「守りの開発」を評価する会社はどうやって見つける?【IT就活一問一答】


Q. 新機能の開発ばかりが実績として認められ、リファクタリングやコードレビューのような「守りの開発」が評価されない会社は避けたいです。コード品質や基盤整備もちゃんと評価してくれる会社はどうやって探せばいいですか?
エンジニア志望として、自社開発企業を中心に選考を受けています。プロダクトを長く成長させていくためには、目立つ新機能を作るだけでなく、レガシーコードの刷新やテストコードの拡充、質の高いコードレビューといった土台作りも同じくらい大切だと考えています。
しかし、そうした地道な貢献が「評価対象外」になって個人の善意に押し付けられてしまう会社もあると聞きました。
選考の段階で、守りの開発にも組織としてしっかり投資し評価してくれるような会社、どうやったら見つけられますか?
A. 評価制度の中で基準が明確に言語化されているか、 そして業務時間内にリファクタリング等のリソース枠が確保されているかを確認することが大切です。
たしかに事業立ち上げ期やスピード優先のフェーズにある企業では、目に見える新機能のリリースの方が評価されがちな傾向があります。
口頭で「品質も大事」と語るだけでなく、評価基準にリファクタリングやコードレビューなどの貢献が組み込まれているか、スプリントの中に技術的負債を返済する枠が組織的なルールとして運用されているかを、選考や技術発信から確かめていきましょう。
守りの開発が評価される会社と個人の努力に依存する会社の違い
自社開発企業であっても、プロダクトのフェーズや組織文化によって開発成果に対する評価の向き方は大きく異なります。
特に事業の立ち上げ期や成長スピードを最優先するフェーズでは、どうしてもユーザーに見える新機能のリリース数が評価されやすくなります。そうした環境では、コード品質の向上やリファクタリングといった基盤整備は、エンジニア個人の善意や業務時間外の努力に委ねられてしまいがちです。
一方で、守りの開発を正当に評価できる会社は、そうした地道な貢献こそがプロダクトの持続的な成長を支えていると理解しています。
そのため、ただ一般論として品質の重要性をアピールするだけでなく、評価制度や日常の開発プロセスそのものに品質維持の仕組みを組み込んでいる点に明確な違いが現れます。
守りの開発を正当に評価・投資する企業に共通する3つの特徴
選考前の段階や企業研究の場でも、企業の技術発信や開示情報を観察することで、組織としての姿勢を推測することができます。
①会社の等級定義や評価基準に「コード品質」や「レビュー貢献」が含まれている
多くの企業ではエンジニアの等級(グレード)ごとに求められる役割が定められています。単に「新機能をつくれるか」だけでなく、上のグレードに進むための要件として「保守性を考慮した設計ができるか」「チームのコード品質を高めるレビューができているか」といった定性的な基準がしっかり組み込まれているかがポイントになります。
② 業務スケジュール内に技術的負債を返済する枠が組み込まれている
開発者の個人的な情熱や余剰時間に頼るのではなく、開発スプリントの2割程度をリファクタリングやアーキテクチャの刷新に割り当てるなど、組織的なルールとして改善タスクの枠が固定されている企業です。
③ 技術ブログや登壇資料で大規模な刷新や改善の知見を発信している
社外向けの発信内容において、新機能の紹介だけでなく、メガモノリスからの脱却や大規模リファクタリングの成果、テスト自動化の取り組みなど、運用・改善系のテーマが豊富に扱われている企業は、社内でもそうした取り組みが推奨され評価されている証拠です。
選考や座談会で守りの開発への評価を確かめる3つの質問
採用サイトだけでは、「品質も大事にしています」という言葉が実際に組織内でも機能しているのかを見極めるのは困難です。だからこそ、選考や現場エンジニアとの座談会の場を活用し、過去に実際にあった評価のエピソードや日々の運用の様子を引き出す質問をしてみましょう。
① 直近の評価で品質改善が評価された具体例を聞く
直近の評価期間において、コード品質の向上や技術的負債の返済といった貢献によって高く評価されたエンジニアの方の具体的なエピソードはありますかと質問してみましょう。具体的な事例がすぐに出てくる企業であれば、日常的にそうした貢献が認められていることが分かります。
② 開発工数における機能開発と改善タスクの比率を聞く
日常的な開発スプリントの中で、新規機能の開発と、リファクタリングやライブラリ更新などの改善タスクはどのくらいの比率で計画されていますかと尋ねることで、組織としてどの程度リソースを割いているかが可視化されます。
③ コードレビューの運用体制とレビュアーの評価方針を聞く
コードレビューの負担が特定の熟練エンジニアに偏った際、そのレビュー貢献は評価や業務量の調整にどのように反映されますかと質問することで、レビュー業務の位置づけや負担への配慮があるかを確認できます。
面接官に好印象を与えつつ評価姿勢を引き出す質問の型
面接でリファクタリングやコードレビューの評価について聞く際、新機能の開発には意欲的ではないのかな、改善作業だけをやっていたいのかなと誤解されてしまうのは避けたいところです。
質問をする際は、プロダクトを中長期的に大きく成長させたいという視点を前置きにした上で、組織の評価方針を伺う形に組み立てるのがコツです。
質問例
「プロダクトを長期的かつ安定的に成長させるためには、新機能の開発だけでなく、保守性の高い設計や技術的負債の返済も非常に重要だと考えております。
御社では、そうした基盤強化やコード品質向上への貢献は、どのように評価や目標設定に反映されているのでしょうか。」
この伝え方であれば、プロダクト全体の成長を見据えた視点を示しながら、面接官から評価制度の実態やエンジニアリングに対する本音の姿勢を引き出すことができます。
「プロダクトの持続的な成長に投資する会社」を選ぼう
コードレビューやリファクタリングといった守りの開発を評価・推奨する仕組みがある会社は、プロダクトの長期的な運用や組織全体の開発速度を高めていく視点を大切にしている企業です。
新機能のリリーススピードを最優先する時期も事業のフェーズとして存在する一方で、土台作りにもリソースを配分する会社であれば、質の高いコードを書くことやチームの基盤を支える取り組みに対しても前向きに業務へ励むことができます。 企業の「技術力重視」という言葉の響きだけで判断せず、実際の評価事例や日々の開発スキームにまで目を向け、自分がエンジニアとして誇りを持って成長し続けられる環境を選び取っていきましょう!
この質問の回答者
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