者試験は、IPAが実施する国家資格のうちレベル3に相当します。IPAの国家資格は4つの難易度に分かれており、次のような区分となっています。
 

  • ・レベル1:ITパスポート試験

    ・レベル2:情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験

    ・レベル3:応用情報技術者試験

    ・レベル4:情報処理安全確保支援士試験、高度試験(ITストラテジスト試験、プロジェクトマネージャ試験など)


上から2番目に位置する難易度なので合格のハードルは高いですが、ITパスポート試験や基本情報技術者試験の試験範囲と重なる部分も多く、下位の資格から順番に取得することで効率的に保有資格を増やすことが可能です。

年2回・筆記試験で行われるのが特徴

応用情報技術者試験は、春期(4月)と秋期(10月)の年2回のみ、試験を実施しているのが特徴です。ITパスポート試験や基本情報技術者試験が通年受験を受け付けていることと比較すると、試験日程が少ないことは明確な違いの一つと言えるでしょう。各試験日程ごとに受験申し込みができる期間も決まっているので、受験したい年度の試験日程と申し込み期間を必ずチェックしておきましょう。

また、応用情報技術者試験はすべての試験が筆記で行われます。ITパスポート試験や基本情報技術者試験は、パソコンを使ったCBT方式で行われるため、この点も大きな違いとして押さえておく必要があります。

多肢選択式の午前試験・記述式の午後試験がある

応用情報技術者試験は、午前150分、午後150分の2つの試験で構成されています。午前試験は四肢択一の多肢選択式であり、基本情報技術者試験などのCBT方式と大きく変わるわけではありません。

一方で午後試験は記述式となっており、応用情報技術者試験が難関と言われる理由も、この午後の記述式試験にあります。四肢択一で回答できるIT知識を暗記するだけではなく、高い応用力が求められる試験となっているので、十分な対策に取り組まなければなりません。

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2.応用情報技術者試験の難易度・合格率

ここからは応用情報技術者試験の難易度について、合格率や勉強時間とともに解説します。

IT資格の中では難関資格の分類

応用情報技術者試験は、4段階のレベルのうち上から2番目のレベル3に位置することもあり、IT系の国家資格では難関資格に分類されます。応用情報技術者試験は、ITエンジニアとしての実務経験を持った方を対象としている試験ということもあり、就活生や異業種からの転職など、IT系未経験から取得するハードルは高めと言えます。

ただし受験資格が設けられているわけではないので、「基本情報技術者試験に合格しなければ、応用情報技術者試験を受験できない」ということはありません。

合格率は20%台を推移

応用情報技術者試験の合格率は、約20%ほどの水準となっています。令和6年度全体のデータでは26.3%と、資格試験の中ではかなり低めの合格率であることがわかります。4人中1人しか合格できない難易度なので、希少性が高く、就職や転職の際にも強力なアピール材料となるでしょう。

なお、応用情報技術者試験の合格者の平均年齢は29歳前後であることもわかっています。ITエンジニアとして働き始めた若手というよりも、5年以上の経験・実績を積んだ中堅エンジニアが取得するケースが多い傾向です。

合格に必要な勉強時間は200〜500時間

応用情報技術者試験の合格に必要な勉強時間は、IT系の初心者であれば500時間以上、基礎的なIT知識を持つ方であれば200時間程度が目安とされています。1日2時間程度の勉強時間を確保するなら、約9ヶ月で500時間、約4ヶ月で200時間に達する計算です。いずれの場合も、長期的な学習スケジュールを立てた上で勉強に取り組む必要があります。

なお、基本情報技術者試験を取得している方や、ITエンジニアとして活躍してきた実績がある方なら、目安時間よりも短期間で合格できるでしょう。独学ではなく、資格の専門学校や通信講座を活用する場合にも勉強時間の短縮が見込めるので、なるべく短期間で合格を目指したい方は、短期集中的に学べるコースを利用してみると良いでしょう。

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3.応用情報技術者試験と基本情報技術者試験との違い

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験と比較されることが多く「どちらを取れば良いか?」と迷う方も少なくありません。ここでは応用情報技術者試験・基本情報技術者試験のそれぞれの違いについて、以下の3つの観点から解説します。
 

  • ・実施方式・実施時期の違い

    ・難易度・合格率の違い

    ・出題範囲の違い


これらの違いを踏まえて、勉強する資格選びの参考にしてみてください。

実施方式・実施時期の違い

応用情報技術者試験は筆記試験かつ年2回の試験日程があるのに対して、基本情報技術者試験はCBT方式かつ通年試験を行っていることが大きな違いです。いずれもオンラインで受験申し込みができる点は共通していますが、応用情報技術者試験は年間を通じて受験できる機会が少なく、筆記に対応した試験対策に取り組まなければなりません。こうした実施方式・実施時期のハードルの高さも、応用情報技術者試験の難易度が上昇する一因となっています。

難易度・合格率の違い

応用情報技術者試験はIPAの分類でレベル3、基本情報技術者試験はレベル2に分類されている通り、難易度にも大きな違いがあります。基本情報技術者試験はIT系の初心者が独学でも合格ラインを目指せるレベルですが、応用情報技術者試験になるとIT系の経験者でなければ独学で一発合格を果たすのは困難になるでしょう。

また、基本情報技術者試験の合格率は40%台ですが、応用情報技術者試験の合格率は20%台なので、合格率にも大きな違いがあります。

出題範囲の違い

応用情報技術者試験と基本情報技術者試験を比較すると、午前(科目A)に行われる試験内容がほぼ共通しています。テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3つの分野から、IT業界で必要となる幅広い知識が出題されています。

試験範囲が大きく異なるのは午後(科目B)の試験で、応用情報技術者試験は記述式、基本情報技術者試験は多肢選択式で回答します。応用情報技術者試験は、一つの必須テーマ(情報セキュリティ)に加えて、以下10個のテーマから4つを選択して、合計5つ問題に回答する必要があります。
 

  • ・経営戦略

    ・プログラミング

    ・システムアーキテクチャ

    ・ネットワーク

    ・データベース

    ・組込みシステム開発

    ・情報システム開発

    ・プロジェクトマネジメント

    ・サービスマネジメント

    ・システム監査


事前にどのテーマに力を入れるかを決めた上で、記述式の対策に取り組むのが一般的です。一方の基本情報技術者試験は、「アルゴリズムとプログラミング」「情報セキュリティ」の各テーマから、多肢選択式の問題が出題されます。

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4.応用情報技術者試験を取得するメリット

ここからは応用情報技術者試験を受験するメリットについて、下記の3つの観点からご紹介します。
 

  • ・就職・転職で高評価が受けられる

    ・実践的なIT知識が身につく

    ・国家資格の一部科目が免除される


一つひとつ詳しく解説しますので、応用情報技術者試験を目指すかどうかを決める参考にしてみてください。

就職・転職で高評価が受けられる

応用情報技術者試験は、就職・転職で高評価が受けられる資格です。資格自体の難易度が高く、容易に合格できる試験ではないため、履歴書に記載することで強力なアピール材料となります。新卒採用や第二新卒、未経験からの就職の場合には、実務経験の不足を補うだけの評価を得られるでしょう。大手企業やメガベンチャーなど、強力なライバルと戦う場合には、応用情報技術者試験の資格だけで差別化することは難しくなりますが、一般的なIT企業の就活では好印象を獲得できます。

また、応用情報技術者試験は、合格までに多大な勉強時間を費やす必要がある資格なので、長期的な学習スケジュールを立てながら資格対策に取り組める意欲が評価されることも多いです。初心者・未経験から応用情報技術者試験に合格できるなら、ITエンジニアとしての資質も高いだろうと判断する企業が多いので、未経験からの就活では特に有利に働きます。

実践的なIT知識が身につく

応用情報技術者試験を勉強することで、ワンランク上のITエンジニアになるための実践的なIT知識を身につけられるメリットもあります。応用情報技術者試験は、ITエンジニアに求められる知識・スキルが体系的にまとまったシラバスを土台として試験が行われるため、試験対策を通じて効率的にスキルアップを目指すことができるのです。就活でエンジニア・プログラマーとしての就職を目指す方はもちろん、現役のエンジニアからも高い支持を集めているのはこうした理由が背景にあります。

そのため応用情報技術者試験を受験して一発合格できなかったとしても、資格対策の勉強自体がITエンジニアとしてのレベルアップにつながります。資格取得をゴールとするのではなく、ITエンジニアとして市場価値の高い人材になることを目指す方には最適な資格となるでしょう。

国家資格の一部科目が免除される

応用情報技術者試験に合格すると、IPAのレベル4の上位資格、もしくは中小企業診断士や弁理士などの国家資格において、一部科目の免除が受けられるメリットがあります。たとえば、情報処理安全確保支援士試験には、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後の3つの科目がありますが、応用情報技術者試験を取得して2年間は午前Ⅰの試験を免除することが可能です。その結果、対策すべき科目が一つ減ることになり、難関資格を取得するハードルを下げることができるのです。

中小企業診断士試験であれば、1次試験に含まれる「経営情報システム」の科目を免除できるなど、IT系以外の資格でも免除制度を利用することができます。そのため応用情報技術者試験を取得した後、さらに難関資格の取得を考えている方にとっては、非常に大きなメリットが得られるのです。

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5.応用情報技術者試験の合格に向けた勉強方法

最後に、応用情報技術者試験の合格に向けて実践したいおすすめ勉強方法について、IT系の初心者向けにご紹介します。
 

  • ・基本情報技術者試験からのステップアップを目指す

    ・独学の場合は試験日から逆算して学習計画を立てる

    ・着実に合格するには資格講座を活用するのも有効


これらのポイントも踏まえた上で、応用情報技術者試験の勉強をスタートしてみてください。

基本情報技術者試験からのステップアップを目指す

IT系の初心者の方が応用情報技術者試験を目指すなら、まずは基本情報技術者試験、もしくはITパスポート試験を取るところからスタートして、徐々にステップアップしながら難易度の高い資格を取るのがおすすめです。初心者から応用情報技術者試験をいきなり受験するのはハードルが高く、何度も不合格になるリスクも高いです。受験機会も限られているため、効率的にIT系の資格を身につけるなら下位資格から順番に取ることをおすすめします。

基本情報技術者試験やITパスポート試験なら通年受験を受け付けているので、応用情報技術者試験のための勉強を続けながら、1ヶ月目にITパスポート試験を受けて、3ヶ月目に基本情報技術者試験を受けるなど、同時並行で受験することも可能です。応用情報技術者試験の午前試験は、基本情報技術者試験などと試験内容が重複する部分も多いので、ぜひ実践してみてください。

独学の場合は試験日から逆算して学習計画を立てる

応用情報技術者試験に独学で合格を目指す場合には、まずは試験日を決めてから長期的な学習スケジュールを立てつつ勉強に取り組むことをおすすめします。たとえば次の年の秋期に試験を受けることを決め、試験日までに10ヶ月の期間がある場合には、10ヶ月のペース配分で学習計画を立てるなど。最初に試験日を決めてしまってから勉強をスタートすることで、高いモチベーションを維持しながら日々の勉強に取り組めるメリットがあります。

応用情報技術者試験を独学で合格するためには、非常に広い範囲の試験内容を勉強しておく必要があるため、短期間での合格を目指すなら綿密な学習計画を立てることを意識することをおすすめします。

着実に合格するには資格講座を活用するのも有効

応用情報技術者試験はIT系の国家資格の中でも難関資格に分類されるため、独学ではなく専門学校の資格講座を利用するのも有効です。通学もしくは通信講座で勉強できるコースなら、プロの講師に学びながら効率的に学習を進めることができるでしょう。独学とは異なり、資格講座を活用する場合には困った時にすぐ講師に相談できることが大きな強みです。試験範囲が広く、独学では挫折する不安がある方や、独学が苦手な方なら、早めに資格講座を申し込んで学習をスタートするとよいでしょう。

ただし応用情報技術者試験の広い試験範囲に対応するため、カリキュラムや教材のボリュームも大きくなり、資格講座の受講料は高額になりやすい点にご注意ください。

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6.まとめ

応用情報技術者試験とは、IT系の国家資格の中では上から2番目の難易度に位置する資格であり、春・秋の年2回、筆記試験で行われるのが大きな特徴です。合格率は20%程度と低めの水準で、就職・転職では高く評価される資格の一つです。上位資格やIT系以外の国家資格で一部科目が免除されるメリットがあるので、保有資格を増やしたいと考えている方にも適しています。

本記事で解説してきた応用情報技術者試験のおすすめ勉強方法も参考にしながら、難関資格の一発合格を目指してみてください。

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